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相棒は猫?

「猫?なんか重いなと思ったら・・・ていうかこの世界にも猫っているんか」



朝寝苦しくていつもより早く目覚めると俺の掛布団の上にハチワレ猫が乗っていた。

一体どこから入って来たのか・・・。呑気に丸まってよく眠っている。

起こさないようにじっと見ていると、やがて猫は目を醒ますと欠伸を小さくしてから

ぐーーと大きく伸びをしてから手で顔を洗う動作をする。

俺の視線に気づいたのか猫はベッドからぴょんと飛び降りてから俺の方を見上げる。


「よう、孫六爺さん、おはよう。良い朝だね」

「ね・・・猫が喋った!?」


「ああ、この姿はお前の記憶にある生物を再現してみたんだ」

「ちょ・・・ちょっと待て。どういう状況だこれ」

「察しが悪いなあ。私だよ『トトノエ』だよ。精霊の姿のままだと色々不都合

だから適当な”肉”から生成して受肉したんだ」


「トトノエ!?お前さんそんな事まで出来るのか。見た目は猫にしか見えんが」

「ふふん、すごいだろう?流石に人間は難しかったから身軽そうな生物にしたのさ」


驚いたな。まさかこの世界でも猫を見ることが出来るとは。

トトノエは得意げな表情でふふんと鼻を鳴らしている。

見た目も相まって何とも愛くるしい姿に思わず顎を撫でてやると、

気持ちいいのかゴロゴロと喉を鳴らし始めた。こうして見るとまんま猫だな。

前世でも柴犬と三毛猫を飼っていた。

農家の土地は無駄に広かったので放し飼いだったが。


トトノエを抱き上げ今に行くとマーガレットとリーシアも起きていて朝食の

準備をしていたのだが、彼の姿を見るなりぎょっとしていた。

初めて見る動物だったらしいが、見た目のかわいい姿にすぐに寄って来た。


「どうしたのですかその動物は?初めて見ますけど噛んだりしませんか?」

「お兄ちゃん、この子なに~?可愛いね~。触ってみてもいい?」


「おい小娘共、僕は由緒正しき豊穣神様の使いだぞ。気軽に・・・」

「喋った!?」


やれやれ。まぁこうなるよな。

俺はこの後二人に30分かけて現在の状況を説明してようやく納得して貰えた。

もちろん前世の生物とは言わずに適当に誤魔化した。

その間もリーシアに捕まったトトノエはずっと”もふもふ”されていた。

偉ぶった態度を取っていた割にはまんざらでもなさそうだな。


「そうだったんですね、しかし驚きました。まさか精霊とは・・・」

「その・・・やっぱり珍しいのか?精霊っていうのは」


「ええ、とても長く生きた樹や竜が住まう聖域で稀に見る事ができるらしい

ですが、いずれにしても人の住まないような地の気が満ちている場所に生息

しているとだけ・・・」


こっちの世界でもかなり稀有な存在らしい。

まあ今はただの猫にしか見えないが・・・。まあいいか。


──昨日の夜、俺はこいつと契約した。

精霊が権能を発揮するには対象者と契約を交わさないといけないらしい。

契約と言っても勿論前の世界のように契約書にサインとかする訳ではなく

名を名乗ってから契約すると宣言すれば成立するらしい。

何故契約が必要だったかって?

それは俺がここ何か月かずっと悩んでいた事が簡単に解決するからだ。


「よし、トトノエ畑に出ようか。さっそくだが例の件を頼みたい」

「うん、では行くとしようか」


そう言うとトトノエはリーシアの腕の中から身を捩って抜け出しトコトコと

出口に向かって歩き出す。

俺がドアを開けてやり外に出ると、とても雲一つない良い天気だったが

その分今日は風が冷たくて、トトノエはブルリと身を震わせていた。

うーん、寒さに弱い猫には堪えるんだろうな。俺は慣れてるけど。


「さ・・・寒い。やるなら早くしよう」

「ああ、わかった。じゃあ俺が頼みたいのは”じゃがいも”の種芋だ」


「じゃあ、目を瞑ってその種芋を頭に思い描いて」

「ん?・・・・それだけでいいのか?」

言われた通りに目を瞑り頭にじゃがいものイメージを思い描く。


「よし、いいだろう。ちょっと待ってね。よっと!」

そういうとトトノエは俺の体をよじ登り、頭の上にぴょんこんと乗ってきた。


「よし、じゃあそのまま地面に手をついて」

「地面に?こうか?」


トトノエの指示通りに手を地面に着いた瞬間、地面がパアっと明るく光り

目の前にはすごい数の種芋が土からモコモコと飛び出してきた。

これは一体どういう理屈なんだ?

・・・と考える間もなく俺の体は急に鉛のように重くなり、思わず膝をついた。

目の前が暗くなりまるで重度の貧血みたいだった。


「うっ・・・く・・・なんじゃこりゃあ」

「ごめんね。まだ契約したてで僕は力がうまく解放出来ていないから君の生気を

半分触媒にさせてもらったよ。大丈夫少し休めばすぐに治るよ」


そういう事は最初に言って欲しいものだ。

うう・・・ちょっと吐き気まで込み上げてきた。キーンと耳鳴りも酷い。

俺が地面に這い蹲っていると「大丈夫ですか!!」と慌てた声が聞こえた。

マーガレットが俺を心配してくれたみたいだ。


それから30分程で少し回復してきたのでヨロヨロと立ち上がった。

「だ、大丈夫ですか?」「あ・・ああ、問題ない」

まったく酷い目にあった。生気を吸われるとか・・・・

今度からトトノエに何か頼むときは覚悟しておかないとな。

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