エピローグ
国に戻ってすぐに私はトリュッフ侯爵の叙任式を受け、正式にショコラとの婚姻も上げて元々の領地以上の領地を賜って、政務に励んでいる。
叙任式の際に元王弟だった現国王は、完全に傀儡だった。
どこかの国で見たことのあるような宰相補佐へとチラチラと視線を送りながら式を進行していたので、もう完全に巻き返しは図れないだろう。
元々の領地の他に追加で頂いた領地に関しては、名目上はトリュッフ侯爵を陥れた他家の領地を賠償として与えるという物だが、実際の用途は決まっている。
「進入経路は多い方が良い。脱出経路については何の訓練も受けていないものが逃げ出せないような作りにして欲しい」
その実際の用途の為の打ち合わせを今している。
「それですと、泥棒は難しくとても暗殺者は入り放題になってしまいますよ?」
「うむ。そのつもりで、外壁は登りやすく、部屋は侵入しやすいように作ってくれ。どうせ最後は壊す事になる屋敷だ」
問題を起こした元王太子に、その元王太子を作り出した元国王と元王妃。そして、現国王の第1子にして第1王子のチャーリー殿下、以下母親の分からない王子と王女は全て王城の離宮に軟禁されている。
現国王は国の行事に必要な時以外は、顔を出さず。実際の政務は新しい王妃様が取り仕切っている。
そして、王太子は決まっていないが、先日3歳になりお披露目されたガナッシュ国の第6王子が王太子として有力視されている。
ちなみに私とショコラにも第1子が誕生している。ショコラは現在第2子を妊娠中だ。
彼女の身体が問題ない間は、新たな妻を取るつもりはない。新たな縁談は、王族たちに寄生していた者たちから山のように話を持ってこられているが、相手にする気は毛頭ない。
特に子爵より身分の高い者たちは、正妻の座を奪おうとその野望を隠しもしない。それで相手にされると思っているから、掃除が必要だ。
この掃除屋敷が完成したら、王族の次にその貴族たちがご利用いただく事になるのだろう。
「完成は急ぐ必要はない。第6王子殿下が立太子される頃までに完成すれば問題ない。設計書が出来たら持ってきてくれ。下がってよい」
どうせ王族たちの監禁兼暗殺屋敷はその頃じゃないと使えない。
彼らには30年後は、ガナッシュ国に吸収されて消滅するこの国を滅ぼした責任を取ってもらわなければならない。
そして、その闇を背負うのが我がトリュッフ侯爵家だ。
我が家を1度潰した王家を我が家が潰し返す。公に言えないが大義名分もある。
やはり最初の処分対象は元王太子か?
結局、ガナッシュ国の第2王子から逃げれなかったエクレール様の為にと、第2王子から早めの処分を依頼されている。
病気や事故、はたまた錯乱による自害。
このどの都市からも離れた屋敷で起こる事は、いくらでも偽装できる。
1人、また1人と共に監禁されている者が亡くなっていく恐怖を思い知って貰う方が復讐になると思うのだが、まあ、考え方は人それぞれだ。
第2王子の要望は承ろう。
「あなた。また縁談の手紙が届いておりますわよ?」
「なんだい? ショコラ。私は何度も言うが、君以外を愛するつもりはないよ。それにお腹の子供に障る。話をするならゆっくりとベットの上で話そう」
「まだ懐妊がハッキリと分かっただけで、歩いたりするのは問題ありません。………そうではなくて、縁談の件です。そろそろ新たにどなたか娶っても問題ないと思います。私が身重では社交界で遅れをとってしまいます」
「社交界の件なら問題はない。そもそも我が家に社交界で表立って向かってくる者たちはもういないよ」
「いえ………。ハッキリと申します! 私だけではエリオット様相手に身が持ちません!!」
「2人だけの時はエリオットと呼び捨てにするようにとの約束だったはずだけど?」
「え、あ、も、申し訳ありません。ひゃっ!」
今ではすっかりと夫婦仲が良くなったショコラを両手で抱きかかえる。
「手は私の首の後ろに。しっかりと捕まっているんだよ。ショコラ」
「お、降ろして下さい。エリオット」
「私に他の女の勧めてくる私の可愛いショコラには、まだ私の愛が足りていないようだ。このまま君の部屋のベットまでお連れしよう」
「し、使用人たちに見られます!」
「大丈夫。いつもの事だ。愛しているよ。ショコラ」
2人分の命を両手に抱え、私は私の大切な物の為に、今日も愛を囁き、その愛の為に暗殺を企てて、この国の貴族を全うしていく。
これが今の私の幸せだ。
もし邪魔する奴がいたら、「いっちょ暗殺しちゃうよ?」
-後書き-
なんだか不完全燃焼。
やっぱりオチを考えてから書いた方が書きあげた時の達成感が違いますね。
良い勉強になりました。
このような拙作にお付き合いくださり、ありがとうございました。
著者は寒くて判断能力がかなり低下しているようです。
暖かくなるまで冬眠したいと思います٩( ´ᆺ`)