27ぺーじめ
やっと書き終えました。2ヶ月かぁ~。大変申し訳ありませんでした。
ちょっと難産だった他作品を書いてましてって言い訳させて下さい。
キラーウッドさんの、言葉を話せるのが驚きって言うのは解るけど、それより重要な事があるんじゃないですかね?
(いやまあ、それはおいとこう)
「そういうスキルです。ところで、彼からヒスイさんの気配を感じるんですよね?」
『?…………そうだ』
「そもそも、ダイアドさんはドライアードの身体の一部すら持っていないですよ?でも、ヒスイさんの気配がするんですよね?」
なんでだと思います?と続けると、キラーウッドさんが目を見開いた。
『まさか―――』
「そうですね。確実に、血縁があるんでしょうね」
『そう……………か。ヒスイ様の、血縁者か―――』
「ねえ、ど、どういうことッ!?どういうことォ!?」
現実を見ない困惑・ダイアドさんに言う。
「現実を見て下さい」
『流石は御主人様。最初から、この場所はこの人間の親がいた場所だと解っていたのですね!?』
「ウン、ソウダヨ」
そういうことにしておこう。―――っと、ダイアドさんはどこだ?えーと。
辺りを見回すと、動く植物に囲まれるダイアドさんが見えた。
「ああ、彼を特訓してあげてー。魔法の同時発動が出来るようになれ、とは言いませんけど、詠唱せずに発動するぐらいはやれるようになって貰いたいんでー」
「ゑゑ?」
彼らにそう言い、アドバイスをしたためた羊皮紙を渡す。読んだら絶叫する未来が見えるなぁ~。わっせわっせと運ばれるダイアドさんを見て、僕はそう思ったのだった。
あ、そうだ。
「法魔さん、ダイアドさんが死なないように見てて。あと、ちゃんと羊皮紙を読んだか確認して」
法魔さんにお願いしておかないと。法魔さんがダイアドさんの下へ向かったのを確認し、1人、ここに残ったキラーウッドさんに質問する。
「何か、お困り事でもあるのではないですか?出来るだけ力になりますよ?」
キラーウッド。冒険者ギルドで、彼らは出会ったら逃げろ、とまで言われるほど強い。曰く、攻撃しようとした場所が硬化した。曰く、回避不可の攻撃の出だしを止められた。曰く、心を読んでいるかのように行動する。つまり、あれだ。僕が《ぽおしょん屋》の店長で、依頼も受け付けている、という事も(心を読んで、)知っている訳だ。だから、
『そうか。依頼…………してもいいのか?』
可能な限り、引き受けます、と言って、キラーウッドさんに先を促す。
『ああ……………。頼みたいのは、【この場所から魔王の監視を消すこと】だ』
………………。あっはー、なるほど。ほーん。
『無理ならばいい』
僕が言い淀んだのを見て、キラーウッドさんが言う。しかし、僕の回答は決まっていた。
「いえ、予想通りだったもので―――」
やっぱり、僕、魔王、嫌い。
ということで、ボス部屋と言われる、コロッセオのような場所の前で御座います。
『気をつけろ』
その言葉に頷いて、僕はゆっくりと足を踏み入れた。直後、世界が塗り替わる。いや、世界が塗り替わった訳ではない。ここを監視している魔王の部下の【部屋】に入っただけだ。
「さーて、ここから出ていく気はありませんか?ウッドイーター共」
僕の言葉で、ウッドイーター達がぐるりとこっちを向く。うーん、この絶望感よ。どこぞのクソゲーマニアもこんな気持ちだったのかな~?『せめて1戦目と言えぐはぁ』って。
「ふふっ」
少し思い出し笑いをしてしまう。あ、やっべゲロショットが―――。
スポッ。
法魔さんの開いた門の中に…………。完全にカウンターが決まったような形でゲロショットが当たっているけれど、効いていないようだ。じゅうじゅう音がしてるから、蟻酸かな?
「さって、30秒。………その間は呼吸出来なくても、毒食らっても死なないようにしますんで、その間に、この契約書にサインを〜」
そう言ってぴらりと羊皮紙を投げながら、僕は空気の構成物質を変化させる。身体からごっそりと魔力が抜けたのが解った。死ぬ。ちょっとここで気絶は洒落にならない。気絶する前にポーションを放り投げ、あらかじめ取り寄せておいた『酸素ボンベ付きガスマスク』を被る。そこで、完全に意識が消えて――、
パリン。
痛みと、補充されたMPで意識が戻った。コケそうになるのをぎりぎりで踏みとどまり、ウッドイーターの方を見ると、彼ら(彼女ら?)は、ぎゃちぎゃちと音を立てて、苦しさで暴れていた。一酸化炭素2割、塩素2割、窒素6割の空間で息が出来るほうがおかしいんだけどね。
「サインするか、死ぬかでその苦しさから逃れられますよ」
凄まじく発音しにくい、彼らの言葉を使って言う。あと、10秒。うわっぶない鼻先掠めた!!この状況で死ぬのは恥ずか死ものだってばよ…………。わ↑らえねえぇ〜。
「いや、死ぬ覚悟は出来てるけどさ―――」
そう独り言ちた瞬間、体に痛みが走る。
「がっ、いっ、づぅ」
しかし、原因は解っている。急いで大気成分を元に戻せば、痛みは消えた。額でポーションを割りつつ、ウッドイーター達に言う。
「契約に従い、お前達はすぐにここを出ていく。出来ないなら、契約違反だ」
ちょっと格好つけて、『鍾離先生』っぽく言ってみる。うう、これこそ恥ずか死ぬ。やらなきゃ良かった。
法魔さんが開いた門を通って、蟻が外へ出ていく。場所は、
『砂漠です』
砂漠らしい。え?砂漠!?あ、へー、本来砂漠に住んでたんだ。情報輸入先生あざます。
「ありがとう、法魔さん」
『いえいえ、御主人様のためならば』
これで、キラーウッドさんからの依頼は、完……………りょ、う――――。
そこで、気力の切れた僕はぶっ倒れた。
魔力の過剰消費…………………。
なんでアリが死ななかったのか。解りやすく言うと、『凄く苦しくて死にかけ』で情報を固定した。で、サインしたら相互に害しないっていう契約違反だから痛くなった。




