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無能と呼ばれた少女は最狂の堕天使を召喚しました。  作者: アズライト
第2章 島内誘拐事件
20/43

統戦議会

投稿が予定よりかなり遅れてしまいました。すみません。

18日に起こった京都アニメーションの火災はハルヒ世代の作者には物凄くショックで3日ほど放心状態でした。34人の尊い命が犠牲となりました。心よりご冥福お祈り申し上げます。

さて、今回の話は十二将メンバーが一気に登場します。


その日の午後、魔戦学園の学園長室に向かう廊下は、学生でごった返していた。


「おい、見ろよあれ・・・」


「ああ。すげーな。いったい何が始まるんだ。」


「十二将が揃い踏みですわね・・・」


「これは・・・壮観だねぇ。」


生徒達の視線の先には12人の男女が歩いていた。

そして、その進行を妨げないように生徒達は廊下の端に避けて道を作っていた。


「わーお。大騒ぎだね~。」


十二将の一人であるミナトは集まった生徒達の見渡しながら歩きながら十二将メンバーにだけ聞こえるような声で呟いた。


「そりぁ、珍しいんやないの。私達全員が集まる事なんて滅多にないさかいねぇ。」


ミナトより前に歩いていた、紫髪のセミロングの女子生徒で〝惡ノ幻想(ダーク・ファンタジア)〟の二つ名を持つ序列二位のイリス・アステアルトは妖艶な笑みを浮かべながらエセ京都弁ような口調で首だけ動かして、ミナト呟きに答える。


「イーちゃん、相変わらず喋り方が、いや、一挙一動がエロいね。」


「あらぁ、そない?」


「え?自覚ないの?さっきから一部男子生徒が若干前屈みになってるのにさぁ。」


ミナト言われ、イリス辺りを見渡すと目が合った男子生徒達が顔を赤くしていた。イリスはそんな男子生徒達に微笑み小さく手を振る、それに気づいた男子生徒達は、「今、俺に手を振ってくれたぞ!!」「ばか。おまえじゃねよ、俺だよ。」「おいおい、何言ってるんだよ。俺に決まってんだろが。」「はぁ・・はぁ・・・ぐうしこ。」などと言いながら、ちょっとした揉め事になっていた。


「ふん。まったく、ことあるごとに男に媚びを売るとは、虫酸が走るぞこの魔女が。」


イリスの右斜め後ろにいる青髪の男子生徒で〝雷帝(らいてい)〟の二つ名を持つ序列九位のレスト・ラントムは、そんなイリスの仕草を軽蔑したような目を向け、吐き捨てるように呟いた。その言葉にほんの一瞬レストの方を見るが特に気にした様子もなく、妖艶な笑み浮かべる。


(あぁぁぁぁぁッッッ。何言ってんだ俺はぁぁぁッッ。イリスさんが他の男子を見ていて腹が立ったからって、いくらなんでも言い過ぎだろ俺のバカ野郎ぉぉぉぉぉッッ―――)


自分の発言に内心滅茶苦茶後悔していた。

彼は何を隠そう入学式ときに学校の門から花魁のように優雅に歩いてくるイリスの姿に心を奪われた。一目惚れだった。それから絶賛片想い中であった。


「人聞きの悪いこと言わんで欲しいわぁ。私はこういう性分なだけで、別に誘惑しとるつもりはあらへんよ。」


「はん。どうだか。」


(あぁぁぁぁぁッッ―――違うんです。そんなつもりはないんです。怒らないでぇ、嫌わないでぇ、こうしないと喋れないんです。ごめんなさいぃぃぃぃ―――)


彼はかなり重度のコミュ障であった。中二ぽいキャラを作らなければ人とまともに会話ができないのである。


「おいおい、レスト。それはいくらなんでも言い過ぎだぞ!!」


レストの前を歩いていた黒髪の男子生徒で〝断絶者カッティング・クラスター〟の二つ名を持つ序列四位のトウマ・アライはレストの発言に顔をしかめて振り返る。


「なぜお前が口を出すのだ。トウマ。それともお前はその女に気があるのか?」


(え、やめてよね。お前までイリスさんが好きとか言い出したら俺の勝ち目がなくなるだろ。いや、ほんとに。)


口では強気なことを言っているが、内心はトウマもイリスに気があるのではないかとビクビクしていた。


「おい、なんでそうなるんだよ。俺はただ単に、お前の発言がイリスさんに対して失礼だから注意しただけで―――」


(ですよね~。ごもっともです・・・)


「そのようなくだらん理由で話に入ってくるな。俺はそこの女と話しているのだ。貴様の話など聞いておらん。」


(分かってるんだけど、ごめんねぇ。トウマ。キャラ作ってないとまともに会話できないからね。)


「なんだと―――」


「二人とも、喧嘩ダメヨ。いろんな人見てるヨ。」


腰まである長い黒髪の三編みに褐色の肌で〝呪歌(じゅか)〟の二つ名を持つ序列十二位の女子生徒ラッティラ・サックァスである。彼女は南にある大陸の人里離れた限界集落の出身で独自の言語を使う部族であったため訛りが残る片言で、レストに食って掛かろうとするトウマとの間に手をぱたぱた振りながら滑り込むように入って止める。


「私達、学園、生徒代表ヨ。揉める駄目ヨ。」


ラッティラは頬を膨らませて、二人を怒った。


「いや、でも・・・」


「駄目!!!」


全く迫力のない、むしろ可愛らしさすらある怒気に二人は気が削がれてしまった。


「わ、わかったよ・・・」


「ふん。」


(仲裁ありがとう。ラッティラちゃん。俺だけだったらきっともっとややこしくなってたよ。そして可愛い。)


レストは顔には出さないが、内心少し和んでいた。


「無駄口は慎め。我ら魔戦十二将はこれより学園の代表として武戦十二将との合同会議、統戦議会へ参加するのだ。」


圧の効いた背筋が凍るような低く冷たい声で先頭を歩いていた

長い金髪のエルフの男子生徒が言い放つとメンバー全員が押し黙った。


「予告のない緊急召集、何か重要な案件であることは間違いない。君達はもう少し学園の代表としての自覚を持て。」


感情の籠っていない蒼い瞳でそう告げる彼こそ、学園島最強の大魔導師と言われる魔戦学園序列一位〝反転領域リバース・サンクチュアリ〟の二つ名を持つニーベル・スライオスである。


「そうだな。すまない・・・」


「・・・・・」


(やっべー。滅茶苦茶こえーよ。ライオスさん・・・なにその威圧、殺されるかと思ったよ・・・)


凄んだニーベルに対し、素直に謝罪するトウマと表情こそ変わりないが、内心ビビりまくりのレストであった。

そして全員で学園長室の木製の重厚な扉の前に立つとゆっくりと開いた。中に入り床に展開された赤い魔方陣に全員がおさまると魔方陣は赤く光り輝き、十二将達は学園長室から姿を消した。


*******************************


光が収まるとそこには、ドーム状になったフロアであった。天井には絵画が描かれ、部屋の壁には様々な額に入った絵画が並び、天井を支える白い石膏の柱は蔦や花、様々な格好の人物の彫刻が施され、床は白と赤の不思議な模様のモザイク画が等間隔で並ぶ大理石で出来ていた。


「しっかし、いつ見ても無駄に豪華だな・・・いつかテレビで見た神殿みたいだな。」


トウマはドーム状天井の絵画を見上げながら、呟く。


「だね。なんかベルサイユ神殿とかにありそうだよねー。こういう場所。」


「て、てれび・・・とはなんですか?それに、ベルサイユ神殿?という名前の神殿も聞いたことありませんが・・・」


トウマとミナトの会話にルクシリアは、ハテナマークを浮かべた。


「あー、えっと・・・テレビってのは、その・・・電力で四角い板に映像を写してだな・・・」


「四角い板から映像?デンリョク?」


トウマの微妙な説明にルクシリアはますます首を傾げた。


「その説明じゃわかんないよトウくん。つまりね、この世界風に言うと、大規模イベントで使う映像投影魔術を四角い板のサイズに映しだしたものなんだけど。なんの為かと言うと今みたいに大勢の人が一ヶ所に集まらなくても見れるように、家庭用として作られた小型の映像投影装置って感じかな。まぁ。大型もあったけどね。」


「なるほど、そう言うことですか。それにしても、ミナト達のいたニホンなる国は、映像投影魔術写し出せるを小型の装置があるなんて凄い技術を持っているんですね。でも、すごく高価な物なのでは?」


「確かにそんなに安いって訳ではなかったけど、大体みんな一家に一台はあるし、私の家には3台ほどあったよ。」


「そうなんですか!!!凄いです。技術大国なんですね。是非とも行ってみたいですね~ニホン。」


ルクシリアは目を輝かせながらまだ見ぬ日本に思いを馳せていた。


「フォローありがとう。ミナト。」


「まったくだよ。トウくん昔から説明下手なんだから。」


そう、二人はこの世界の人間ではなく、日本からこの世界に召喚された召喚者であった。漢字名で書くと真壁湊(まかべ みなと)新井当麻(あらい とうま)は幼馴染みで、保育園から高校までほぼいつも一緒で、学校ではクラス公認のバカップルとして有名だったが、別に付き合っているわけではなかった。最も当麻は湊に対して気があるようだか、ミナトはそんなことには全く気づいていなかった。


フロアの真ん中には、左右向かい合うように並ぶ12個の席と一番奥の真ん中に学園長の席があり左側の席は既に武戦十二将全員が学園長から近い順に序列一位から十二位までのメンバーが揃っていた。


「おうおう。魔戦の十二将は随分と来るのが遅いのう~。武戦十二将(儂ら)も、学園長も10分前には来ておったとゆうのに随分な重役出勤じゃの~。」


十番目の席に座った茶色い髭のドワーフで〝破壊者(ディザスター)〟の二つ名を持つ武戦学園序列十位のカルメル・コールソンは魔戦十二将全員にわざと聞こえるように呟いた。


「緊急召集だったゆえ、他のメンバーのスケジュールの調整にほんの少し時間が掛かったのだ。」


ニーベルは適当に返事を返しながら、席についた。


「スケジュール管理も満足にできんのかぁ、魔戦の十二将は―――」


「構わん。私が多少遅くなるとの報告はニーベルから受けている。それに今回は緊急召集だ。それぞれの予定を押して集まったのだ。10分程度遅くれたとて、差して問題ではない。」


一番奥に席で両肘をつき、顔の前で指を組んだセルジアの深紅の瞳で射抜かれてカルメルは押し黙った。


「学園長、魔戦十二将全員そろいました。」


ニーベルがセルジアに報告する。


「さて、それでは、始めようか。これより、緊急合同統一作戦議会を始める。」


セルジアが統戦議会の始まりを高らかに告げた。


「今回、君達十二将全員に集まってもらったのは、件の学園島島内に置ける生徒、教員及び学園関係者、住民や従業員の行方不明事件にて進展があったためその報告と今後の()()を伝える。」


「今後の方針ではなく〝作戦〟なのですね。」


セルジアの含んだ言葉にカエデはほんの僅かに目を開いた。


「はんっ。方針じゃなくて作戦っつうことは、おおかた犯人の目星がついたっつうことなんだろうなぁ。」


左側の三番目の席座る灰色の髪の男子生徒で〝黒き死神(ブラック・リィーパー)〟の二つ名を持つ武戦学園序列三位のルース・グラハムは左肘をついて、愉快そうな笑みを浮かべる。


「そんでもって、その犯人どもをぶっ殺す為の作戦をこれからあんたが俺達に伝える。そうなんだろう?」


先程よりも遥かに狂喜じみた獲物を求めるハイエナのような獰猛な表情でセルジアに問う。


「ああ。その通りだ。」


底冷えするような威圧的な声で答える。


「今回事件の調査が大きく進展する切っ掛けになったのは、魔戦学園の生徒が誘拐されそうになった現場に偶然居合わせたカエデが誘拐犯の男を無効化してその生徒救出して、犯人を騎士団に引き渡した。しかし、犯人は中々口を割らなかった。そこで、とある生徒の召喚獣に協力してもらった結果、男から情報引き出すことに成功した。」


「質問。その、とある生徒の召喚獣とは、例のべリアルとか言う堕天使のことでありますか?」


左側の四番目の席に座る茶髪に黒い細身の機械質なアイマスクをした筋骨隆々で大柄な男子生徒で〝絶対要塞アブソリュート・フォートレス〟の二つ名を持つ武戦学園序列四位のグライ・スパーダは、感情の籠っていない無機質な声で確認する。


「そうだ。そして、今回直接被害にあった魔戦学園総合魔術科一年のリーシェ・アストルの召喚獣でもある。」


「理解したであります。」


「では、続ける。リーシェ・アストルは犯人の男と交戦をし、全身打撲に肋が3本と手の甲は深い刺創で粉砕骨折の重症を負った。幸い命に別状はないし、上位回復魔術で状態は安定しているようだが、右手の甲には一生消えない傷が残るだろうな―――」


バキンッッッッ―――


甲高い音を立てて、魔戦学園側の大理石のテーブルに蜘蛛の巣状のひびが広がった。

そして、そのひびの発端は右側の五番目の席に座るミナトだった。


「クソがぁッッッ!!!」


「ミ、ミナト・・・」


普段のミナトからは全く想像もつかない、もとい、幼馴染みのトウマですらもこんな状態のミナトは見たことがなかった。 ここにいるメンバー全員が武器を構えたりや詠唱を始めそうになるほどのおそろしい殺気を放ち、悪鬼のような形相を浮かべ、汚い言葉を吐いていた。


「ハハッ。やベーな。ありゃ、ガチでキレてんな精霊巫女の奴。スゲー殺気だぜ。」


ルース若干額に冷や汗を掻きながら、呟く。


「クソ、クソクソッッッ!!!なんで、べリアルもいない状況で一人で行かしたんだ私はッッ!!!あの子は私達が守ってあげなきゃいけないほどに弱いと言うのに―――」


べリアルもいない状況で、相手はAランク冒険者以上の実力をもつの可能性のある存在だと分かっていたし、伝えていた。

そして当然ながら、リーシェが狙われる可能性だって十分にありえるはずだったのに。

それが分かっていながら、一人で行かせてしまった自分自身にどうしようもない激しい憤りを覚えた。


「それなのに、私はッッ―――」


「ミナトだけのせいじゃない。それを言うなら私も同罪ですよ。」


「右に同じく。リーシェを止めなかったのは。私も。同じだから。」


ルクシリアとアールもミナトと同じく腸が煮えくり返るような気持ちだった。


「だからこそ。絶対に赦さない。」


「ええ。私達の可愛い後輩に一生消えない傷を付けたこと、死ぬほど後悔させてやりましょう。」


「ルーちゃん、アーちゃん・・・ごめん。ちょっと、取り乱しちゃったよ。」


ルクシリアとアールの言葉で、いつもの調子にミナトに戻った。


「話の腰折っちゃってごめんね。学園長。」


「なに、気にするな。かくゆう私もキレそうだからね。」


そう言うセルジアの言葉の節々には、僅かに殺気が見え隠れしていた。


「では、話を続ける。男のから得た情報だが、今回の行方不明事件の首謀者は、で尋問した男の正体は、人攫いを専門とする組織、〝黒薔薇(ブラックローズ)〟の構成員だ。」


「黒薔薇っすか・・・そこそこ大きな裏組織っすねぇ。」


黒髪の童顔な男子生徒で、〝全創剣(オール・ソード)〟の二つ名を持つ武戦学園序列十二位のリオ・ネルガスは、確かめるように呟く。


「しかも、男の情報によると、もうすでに何人かは、島の外へ連れ出されたようだ。しかし、まだ多くの行方不明者は島内に監禁いるそうだ。」


「それでは作戦を伝える。」


セルジアの見え隠れしていた殺気が先程より漏れていた。


「君達は十二将の目的は、島内の行方不明者の救出と島内に置ける敵の殲滅、終わり次第、島外に連れ出された行方不明者の救出した後に、黒幕である大手奴隷商会グランド・ロアと実行組織の黒薔薇を完膚なきまでに叩き潰す。作戦は、今から4時間後とする。それまで各自準備をしたまえ。」


「奴らに、我々に手を出したことを、死ぬほど後悔させてやろうではないか。」


「「「「「了解。」」」」」


十二将全員が賛同の返事をした。


「さぁ。覚悟しろよ。グランド・ロアと黒薔薇。全て鏖殺してくれる。」












名前が出てない十二将メンバーも近いうちに全員でます

作品の感想・意見などあれば気軽にコメントしてくださるとありがたいです。

可能な限り返したいと思います。

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