29,5ページめ
10時更新するぜ!!って言って、寝落ちした馬鹿がいるそうですよ?
あはは馬鹿なそんなはいすいませんでした。
今回は、あえて異世界の言語にも『』を使ってません。
ジリジリとソブキは追い詰められていく。ここは迷宮だ。だから、壁際に追い詰められることもある。しかし、ソブキにとってそれは初めてのことだ。壁際に追い詰められるのも、
「大丈夫。痛くないから、ね?」
「天井を見てればすぐ終わります」
ダンジョン内で犯されそうになるのも。
これも全てカイトのせいだ、とカイトを呪い奥歯を噛み締めながら、ソブキは言う。
「まあ待て。こんなオジサンに迫っても良いことないぞ、なっ!」
魔物相手ならば強く出られるが、如何せんパーティーメンバーだ。強く出れない。
「「かっこいいから問題なし」です」
ついにソブキは飛び掛かられ、装備を脱がされそうになる、が、その時。
『「ここですわよ、ここ。一番面白い顔してらっしゃる。ぶっはぁ!!馬鹿っぽい顔」』
セーフポイントの壁に、大きなスクリーンが移し出された。これは、カイトが起動し、法魔が維持することによってできた、《結束の勇者公開処刑Live映像》だ。そんな雰囲気も何も無くなった映像を見ながら、3人はしばし放心する。そして、
『「魔法使わないのは超悪手でしょ」』
「「「YEAAAAAAAAAA」」」
放心は熱狂に。熱狂は正常な精神状態を奪い、そしてアイドルグループのライブに参加する限界ヲタクにまで彼らを堕とした。冒険者のほぼ全員から嫌われる男、それが結束の勇者、アカマン・コクヨなのだ。
王都では空に。
ダンジョンではセーフポイントに。
それぞれのスクリーンを見て、民衆も、冒険者も湧き上がる。
「ハハハッ、いいねぇ。やっとあの馬鹿に痛い目見せてやれるヤツが出てきたか!!痛い目見せてやったか!!」
ソブキはゲラゲラ嗤う。自分よりも戦闘が下手な相手にスキル如きで馬鹿にされたのだ。そんな相手がボコボコにされているのを見て、笑わない冒険者はいない。
「しかもこのダンジョンかよ。…………間に合うな」
そう言って、ソブキはよっこらせと立ち上がる。
「行くぞ。済まないが、最速踏破だ」
初心者気味の2人でも、アカマンがボコボコにされたのはお祭りだと解るのか、無言で頷き走りはじめた。
ソブキがボス部屋に着くと、そこには、
「おにーさん、わかってる?ほら、言ってごらん、私はザコですって」
「言えないなんて本当に脳みそまでザコなんだね〜。ほら、ざーこ、ざーこ♡自覚しよ♡ね?」
「え?なんて言ったの?帝国語で喋って?ザコ語でもいいからさぁー」
「あー、ちゃんと返事出来ないんでちゅねぇ~。おっきな赤ちゃんでちゅねぇ~」
「おにーさん、もしかしてぇ〜、死ねとか殺すしか語彙無いのぉ〜?うわぁ、語彙までざこなんだぁ~♡語彙ざ〜こ♡もうおにーさんが死んだ方がいいんじゃなーい?」
「自覚しよ♡私はざこです、って♡はい、言ってみて、ざーこ♡ざーこ♡」
「おにーさん脳筋だからダイアドさんに負けた訳も解らないんだよ、ね♡可哀想に、撫でてあげる♡」
木に埋まった同業者から死ぬほどヘイトを買っている勇者と、女児のような声色で凄まじくウザい煽りをしている勇者(♂)がいた。カオスだ。真の混沌を目の当たりにして、ソブキの思考が一瞬停止する。しかし、腐っても彼は《武器さえ使えればどんなパーティーでも活躍出来る》とまで言われた冒険者だ。すぐさま思考を再起動してカイトに声をかける。しかし、カイトは一切反応せずにアカマンを煽り続けている。
「あー、こんにちはソブキさん。カイト君は、ちょっと白熱しすぎてまして……………」
そんなカイトにため息を吐きそうになったソブキは、しかしダイアドに声をかけられて向き直った。
「ああ、聞こえてないのか」
「はい。みたいです。ええと………その節は誠に申し訳ありませんでした」
ソブキは一瞬キョトンとした後、何かに思い当たったかのようにポンと手を打った。
「ああ、アイツが馬鹿にしてきたやつか。別に良いさ、良いもの見せて貰ったからな」
叫びながらダイアドは悶絶した。それをミライがかっこよかったよ、と慰めるが、ますます彼が惨めになるだけだ。嘆くダイアドの肩を叩き、ソブキはカイトの方へ向いた。
ゴッ。
「おい、馬鹿店主」
「いっつぅ〜。あ、ソブキのお兄さん、こんにちは。3日?ぶりですね」
それだけ言うと、カイトはまたアカマンの方を向き、彼を煽ろうと口を開く。が、
「馬鹿者が!!」
頭にソブキの拳が落ちて来た。そのせいで舌を噛んだのだろう、カイトは口を押さえ、声にならない悲鳴をあげながら転がり回った。
しばらくして。
「全く、アザミみたいな事言いながら殴りやがって」
「もう一発……………」
「すいませんごめんなさいほんと勘弁して下さい」
立ち上がった直後に土下寝する阿呆な勇者が現れた。
閑話休題。
「お前のせいで俺の貞操に危機が迫ってるんだが?」
ソブキは、いつの間にかミライと会話をしている少女2人を見る。それに続くようにカイトもそちらを見て、
「ぺっ」
唾を吐いた。
「お前なぁ、アイツが嫌いなのは解るがよぉ」
「どうせ正ヒロインが出てきたら、愛人でもいい、とか言う発情した豚だろ。あ、豚に失礼だわ。賢いしキレイ好きなのに」
思わずと言ったふうに、カイトが呟く。考えが漏れてしまったのだろう。
「愛人…………」
思わずソブキは呟いてしまう。だって、客観的に見てそんなように見えていると思っていなかったのだ。ただ犯されそうになっている男としてしか見えないと思っていたのだ。ソブキは深く考え込んでしまう。
「あ、カイト君。煽るの辞めたんだ。じゃあ帰ろうよ」
その隙にカイトに話しかけたのが、今まで女性陣と話していたダイアドだ。その言葉に、カイトは不満そうな顔をする。しかし、
ガブッ。
「痛っったい!!」
そんなカイトに太ももに下がっている本が噛み付いた。
『帰れ。さっきも言ったよなぁ~?固有スキルに溺れた馬鹿のくっせぇ匂いで充満してるってよぉ。あ?本を大事にしてくれねぇのかよ、なぁ?』
キレ気味の スキル辞書 だ。無口な本であるが、スキルの匂いに関してはそれは煩い。ましてや、スキルに溺れた勇者達の、研磨されていないドブ川のような匂いに関しては、耐えられる訳もない。
こっちはすでに一回耐えてんだ!!
煽り終わっただろうが!!
一刻も早く帰れ!!
たらたらと不満を垂れ流す辞書に押し切られたカイトは、しぶしぶyesを返した。
カイト達は法魔の名前を呼び、門を通って店に帰っていった。それを見届けたミノとミナは、ソブキにすり寄る。
「私達も帰りましょ」
「それとも、彼をいじめますか?協力しますよ!!」
わーずるい、先手必勝、と親友2人がキャッキャウフフし始めたのを見つつ、ソブキは思考を打ち切る。
「そうだな、買えるか」
「「じゃあ宿に帰ったら一緒に寝ましょ「却下」ぶーー」」
何故かいつもよりも少し、ほんの少しだけ対応が甘くなったソブキに対し不思議に思いながらも、彼女達はソブキに続いてダンジョンを出た。後には、呪詛を吐く3つの木のオブジェクトが残された。
この光景をカイトが見たら、こう言っただろう。『最終的にみんなから無視されてる勇者さんマジワロタwwww』と。まぁ、この後に大量の冒険者が訪れるから、嫌でも構われるのだが、それは、カイトの預かり知らぬ事だった。
地味にはっちゃけて書いたんで、多少キャラ崩壊してたり、してなかったり………………。




