28ぺーじめ
お久しぶりです。めっちゃ空きました、すいません。
次話であやつに中指立てたいですね。
意識がゆっくり浮上する。えっと………………確か魔力のキャパシティオーバーでぶっ倒れたんだっけ?としたら、ここはマップが役に立たないクソダンジョンと名高い【千変万化】か。多分『青天井』だけど、こんな時はあの台詞を言いたいな。よし。そこまで考えて、僕はゆっくり目を開く。
「『また、知らないてんじょギャアアアアアアアアアアアアア」
キラーウッドさんの顔が目の前にあった。いかっつい顔が起きたら目の前に………………。心臓悪かったら絶対に死んでる。あー、まだ心臓バックバク言ってる。
僕のその叫び声で、法魔さんとダイアドさんが飛んできた。僕が起きたことが解ったらしい。
『御主人様!!大丈夫ですか!?』
「文句言わせろカイト君!!」
え?なんて?ちょ、同時に話さないで……………。
「ごめん、もう一回言って」
流石に僕は2つの言葉を同時に処理するような能力を持ち合わせていない。もう一回言ってとお願いするしかないのだ。でも、なんか両方とも鬼気迫ってて言いにくい。言ったけど。
「『…………………………』」
僕がそう言うと、法魔さんダイアドさんは目と目を合わせて牽制しあい、
『身体に異常はありませんか?』
いや、身体に痛い場所なんてないし、そもそも魔力の使いすぎだから異常が発生することはないんだけど。
「大丈夫」
そう答えて、ちょっと不安になった。体を動かして、挙動に違和感が生じないか、体に痛みが走らないか、調べてる。
「―――――うん。大丈夫」
どこにも違和感や痛みは無い。解っていたことだけど、少しほっとした。さて、とダイアドさんを見ると、ダイアドさんも口を開いた。
「ねぇ、詠唱した時の魔力の流れをスキルに通せってどういう事だよ!?わっかんないよ!?出来た自分が不思議だよ!?」
あ~、『わっかんないよ!!君が何を言っているのか、僕にはさっぱりわっかんないよ!!』が出てきた。さて、現実を見よう。ダイアドさんの顔が怖い。逃げたい。
「スキルを『魔法演算領域』みたいに使ってるんです。スキル自体が詠唱をしたらその魔力の動きを作るっていう効果があるんで、その魔力の動きを再現できれば簡単に魔法を使えるんですよ」
「は?」
「解らないならいいです。これ以上解りやすく説明出来ないんで。………………『魔法科』読めば解りますよ?読みます?」
そう言って僕は本を取り出す。いいですって言われた。知ってた。
「では、あのクソ勇者の所に行きましょう!!ブッコロです!!」
唐突な僕の言葉に、ダイアドさんが惚ける。ダイアドさんの意識は無視して、法魔さんに座標を伝える。丁度良く、ダンジョンの中だ。
「さーて、お客様。ふ く し ゅ う の じ か ん で す」
「て、店長さーん。僕はもうちょっと特訓したいかなぁ~って」
フム。………………情報輸入先生、ダイアドさんの特訓風景を定点カメラでお願いします。
「か、カイトくーん、そういうの、良くないよー。他人の戦術を覗き見るのはマナー違反だよー。辞めて本当にお願い致します!!」
そうは言われても……………。
「もう見ちゃった……………」
「うわああああああああん!」
凄かった。いや本当にスゴかった。魔法無しの法魔さんとそれなりに戦えてたよ……………………。え?ステータス差10倍近いんですが………………。法魔さんは手加減してるとはいえ、こんな事できる人が、スキル頼りのクソ勇者如きなんかに負ける訳が無いんだよなぁ~。
「解ってるんじゃないですか。勝てるって」
僕がそう言うと、ダイアドさんは駄々っ子のようにジタバタ暴れ始めた。
「友達になれると思ってたのにぃいいいいいいい!またぁぁぁぁぁぁあああああああああ!まぁたぁぁああああ!」
―――捨てられる。
「……………………………」
絶句した。まさか、そんなことを思っていたとは、これっぽっちも思わなかった。これでも、ダイアドさんにはかなり酷いことをしているという自覚がある。そもそも結構ムリヤリに引っ張ってきたし。
「え、えっと…………ダイアドさん?」
「なんだよ!!こういう運命が僕には付き纏ってるってのか!?嫌だ嫌だ!!離れたくない!!もう、捨てられたくない!!」
「えっと……………」
話しかけようとするも、ダイアドさんは話しを聞こうとしない。
(あ、これはダメなパターンだ。こういう時は…………)
「|『ちょっと落ち着け』《『壊れた機械は叩いて直せ』》!!」
「いだい!?」
「『正気に戻ったか!?』なんて。ダイアドさん、僕は、【ぽぉしょん屋】の店長ですよ?依頼を完了したら、言うことは一つです。」
一息ついて、僕は続ける。
「ご利用、ありがとう御座いました。|当店にまたお越し下さい《・・・・・・・・・・・》。ま、いつでも遊びに来て下さいな。どうせ、いつでも『閑古鳥が鳴』いてますから」
ニッ、と笑いかけて、僕はダイアドさんの手を引く。ダイアドさんは、さっきまでの痴体を思い出したのか、赤くなりながら手を取った。そのまま、今まで空気に徹していた法魔さんの開いたゲートに入る……………前にやることがあったな。
※人間は機械ではありません。叩いて直すのは辞めましょう。
米印も置いたし、これでいいだろう。うんうん、と頷く僕に、ダイアドさんが言う。
「なに頷いてるの?早く行こうよ」
「ごめんごめん。さて、行きましょうか」
『ざまぁ』してやるために、僕達はゲートを潜り、ダンジョンに入った。
部活の更新でまた遅れるんですよ。自分になんなんだお前って言いたい。分身したい。