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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~

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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう⑫)


私の言う『良い考え』の内容を彼に伝えれば、「それなら問題なさそうですね。」とそう言う。

彼がそのように思えたのだから問題はないのだろう、俄然やる気が出た私は、お礼として白と黒其々10個ずつあのフルクトースの実の核を彼に譲った。

最初は貴重なものだからと遠慮していた彼だったがこれが領地の村の幾重もある倉庫の中で山積みとなって保管してあることを言えば、彼はそれならと喜んで持って帰ってもらった。


大体1つの実に150gほどの量しか採れないので向こうにいる彼らの人数を考えると微々たる量になるがシナウスの事だ、きっと何か良い案でなんとかしてくれるだろう。






そんな大発見をした日を跨いで翌日、私は白い方の核の方をもってもう通い慣れたある場所へ向かっていく。勿論、ある人物に協力を仰ぐ為だ。


私の思惑はこの人なしに出来ない。さて、私のなけなしの演技力と説得力がうまく彼の創作意欲を刺激できるかどうか、まぁ恐らく問題はないと思うけど。



階段を下りて向かった先は厨房、すぐにお目当ての人物の後姿が見え迷わず向かった。



「ギリム、今良いですか?」

「あれ?お嬢様、今日はいらっしゃる日でしたでしょうか?」


呼ばれた彼が後ろを振り返った。ティリエスは持っていた陶器の小物入れを近くのテーブルに置いて彼の傍によると彼は何やら野菜を細かく刻んでいたようだった。


「何をしていたんですか?」

「いや実は残った野菜で息子の離乳食のレシピを考案してまして、ははは・・・お恥ずかしい。」


実はこの冬2月にギリムの子供が産まれており彼が声を上げて泣いて喜んだことは記憶に新しい。

町医者と産婆経験のある女性でお産を挑むつもりだったが、初産という事もあってかもうすぐお産に入る時期に逆子になったり戻ったりお腹が張ったりと不安定な日が続いたため、母もお産の手伝いに名乗りを上げ、この屋敷で出産したのだ。


生まれてから夜泣きも酷かったようだが最近は大人しく寝るようになったようで、あれだけくっきりしていた彼の目の下の隈がほとんど見られないので少し余裕を取り戻したからこうして考案しているんだろう・・・と思いつつ私は首を傾げた。


「ギリム、赤ちゃんの離乳食はもう少し先だと思ったんですが?」


まだ授乳時期だったことを思い出し、疑問を口にすると彼は先ほどより恥ずかしそうに頬をポリポリと指でかく。


「ええ、知っているんですが・・・俺の作った物をあいつに食べてほしくて。」


その時を想像してか彼は幸せそうに笑う。


「そうですか、それは飽きさせないようにレパートリーを増やした方がいいですね。」

「え?あのお嬢様。あんなに小さな赤ん坊でも飽きるんですか?」


ん?


「ギリムはレシピを考えていたんですよね?」

「ええ、野菜を数種類使っての離乳食を考えていました。毎食それを食べれば栄養バランスとれるようにと考えたものです。」

「うーん・・・確かにそれも大切ですが、赤ちゃんって色んなことを学んでいる期間ですから数種類混ぜ込むよりまずは1種類ずつ味の素材が解るような離乳食から作った方が良いと思いますよ?」


そう言うとギリムが急に目を見開いて、ズイッと顔を近づけてきた。

予想以上な迫力のある顔に思わず身体を少しのぞけた。



「お嬢様、まずは何から始めるべきですか?」

「え?そうですね。主食のライ麦のお粥とか・・・野菜のペーストとかですかね?消化も上手くできないし、それぞれの味や旨味を覚えて貰うように薄味の方がいいですよね。」


言い終わると更にズイッと近づいてくるので更に私も体をのぞける。


「その次は?」

「授乳が完全に終わって離乳食のみになったらお肉や魚のペーストとか・・・フルーツのピューレでもいいですね。まぁ基本味を薄めてですけど。それから更にいくと2、3種類の食材で作った離乳食つくったりこの頃に卵をを少しトライしたり。あ、でも貝類は食べさせるのは絶対駄目ですね赤ちゃんでは処理できない細菌とか小さな虫が多いですから。」


言い終わるとまた更にズイッと近づいてくるのでまた私も更に体をのぞける。



「初めに卵の離乳食を食べさせないのは?」

「あ、アレルギーが酷く出ることがあるんです。アレルギーっていうのはその系統食材を食べると身体が過剰反応して体に害を及ぼすんです。どの食材も言えることですけど初めから沢山食べるのではなく少しずつゆっくりあげるのがベストかと。卵は特にそういうの出やすい子供もいるから加熱処理で卵黄から始めたらいいですし、・・・あの、ギリム。」


間近にある彼の顔を見つめたまま口を開く。


「知っていることは教えるので・・・離れて頂けたらうれしいです。」


あとその目・・・辞めてください。



目の玉をこれでもかとかっぴらいて聞いていたギリムの目は赤く血走ったまま私を捉えており、その異様な彼の目に私はゾゾっと少し寒気を感じたのだった。







「成程、離乳食というのも奥深いのですね!お嬢様ぜひ参考にさせていただきます!」


その後、離乳食に・・・というより小さな子供の食について質問攻めに合い、ティリエスはぐったりとした面持ちではしゃいでいるギリムに顔を向ける。


「と、いいますかギリム。私に聞かなくても赤ちゃんを育てたことのある奥様方に聞けば私より詳しいと思いますよ?それに私の言ったことは書物の受け売りなので経験のある人に聞いた方が良いです。」


質問に答えてから言うのもなんだが、これぐらいの事は子育て経験のあるママさん方からみれば理解の範疇だろうにと心の中で呟く。


ギリムは少し何かを思い出すように目を彷徨わせた後、何故か先ほどまでのはしゃぎっぷりはどこかに消え、静かに私を見てくる。


「・・・なんですか?」

「・・・・いえ。でも、お嬢様は物知りなのでとても勉強になるんですよ。ただ・・・そうですね。確かに他の人にも話しを聞いてみますね。それはそうとお嬢様はここへはどうしてこられたのですか?」


そうだった!すっかり忘れるところだった!!


ギリムの気迫に押されつい流されていて忘れていたが、ここには目的があったのだ。

ティリエスは改めてギリムを見た。


「ギリム、すいませんが。小さな片手鍋を1つ借りたいのです。」

「鍋ですか?もちろんかまいませんが何をするんです?」

「それは勿論。ちょっとした料理をするんですよ。」




先程の疲れを忘れるようにティリエスはにっこりと笑みを浮かべてギリムにそう答えた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

裏設定:ギリム「(お嬢様以上にこれ程詳しく的確なことを言った夫人はいないんだよなぁ。このことお嬢様は知らないんだろうきっと。・・・後で纏めて旦那様に伝えておくか。)」

実は言葉伝え程度の曖昧な子供の食育世界なので彼女の何気ない知識にギリムは食いついた、が正解。なので目も血走っていました。


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