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本好き勇者のお店屋さん〜クソ雑魚勇者の辺境店舗  作者: 夏飼 今日輸
2章 2冊目 獣人の魔法使いと時の止まったお姫様
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37ページめ

描き終わった〜の気分で更新を忘れるカス、それが私です。

 僕のスキルは、基本的に、というより、絶対に等価交換を行うようになっている。それは、魔力、物質、あとはそこら辺のエネルギーでもなんでも、【指定したもの】を【欲しいもの】に交換するスキルなのだ。つまり僕は、この死体の山を使って、望む事象を引き起こそうとしているのだ。


『素晴らしい────』


 死体の一部を魔力に変換し、自分と王女サマの保護を。そして、無理矢理に彼女を成長させる。肉は肉。骨は骨。DNAが違うものでも、スキル的には等価だ。簡単に変質させて補える。バキバキ、ボキボキと、人体から鳴ってはいけない音がするが、そのために保護をしているのだ。僕はともかく、少なくとも、【情報輸入】の計算に間違いは無い。

 そして最後に、血管内の洗浄。成長させた年齢の平均的な状態になるように、異物を除去していく。これ、間に合うか?


「魔力が……………。法魔さん!」


 肩に置かれた手から、莫大な魔力が流れ込んでくる。これで、ギリギリ倒れずに全部を終えられる。あとは、集中力との勝負だ。






 ぽたりと汗が地面に落ちた。


「あ゛ー」


 ゾンビみたいな声が口から出た。


「と゛う゛に゛か゛な゛っ゛た゛」


 水飲みたい。

 王女サマは、生成した点滴に繋がれて眠っている。いやまぁ、何も感じない程の深い眠りと現状の保存、それが僕が使った保護だから当たり前なのだけれど。あとはもう、7割健康体の身体と、お薬、栄養で、すぐに元気になるだろう。調べたからこれは100%の確率で当たるのだ。


「み゛す゛を゛く゛た゛さ゛い゛」


 ふらふらと外に出て、待機していたメイドさんに言う。そして、僕はぶっ倒れた。完全に脱水症状だ……………。しぬ………。






 目を覚ますと、知らない天井だった。


「『また、知らないてn』ぐぇ」


 あの名台詞を言おうとしたら、ナニカが凄い勢いでお腹に突撃してきた。


「い、生きていますね!?私のかわりに死んでしまうかと思いました!病に犯された赤子と健康な男性ならば、赤子を捨てるのが当たり前でしょう!?本当に、もう二度と、私のためにこんなこと──こんなことをしないで下さい!」


 あー、王女サマか。流石は王家というべきか、とてもかわいらしい容姿をしている。


「脱水症になるような汗をかく予定はなかったんですよ」


 話しはここらにしといて、図書室に行こう。正直、依頼を引き受けてしまったからやっただけで、それ以外の接点が何一つとしてないのだ。そんな相手──しかも王族──と話すのは、正直気が進まない。


「間違って引き受けてしまったから治したまでです。では、約束のものを貰いに行きますので、これで」


 そう言って立ち去ろうとすると、袖を掴まれた。振りほどいたら殺される気がする。止まらざるをえない。


「せめて、お礼を。ありがとうございました。お兄さんは、命の恩人です」


 ………………………………お兄さん?


 つまり、僕を♂として認識している?


「い〜〜〜〜〜〜い娘だねぇ。何か欲しいモノはあるかい?お兄さんができる範囲でやってあげよう」


 素晴らしい!久しぶりだ……………。久しぶりに性別を間違えられなかった。もうそれだけで僕の好感度は上限値まで上がった。『キャップ』がかかってるから、親愛が上限ではあるが。


「…………3日ぐらい、お城(ここ)にいてくれませんか?」


 3日か……………。店番…………ブラウル……………ブラウルかぁ………いや、うーん。


「大丈夫だと思おう!よっし、じゃ、王サマに訊いてくる!」


 僕は全力で走っていった。






 執務室を開いて即発声。


「3日ぐらい滞在させて下さい」


「いいよ〜」


「「……………………」」


 え、軽い。そんな軽くていいんですか?一応は王なんですよね?


「え、軽」


 あ、声に出ちゃった。恐る恐る相手の顔を見ると、


(ニコニコ)


 笑顔!爽やかすぎる笑顔!怖いが過ぎる。


「あ、そうだ」


 重苦しい沈黙を、その言葉が断ち切った。


「娘を助けてくれたからね。キミにはお礼をしナイと」


 ガチャリ、と壁に飾られた剣が持ち上げられた。ひ、膝が震えて脚が───。


「王宮図書の永久貸し出しの承認………………。それと──」


 剣が振り上げられる。


「これは娘の身体に針刺してくれたおレイじゃああああああ!」


「ひええええええええええええッッッ!?」


 火事場の馬鹿力か、ギリギリで横に跳ぶことが出来た。よ、避けられたけど、避けられたけどッッッ、今度は腰が抜けて──。


「キエエエエエエエエ!」


「うわああああああああッッッ!」


 無様に、格好悪く、ゴロゴロと横に転がって2撃目を避ける。依頼をこなしただけなのに、なんでこんなことに……………。


「衛兵!奴を取り押さえろ゛っ!?」


 スパーンといい音が響いた。


「アンタが恩人をぶっ殺すようなおバカなら、ここを出て行くぞ?」


 あの時の、簀巻きにしてきた姐さんじゃないか。元はといえば、この人のせいでこんなことになったようなものだけれど、今は感謝だ。逃げよう。


「ありがとう!」


 そう叫んで、僕はスタコラサッサと逃げだした。

スタコラサッサ

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