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八話

久しぶりの更新になります。

朱唏が怪しいとわかってからは翠蘭が秘かに放った間者たちから次々と情報が舞い込んだ。


蓮が調べた通りに朱唏と白來国の王妃が密かに連絡を取り合っている事がわかった。翠蘭は皇太子と王妃が対立しているらしいとも書かれた密書を読んで事態が厄介になっているのに頭痛を感じた。

「何でよりにもよって王妃と皇太子が政治的に対立しているんだ。朱唏の事だけでも厄介なのに」

ぼやきながら手を叩いた。部屋に音が響く。音もなく扉が開き、術師の睦月が現れた。

「陛下。お呼びでしょうか?」

「睦月。蓮と白來国の第二王子を会わせたいと思う。それか裟浬の子息でもいいと思うのだが」

「…蓮姫の結婚相手ですか」睦月が肩を竦めながら言えば、翠蘭はにやりと笑った。

「まあ、そういうことだ。睦月、お前がなってもいいんだぞ」

「陛下。冗談が過ぎてます。蓮姫はこの国の龍の巫女。わたしとでは身分差がありますから無理かと。姫は裟浬様のご子息にお譲りしますよ」

「何だ。つまらんな。お前にだったら蓮を任せられると思ったんだが。睦月、身分差など気にしなくていいんじゃないか?」

翠蘭が問うと睦月は真顔でため息をついた。

「陛下。しつこいですよ。蓮姫に好きな方ができたらそちらに嫁いでいただけばよい話でしょう。裟浬様のご子息の佐維(さい)殿だったら蓮姫のお相手にふさわしいと思いますがね」

「まあ、確かに。佐維だったら蓮を大事にはしてくれるだろう。仕方ない、第二王子の事は睦月の部下の梅花に任せるよ」

「…もしや。蓮姫に第二王子とお見合いをさせて探ってもらおうという魂胆ですね?」

睦月が呆れながらいうと翠蘭は目を見開いた。

そうして、面白そうにくつくつと笑った。

「へえ。わかっているじゃないか。その通りだ。蓮には悪いが第二王子の本音を探ってもらおうと思っていた」

翠蘭が答えると睦月はやれやれと本日何度目かのため息をついた。意外と翠蘭は蓮を気にかけてはいるが国のためとならば、天秤にかけられる冷徹さを併せ持っている。その一面を知る睦月は蓮は早めに嫁いだ方が彼女のためかもしれないと思った。


翠蘭は裟浬を呼び出すと息子の佐維を連れて来るように命じた。裟浬は言葉の意味を正確に理解したらしく驚きながらも息子を呼びにいく。

睦月はそれを神妙な面持ちで眺めていた。佐維はこれから王に試される事になる。

気の毒にと思う。

しばらくして、裟浬が青みがかった黒髪に淡い水色の若い青年を連れてきた。青年は年頃からすると二十歳くらいで顔立ちも翠蘭や睦月に負けず劣らずの美形だ。

真面目で勤厳実直な感じの雰囲気を持っていて堅物という印象を相手に持たせる。だが、きびきびとして水際だった男らしさを併せ持っていた。

翠蘭は青年を観察しながら蓮をやるんだったらまずは合格かと思う。

「…陛下。息子を連れてきました。佐維、挨拶を」

裟浬に言われて佐維と呼ばれた青年は跪いて頭を深々と下げた。

「私めをお呼びと父から伺い、参上致しました。何用でございましょうか?」

「そなたが裟浬の子息の佐維か。確か、近衛の衛士だったな」

「はい。確かにそうですが」佐維が返事をすると翠蘭はさてと顎に手を添えて考えた。なかなかに武芸の腕は立ちそうだと思う。が、蓮を託すには少し頼りない気もする。

「佐維。そなたを呼んだのは妹の事についてだ。父君からは聞いているか?」

「はい。簡単に説明は受けています。何でも姫様に縁談が出ているとは聞き及んでおりますが」

「…蓮姫に縁談が出ているのは本当だ。相手は佐維、そなただがな」

翠蘭が告げると佐維は呆気にとられたらしく固まってしまう。

「な。姫様の相手は私になっているのですか?!」

「そうだ。白來国の第二王子との縁談も考えているが。睦月に反対されてな。そこでそなたとなったわけだ」

翠蘭は愉快そうに笑いながら言った。睦月は意地が悪いと内心でぼやいた。

佐維と翠蘭はしばし見つめ合ったのだった。

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