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本好き勇者のお店屋さん〜クソ雑魚勇者の辺境店舗  作者: 夏飼 今日輸
1章 1冊目 開店初業務と武器の使えないシーフ
31/39

29ぺーじめ

お待たせしました(?)更新です。読んで下さる方、待って下さる方。ありがとう御座います。

という事で、ハイテンションで黒歴史を量産するダイアドさんをご覧あれ。

あと、ウザさを増すために、ちょっと書き方変えた所があったり、無かったり…………。

 法魔さんの開いた(ゲート)を通れば、そこはもうダンジョンの中だ。さーってと、ヤツの居場所は―――、


「もうちょっと進んだ辺りか」


 下手したらボス部屋で鉢合わせになるかもしれん…………。ま、ボス部屋だったら正々堂々公開処刑出来るから――、


「さ、行きましょうか」


 にんまりと笑って、僕はダイアドさんに言う。


「悪い顔してるよ、カイト君」


「悪役勇者だぜ」


 悪役勇者って響き、なんかかっこいいな。本当はただのクソ雑魚勇者だけど。あ、言ってて悲しくなる。


「最近の勇者は評判悪いなぁー」


 ダイアドさんが遠い目に………。『トラウマ』を刺激してしまったか。あー、そういえば『トラウマ』って概念はこの世界には無いんだよなー。精神的なものは治療出来ないし、そうなるのは冒険者ぐらいだからか。


「えっと、確か、理想の押し付け(魔剣の勇者)と、回復厨(祈りの勇者)と、スキル至上主義(あのクソ)と、イカれた火力(魔法の勇者)と、戦闘センス奪うバフ(支援の勇者)と、性格まで勇者(守護の勇者)と、あとは(知恵の勇者)でしたっけ。特に前半3人は性格面で評判が悪いんでしたよね」


 勇者7人全員を思い出しながら僕はそう言う。すると、


「え!?カイト君って勇者なの!?」


「イッテナカッタッケ?」


 ちょっと素が出るぐらい驚いた。言ってなかったけ?それならちょっとイメージ悪くなるかもしれない……………。『ヤバいですね』!!ダメだ、真似してもテンション上がらぬ。いや本当にどうしよ…………。

 僕が焦って冷や汗をかいていると、ダイアドさんは適当に言った。


「ま、カイト君はカイト君だからどうでもいいや。僕が聞き逃してただけかもしれないし。別に、他人の職業なんて結局はその人を保証するモノにはならない、って学ばせて貰ったからね」


 なんか……………すっごく主人公してるなぁ。僕は遠い目になった。

 そんな話しをしながら、僕達はアカマン(あのクソ)に近づいていく。途中で亜人差別者の女騎士と魔女の発情したような声が聞こえたような気がしたが、二人揃って地面に唾を吐いておいた。





 のんびりしていたせいか、結局は最下まで降りてきてしまった。そして、クソが戦闘している部屋の前。


「戦闘が終わったらすぐ、だよね?」


「はい。なんならポーション投げて煽った後にボコしましょう」


 自分の声を活かせる『メスガキ構文』が煽りには一番かな。でもやりたくねぇなぁ…………。いややるけどさ。『おにいさんザコ〜い♡』って。カスを煽るのって『控えめに言って最高だね!!』ってなるし。


「それはいいね!!」


 ダイアドさんもいい笑顔で賛成してくれる。相当アカマン(アレ)が嫌いならしい。お、どうやらそうこう言っているうちに、あっちの戦闘が終わったらしい。さて、乗り込むとしましょうか。


「法魔さん、お願い」


 そう言って、法魔さんにボス部屋への道を開いて貰い、僕達はスキル至上主義(アカマン)の元へ乗り込んだ。


「あ?てめぇ、生きてたのか」


 ダイアドさんの顔が引きつる。それを見て、僕はHPとMPのポーションをわたした。それを見て、ダイアドさんはにっこり笑う。そして、


「シィッ」


 思いっきりぶん投げた。


「っぶなッ」


 それを避けたアカマンの姿を情報輸入で再生し、僕とダイアドさんは嘲笑う。


「おやおや、ダイアドさん。彼はポーションが怖いそうですよ(ニヤニヤ)」


「あら本当に面白い顔してるわねカイト(クスクス)


 流石ダイアドさん。なんていうか、あのパーティーで揉まれてただけあって、対応力とアドリブ力が強い。ついでにノリもいいし。


「ここですわよ、ここ。一番面白い顔してらっしゃる。ぶっはぁ!!馬鹿っぽい顔」


「どれd――ぐはぁ!!顔面崩壊してる」


 2人してゲラゲラ笑いながら、爆笑必至、腹筋崩壊の勇者顔面を見せてあげる。


「こ、ころっ…………ぶっ殺す!!」


 勇者はキレた。顔が真っ赤に染まる。『ゲーム風』に言ったけど、まぁ、そりゃキレるか。そのために煽り散らかしたし。


「ダイアドさん、頑張って」


「うん」


 憑き物が落ちたような表情をしたダイアドさんを見て、もう助けはいらないな、と確信した僕は、法魔さんにお願いをして、100歩程下がって本を開いた。

 いやだって戦闘で僕は役に立たんし。




 雄叫びをあげて、アカマンがダイアドに飛びかかる。しかし、剣が届く前に、彼は何かに足をとられて転んだ。ダイアドの生やした植物だ。


「えいっ」


 そこに、気の抜けた声でダイアドが蹴りを入れる。煽るための声と、容赦の無い顔面キックだ。それを見て激昂したアカマンのパーティーメンバーのうち2人が、炎とデバフを掛ける見えない波動をダイアドに放つ。しかし、


 バキバキバキィッ。


 凄まじい音を立てて木が成長し、両方の魔法を止めた。そのままそれは種を撒き散らして燃え尽きるが、種は撒かれた(・・・・・・)


「キエエエエ!!」


 何処ぞのやられ役53万男のような声を出して、アカマンが、またダイアドに襲いかかる。


「魔法使わないのは超悪手でしょ」


 冷めた口調でそう言ったダイアドは、大振りなその攻撃を軽々躱して、ファイアーボールをアカマンの顔面に放つ。完全に体制の崩れた状態で撃ち抜いたので、アカマンは馬鹿みたいな吹っ飛びかたをした。


「だっさ」


 嘲弄の表情で、ダイアドはアカマンを指差し嗤う。アカマンの額からぷちっという音が聞こえた。


「ロレーナ!!ミカ!!ミライ!!コイツを殺せぇ!!」


「させると思うの?」


 ダイアドがそう言った瞬間、ロレーナ、ミカの2人が咳き込み始めた。


「なっ!?」


 思わずといった様子で、アカマンが声を漏らす。その言葉に応えるように、ダイアドは詠った。


「きのこきのこ、きのこの胞子。きのこきのこ、殺人きのこ」


(あー、今、僕すっごい馬鹿になってる。今までやられた分、キラさん法魔さんの地獄の特訓コース、今まで嫌なこと、ぜーんぶ吹っ飛ぶ。あ~、気持ちいい)


 薄ら笑いを浮かべながら、追放者は勇者に近づく。


「ヒッ」


 そんなダイアドの異様な雰囲気に、アカマンは気圧された。


「逃げんなよ、なぁ?」


 後から思い出したら絶対に悶絶するような言葉(黒歴史)を生み出しながら、ダイアドはアカマンの落とした剣を投げつける。


「ほら、頑張れよ。お前が見下してた僕だぞ、あ?固有スキルも持ってない、アンタが言うとこの、雑魚だぞ?逃げてんじゃねぇよ」


 その言葉で、アカマンの萎えていた怒りが再燃した。剣を握り、魔法をエンチャントする。口では呪文を唱えながら、ダイアドへ油断なくジリジリとすり足で近づいていく。しかし、そんな悠長な行動をあざ笑うように、大木がアカマンを飲み込み、拘束した。


「あ゛っ、テメッ、っざけガボッ」


「今から、アンタの返事は【はい】か【いいえ】だ。それ以外の返事をしたら、その口の中のツル植物が窒息させるから。安心しろよ、アンタの行動次第じゃ、全員生かしておくから」


 さらなる黒歴史を増やしつつ、ダイアドはアカマンに要求を叩きつける。


「ミライさんの、奴隷契約書(・・・・・)を渡せ」


「あ?――――ッッッッ!?」


  アカマンの口内を、蔓草が掻き回す。


「次は無い。ミライさんの、奴隷契約書(・・・・・)を渡せ」


 アカマンは、頷くしか無かった。




 ポンポン、と僕の肩が叩かれる。


「あ、終わったんだ」


 顔を紅く染めた女の人を連れたダイアドさんを見て、僕はそう言う。


「うん。大勝利!!ところで…………、もう広めた?」


「うん」


 法魔さんにLive配信して貰ってたし。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 ダイアドさんは崩れ落ちて悶絶した。

次回、ソブキさん回!!

勇者、煽る。

メスガキ構文で煽る勇者がいるってマ?

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