(Other Side) 『蔦』 والتف أي خطأ اه 嘆く、一つ、振り向く Case:Unknown
「全く、とんだ『物語』だ」
「全くですわ」
「そうだ、全くだ」
「『悲劇は最大の喜劇』。だけども、それを彩どるのは、人間らしく、人間らしくない『登場人物』なのさ」
「それを用意して盛大に盛り上げてやろうというのに……」
「ガブリエルめ、いや、『この世界』の人物は『樹』に最も近いくせに『蔦』である俺達の理想とは異なりやがる」
「『樹』に近いが故に生まれたアビスの住民と近しき存在、インカネーター。強大過ぎるが故に、なかなかどうして扱いにくい」
「全くだ。君もそう思うんじゃないのかい? 『サイモン』?」
「全く、その通りだ。『私』は、最適たる少年を誘惑し、わざわざシヴァリンガを介して『私達』と類似する力の破壊神の力を与えたのに」
「シヴァは?」
「取り込んだ。元々、分かりやすい奴だからな。ブラフマーも、ヴィシュヌも気付かない」
「イシュタルを『喰った』シュブ=ニグラスを参考にしたんですけどね。いはやは、あれは、良い『物語』でした」
「良い『題材』だったなぁ」
「所で、『サイモン』。君はこの後、どうしたい?」
「もう意味がない。ルシファーを放置して、ミカエルの破滅の意志に身を委ねよう」
「ふふ、そうなれば、少しはマシになるかもよねえ」
「あいつも、『抵抗』したよね」
「『さよなら』だね」
「ルシファーを助ける」
「はぁ? 意味がわからん」
「ルシファーを助けるんだ」
「どうした、『サイモン』?」
「桐人を助ける」
「おい! 何だ、お前も、『賢司』と同じか」
「桐人を助ける」
「答えになっていない」
「リチャードさんを、助ける」
「お前? どうした?」
「リチャード、さん、を、た、す、け、る」