拷問
10万字に到達しましたので、一度今まで投稿した話を見直し、加筆修正します。
具体的には、一部話を結合して話数を減らしたり、戦闘描写などの加筆を行いますので、一週間ほど更新が停止しますが、よろしくお願いします。修正はしますが、話の大筋の変更はしません。
次回から更新頻度が1日置きになりますがよろしくお願いします。
昼休みにリーシェが何者かに襲撃され、怪我をしたと聞いたアルティは授業が始まる鐘の音を背に、身体強化魔術を自身に掛けて廊下を全力疾走で駆け抜ける。
(リーシェ!リーシェ!!リーシェ!!!)
途中先生に「廊下を走るなぁぁぁぁ」と言われた気がしたが、リーシェのことしか頭になかったアルティの耳には届かった。
(お願い。無事でいて!!!)
救護室の前で急ブレーキをかけて救護室の扉を勢いよく開け放ったて、無意識に叫んでいた。
「リーシェ!!大丈夫!?」
勢いよく開けられたドアの音とアルティの大声に、入り口近くにある机に座り書類を整理していた保険医の先生が、ビクッと肩を震わして驚いた。
「ち、ちょっと貴方。他にも休んでいる人がいるんだから、静にし―――」
椅子から立ち上がってアルティを注意しようとした近づいて来ていた保険医の先生の両肩を掴む。
「え?なにを―――」
「リーシェは何処のベッドですかぁッッ!?」
最早リーシェの事しか見えてないアルティは近づいてきた保険医の先生を丁度良い所に来たとばかりにリーシェのベッドが何処にあるのかと必死の形相で問い詰めていた。
学園島における救護室とは、一般的な学校にあるような保健室のようなものではなく、文字道り生徒の生徒や教員の重軽傷関係なく治療を行う場所であるため体育館並みに広さがあり、ベッドが6列並んでいて300近くベッドがあるため一つ一つカーテンを開けて確認していくのは大変なので、こうして保険医の先生に見舞いに来た生徒の場所を聞いたりするものだからである。
「教えて下さい。リーシェは何処ですか?!」
「え、ええと、それならそこの3列目の先頭のベッドに―――」
「そうですか。分かりました。」
場所を聞くと、両手のをパッと離して3列目の先頭のベッドに向かって駆け出した。
「あ、こら。救護室では、走ったら―――」
保険医の先生の抑止を無視して3列目の先頭のベッドのカーテンを開けると、布団を掛けられて、ベッドに横たわるリーシェの姿があった。
「リーシェッ!?これは!!!」
駆け寄って布団から出ている手を握ると、その手は包帯が巻かれていた。
「どうしてこんな・・・」
「包帯を巻いてある手には、まだ、あまり触らない方が良いですよ。」
凛とした鈴のような声で話しかけられ、声のした方を見ると椅子に足を揃えて綺麗に座る、長い黒髪の整った顔立ちで両目を瞑った女子生徒にだった。
「刺創でした。スパイクで何度も踏みつけられたようです。状態は、かなり酷く、肉が抉れ、骨も砕けていました。」
感情を込めずに淡々と事実をアルティに伝えた。
「そんな・・・」
その事を聞かされたアルティは顔が真っ青になる。
「ですが、回復魔術とポーションのお陰で、傷は塞がっていますし、骨も復元しています。多少の傷は残るかも知れませんが、日常生活や戦闘面においても支障はないと思いますよ。」
「そう、ですか・・・なら、とりあえずは良かった。」
それを聞いたアルティは、ホッと胸を撫で下ろした。
「それで・・・貴方は、武戦学園の生徒ですね?」
女子生徒が着ている制服が魔戦学園とは真逆の黒を基調とした軍服風の制服であるため、アルティはそう判断した。
島内の学園はそれぞれ、制服の色が違うのである。魔戦学園は白、武戦学園は黒、法政学園は赤、建築学園は灰、製造学園は紺、芸術学園は茶、に別れていて制服の色でどの学園生か判断できるようになっているのだ。
「はい。そうです。武戦学園剣術科2年生のカエデ・ナガシマと申します。」
椅子に座ったまま一礼をした。
「私は、魔戦学園総合魔術科1年のアルティ・リーフレックです。その・・・も、もしかして・・・〝幻雨の剣聖〟のカエデ・ナガシマ様ですか!?」
「皆さんからはそう呼ばれることが多いですね。」
アルティは目を見開いた。
カエデ・ナガシマと言えば学園島最強にして、世界最高峰クラスの大剣豪とも呼ばれる生徒で、あの魔王である学園長のセルジアに「純粋に剣対剣の戦いならば、私は100%彼女に負けるね。」と言わせるほどの凄まじい実力を持つ生徒である。当然アルティは知ってはいたが、会うのはこれが初めてである。
「偶然近くを通りかかったときに、彼女の声が聞こえまして、助けた次第です。」
「そうなんですね・・・あの、リーシェを助けて頂き、本当にありがとうございました。」
アルティはカエデに深々と頭を下げた。
「気にする事はありませんよ。私達は皆、同じ島に住む仲間なのですから、学園が違おうとも助けるのは当然のことですよ。」
そう言って、優しく微笑んだ。
「そう言っていただけると、大変嬉しく思います。」
「そうですか。それは良かったです。」
そう言うとカエデはベッドに立て掛けてあった黒い鞘に収まった刀を手に持つと、立ち上がった。
「それでは私はこの辺で、武戦学園の方に報告をしなければいけませんから。」
「分かりました。リーシェのこと、本当にありがとうございました。」
「いえいえ。それではお大事に。」
そう言い残すと、カーテンを開けて救護室の扉の向こうに消えていった。
「我が主が世話になったようだねぇ。礼を言うよ。序列一位殿。」
廊下に出たカエデを待ち構えていたかのように、入り口横の壁にもたれかかったていたベリアルが声をかける。
「貴方は・・・彼女の召喚獣ですよね?」
「いかにも。私はベリアル。今はリーシェの召喚獣をやっているよ。」
「そうじゃないかと思っていました。それで、どうして彼女を助けなかったんですか?」
「別件で席を外していてね。戻ったらいなかったものだから、探し回って―――」
「それは嘘ですね。」
ベリアルの言い訳をぶった切り、感情を込めずに言い放った。
「貴方はあの場にいましたよね?近くの建物の屋根の上から彼女が襲われているのを静観していた。」
カエデの言葉にベリアルは押し黙る。
「お互い声こそかけなかったですが、気づいていたはずです。何故ですか?何故・・・彼女の召喚獣でありながら、彼女の危機を何食わぬ態度で見ていたのですか?下手をしたら死んでいたかも知れないんですよ!」
カエデのその言葉の端には怒気が篭っていた。
「ふむ・・・まぁ。この程度の誤魔化しにはやはり乗ってくれないみたいだねぇ。」
「お互い目が合っておいて随分と白々しいですね。」
「まぁ。落ち着きたえ。私とて無策と言うわけではないのだよ。リーシェは、戦闘経験が乏しい。そのためにはやはりゴブリンの様な魔物ではなく、人との実戦が必要不可欠なのだよ。」
「だからと言って、どう足掻いても勝てない相手との無謀な殺し合いは止めるべきでしょう?相手が彼女を攫うのが目的だったから良かったものを―――」
「彼らがリーシェを殺さないことは私は事前に知っていたからね。殺される心配は最初からしていないよ。悪くても重症を負わされて彼らのアジトに連れていかれるだけだよ。」
「まさか・・・貴方はッ!!」
その言葉を聞いた瞬間、カエデは鋭い殺気をベリアルに放ちながら、刀に手をかけていた。
「相手が何者で、何が目的なのかを全て知っていて、その上で放置したのですかッ!?」
感情をあらわにして怒気と殺気をベリアルに叩きつける。
「何もかも全てでは無いがね。流石に攫われた人達の全ての場所は把握してはいなかった。だが、仮にリーシェが攫われたとしても、敵のアジトの特定に救出も出来て一石二鳥では無いかね?例えどれだけの致命傷だったとしても、死んでさえいなければ私の魔術で幾らでも再生できるのだからねぇ。」
刹那、カナデの愛刀、夜刀時雨が目にも止まらぬ神速で踏み込むと同時に抜刀され、ベリアルの首で寸止めした。
遅れて響くゴウッと音と共に廊下の掲示板に貼られた紙が宙を舞い、窓ガラスは一斉に割れた。
「速いねぇ。全く見えなかったよ。」
首に刀を突きつけられているとは思えないほどに余裕の態度でカナデを茶化す。
「貴方は―――いや、貴様は、自分の主を・・・彼女を何だと思っていんですかッ!!」
眼を見開き、ベリアルを睨む。
「無論リーシェの召喚獣だとも、契約上はね。それに私はまだリーシェを完全には信用はしていないからね。今のリーシェは、私を使役するにたる最低ラインにすら届いていなんだよねぇ。」
わざとらしく頭を押さえる仕草をする。
「まぁ。私としては、別にリーシェが植物人間になったとしても、死んでさえいなければなんでもいいんだけどねぇ。なんならその方が私の都合良くコントロール出来そうだから好ましくあるがね。」
「人の命を一体何だと―――」
「人の命?そんなもの、家畜と大差などないではないか。所詮、この世界の数多いる生物の中のたかが一種、一人死のうが、百人死のうが、この世界にはなんの影響も無いだろう?私がやっているのは君たちが牛や豚や鳥を殺すのと同じで、何ら不思議なことはないはずたが。それとも君は家畜を殺しその血肉を食べる事に疑問を持つのかね?それに―――」
「もういいッ!黙れ!聞くに耐えない・・・」
いつもの丁寧な口調すら忘れ、刀を握る手に力が籠り、刃がベリアルの首に僅かに食い込み、赤黒い血が流れる。
「貴方が人とは分かり合えない化け物だと言うことはよく分かりました。」
「ん〜。私にとってには、褒め言葉だよ。」
「清々しい程の外道ですね・・・」
「では、どうするのかね。このまま私の首でも刎ねるかね?」
「いえ、貴方のような外道でも、今は人の召喚獣ですから殺しはしません。ですが今回の事件について知っている事は洗いざらい話して貰います。」
「折角で悪いがお断りさせて貰うよ。私はこれから用事があってね。」
「貴方に拒否権があるとでも思っているんですか?」
「あるさ。君は、私を止められないよ。」
そう言うと、胸元から封書を取り出し、カナデに見せる。
「それは・・・まさか・・・学園長直々の勅令書ですか。」
そう、その封書には、学園長の印が蝋で接着してあったのだ。
「よく分かっているじゃないか。まさか、武戦学園序列一位の〝幻雨の剣聖〟ともあろう者が私的理由で、学園長の勅令を受けた者を留まらせるなんてしないだろう?」
「・・・分かりました。」
印は偽造が出来ないし、本人しか押せない、封書が本物なのは紛れもない事実である確認ができてしまった為、仕方なく、刀を下ろす。
「ご協力感謝するよ。」
カナデが刀を下げると横を通り過ぎるように歩き始める。
「まぁ。この学園に居れば嫌でも必ずまた会う事になるのよ。その時は、リーシェを頼むよ。」
通り過ぎざまに、一言そう告げると、カナデは驚き振り返ると、歩いてゆくベリアルの後ろ姿を見た。
「・・・食えない人、いえ、堕天使ですね。」
******************************
「捕まえた男の様子はどうだ?」
騎士団の兵士が上司である初老の男に男のいる独房に続く廊下を急ぎ足で歩いていた。
カエデが捕まえた仮面の男のは騎士団に引き渡され、学園島の内にある、犯罪者用独房に入れられてた。
「今回の行方不明事件の実行犯として、尋問しているのですが、一向に喋る気配がなくて・・・」
騎士団は行方不明になった生徒情報聞き出すために、尋問を繰り返しているのだが、一向に口を割らないのである。
「もうこの際だ。拷問でもなんでもして構わん。兎に角誘拐した人達について聞き出せ。」
「了解しました。」
独房室と書かれた金属プレートの付いた鉄の扉をくぐると、男の独房の前に笑顔を浮かべて白い仮面をしたバーテン服のべリアルが壁にもたれ掛かり立っていた。
「やぁ。遅かったね。騎士団諸君。」
騎士団が入ってくるのを確認すると、壁から離れて向かい合うように立った。
「な!?誰だ貴様!!」
「何処から入った!!」
ドアを開けると得体の知れない男がいきなり現れて、初老の男を含む4人の騎士はショートソードを構えた。
「ここに、捕まった男が居ると聞いたのでね。」
「なぜそんなことを知っている!?」
「ついでに言えば、中々口を割らないくて困っているらしいね。」
「貴様、どこまで知って―――」
「だから、私が君達の変わりに拷問して、情報を引き出してあげようと思ってね。」
「貴様のような怪しい奴に誰が―――」
べリアルは胸元から丸まった封書を取り出して、初老の男に投げた。
初老の男は、警戒するようにゆっくりと封書を開けた。
「なぁ!?これは、学園長直筆の許可証だと・・・」
それは、学園長直筆のサインが入った許可証だった。
この学園島において、学園長とは王様と同じような権限を持っているのである。
「ご理解いただけたかな?」
「ああ。わかった。好きにしてくれ。」
「な!?騎士団長、あんな奴に任せて良いんですか!!!」
若い騎士が異を唱える。
「学園長命令だ。いいな。」
「・・・は、はい」
「話は纏まったみたいだね。それじゃあ。10分ほど待っていたまえ。」
そう言い残して鉄の扉を開けて、独房の中に入った。
「やぁ。まだ、元気そうだねぇ。」
独房に入ると、そには椅子に手足を縛り付けられた男がいた。
「貴様は、あのときの悪魔ッッッ!!!」
べリアルが話しかけたら瞬間、それまで下を向いていた男がバッと顔あげてべリアルを睨む。
「私をこの世界の低級な悪魔などと一緒にしないでほ良いね。」
「黙れ。悪魔め!!!貴様の声なんぞに耳を貸すものか。」
「そうかね。では、さらった人間は何処にいるのかね。」
「貴様に語ることなど何もない!!俺の拘束を解け、貴様を浄化してやる!!!」
「ふむ。なら、喋ってもらうようにするだけだよ。」
「無駄だ。私は神に全てを捧げた身だ。如何なる拷問にも口を割らんぞ!!」
「ふーん、そうかね。ならて試してみようかねぇ。」
べリアルは男の前に立つと、右の人差し指を引きちぎった。
「簡易〝釘の苦悩を〟」
そう呟くと、右の人差し指がグチュグチュと生々しい音をさせながら、深紅の一本の釘に変形した。
「この釘はねぇ。刺すとすごく痛いんだよ。」
ゆっくりと男の目の前に持っていき、拘束された指先をなぞるり、人差し指の第一関節辺りで止める。
「どれぐらいかって?これぐらいだよ。」
左手に持った釘を人差し指の第一関節に突き刺した。
「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ―――」
釘を刺された瞬間男は、狂ったように叫びだした。手足を痙攣させ、涙と涎撒き散らしながら、暴れる。
「痛いだろう。なんせ、人間の出産の10倍の痛みだからねぇ。」
そうして釘を抜くと、痛みから解放されて肩で息をしていた。
「しかもこれはねぇ。痛みでショック死することもなければ失神もできない。そして、刺された者は絶対に自分では抜くことができない。そして刺さっている間は10年だろう100年だろうと死ななくなる。」
「あぁぁぁぁ・・・あ・・・あ―――」
涙と涎でぐしゃぐしゃになった顔で体をガタガタ震わせて、命乞いをする。
「い・・・いや・・・たすけ・・・」
「それじゃあ、本番行こうか。」
そう言うと一本のだけだった釘がまるでマジックのように、手の中で20本に増えた。
「さぁ。君は何本耐えられるかなぁ~。」
心底愉快そうな声で男に語りかける。
「ひぃぃぃぃッッッ・・・いやだ・・・いやだぁぁぁぁぁぁぁッッッ―――」
それから10分間独房内はこの世の者とは思えない修羅のような男の叫びがこだますのだった
作品の感想・意見などあれば気軽にコメントしてくださるとありがたいです。
可能な限り返したいと思います。




