37ページめ
描き終わった〜の気分で更新を忘れるカス、それが私です。
僕のスキルは、基本的に、というより、絶対に等価交換を行うようになっている。それは、魔力、物質、あとはそこら辺のエネルギーでもなんでも、【指定したもの】を【欲しいもの】に交換するスキルなのだ。つまり僕は、この死体の山を使って、望む事象を引き起こそうとしているのだ。
『素晴らしい────』
死体の一部を魔力に変換し、自分と王女サマの保護を。そして、無理矢理に彼女を成長させる。肉は肉。骨は骨。DNAが違うものでも、スキル的には等価だ。簡単に変質させて補える。バキバキ、ボキボキと、人体から鳴ってはいけない音がするが、そのために保護をしているのだ。僕はともかく、少なくとも、【情報輸入】の計算に間違いは無い。
そして最後に、血管内の洗浄。成長させた年齢の平均的な状態になるように、異物を除去していく。これ、間に合うか?
「魔力が……………。法魔さん!」
肩に置かれた手から、莫大な魔力が流れ込んでくる。これで、ギリギリ倒れずに全部を終えられる。あとは、集中力との勝負だ。
ぽたりと汗が地面に落ちた。
「あ゛ー」
ゾンビみたいな声が口から出た。
「と゛う゛に゛か゛な゛っ゛た゛」
水飲みたい。
王女サマは、生成した点滴に繋がれて眠っている。いやまぁ、何も感じない程の深い眠りと現状の保存、それが僕が使った保護だから当たり前なのだけれど。あとはもう、7割健康体の身体と、お薬、栄養で、すぐに元気になるだろう。調べたからこれは100%の確率で当たるのだ。
「み゛す゛を゛く゛た゛さ゛い゛」
ふらふらと外に出て、待機していたメイドさんに言う。そして、僕はぶっ倒れた。完全に脱水症状だ……………。しぬ………。
目を覚ますと、知らない天井だった。
「『また、知らないてn』ぐぇ」
あの名台詞を言おうとしたら、ナニカが凄い勢いでお腹に突撃してきた。
「い、生きていますね!?私のかわりに死んでしまうかと思いました!病に犯された赤子と健康な男性ならば、赤子を捨てるのが当たり前でしょう!?本当に、もう二度と、私のためにこんなこと──こんなことをしないで下さい!」
あー、王女サマか。流石は王家というべきか、とてもかわいらしい容姿をしている。
「脱水症になるような汗をかく予定はなかったんですよ」
話しはここらにしといて、図書室に行こう。正直、依頼を引き受けてしまったからやっただけで、それ以外の接点が何一つとしてないのだ。そんな相手──しかも王族──と話すのは、正直気が進まない。
「間違って引き受けてしまったから治したまでです。では、約束のものを貰いに行きますので、これで」
そう言って立ち去ろうとすると、袖を掴まれた。振りほどいたら殺される気がする。止まらざるをえない。
「せめて、お礼を。ありがとうございました。お兄さんは、命の恩人です」
………………………………お兄さん?
つまり、僕を♂として認識している?
「い〜〜〜〜〜〜い娘だねぇ。何か欲しいモノはあるかい?お兄さんができる範囲でやってあげよう」
素晴らしい!久しぶりだ……………。久しぶりに性別を間違えられなかった。もうそれだけで僕の好感度は上限値まで上がった。『キャップ』がかかってるから、親愛が上限ではあるが。
「…………3日ぐらい、お城にいてくれませんか?」
3日か……………。店番…………ブラウル……………ブラウルかぁ………いや、うーん。
「大丈夫だと思おう!よっし、じゃ、王サマに訊いてくる!」
僕は全力で走っていった。
執務室を開いて即発声。
「3日ぐらい滞在させて下さい」
「いいよ〜」
「「……………………」」
え、軽い。そんな軽くていいんですか?一応は王なんですよね?
「え、軽」
あ、声に出ちゃった。恐る恐る相手の顔を見ると、
(ニコニコ)
笑顔!爽やかすぎる笑顔!怖いが過ぎる。
「あ、そうだ」
重苦しい沈黙を、その言葉が断ち切った。
「娘を助けてくれたからね。キミにはお礼をしナイと」
ガチャリ、と壁に飾られた剣が持ち上げられた。ひ、膝が震えて脚が───。
「王宮図書の永久貸し出しの承認………………。それと──」
剣が振り上げられる。
「これは娘の身体に針刺してくれたおレイじゃああああああ!」
「ひええええええええええええッッッ!?」
火事場の馬鹿力か、ギリギリで横に跳ぶことが出来た。よ、避けられたけど、避けられたけどッッッ、今度は腰が抜けて──。
「キエエエエエエエエ!」
「うわああああああああッッッ!」
無様に、格好悪く、ゴロゴロと横に転がって2撃目を避ける。依頼をこなしただけなのに、なんでこんなことに……………。
「衛兵!奴を取り押さえろ゛っ!?」
スパーンといい音が響いた。
「アンタが恩人をぶっ殺すようなおバカなら、ここを出て行くぞ?」
あの時の、簀巻きにしてきた姐さんじゃないか。元はといえば、この人のせいでこんなことになったようなものだけれど、今は感謝だ。逃げよう。
「ありがとう!」
そう叫んで、僕はスタコラサッサと逃げだした。
スタコラサッサ




