まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう⑨)
両親が深刻な話しをしている事など知る由もなく、ペンダントを貰ってるんるんと嬉し気に廊下を歩いている、そんな浮かれた彼女を掃除仕事をしているメイド達が微笑ましく見つめているのを別段気にせず、ティリエスは自分の部屋に入る。
「さて・・・【防音】。」
部屋に入った途端、いつもの彼女に戻り部屋全体に防音魔法をかける。これでこの部屋の物音は外の者には聞こえない。
「ふむ・・・初めての中級魔法ですが上手に出来ました。・・・音の振動を無くして私の声そのものをかき消されることはないようですね。成程、ということは魔法はやっぱり動力基本原理と使う本人の固まったイメージが不可欠、ということでしょうか。」
まぁ、それは置いといて。
ティリエスは早速椅子に座り先程貰ったペンダントを箱から取り出すと自分の机の上にそっと置く。きらりと2つの宝石が控えめに輝く。
「綺麗ですねぇ・・・。あ、でもよく見たら黒い石は薄っすら眼のような模様があるんですね・・・。」
ついうっとりと頬に手を置いてそれを見つめる。
綺麗なものは総じて女性は嫌いではない、勿論私も好きである。
「【鑑定】。」
じっとそれに対して私は鑑定を使用する。
迷子の涙の首飾り★★★★★☆☆☆☆☆→アイアゲートという黒い石は魔よけの役割を持ちグリーンアゲードという緑の石は親子の絆を深めると云われている。1つの石を分けて作っている為対の首飾りの居場所を見つけることが出来る。名前の由来は迷子の妖精が泣きながら自分の居場所へ戻ったとされ彷徨いながら流した涙が雫の形を成した云われている。
付属効果:追跡(但し半径20kmまで可能) ―――― ――――
「お守りって言われてたけどやっぱりどう見たってGPS機能がある・・・、大叔父様は私が迷子になりそうな子だと思われているんでしょうか?」
綺麗なものを貰ったが・・・解せぬ。
でもなぁ、無料でもらってしまった手前渡した相手の意図についてとやかく言えない・・・、うん綺麗なものに罪はない・・・うん。
などと自分で自己完結しながらちゃっかりと自分のものにする。
まぁでも、ごてごてした大きい宝石はお金が気になってつけにくいけど、こういうこじんまりした奴ってつけやすいよね。その辺大叔父様センスあるわー・・・・といっても私そんな大きな宝石つけたことないけど。・・・いや、男の人から貰ったことないな。
・・・と、いう事は。
「まさかの初めての男性から宝石の贈り物って・・・大叔父様からの贈り物・・・だとっ。」
名前しか知らないディオス大叔父様、貴方は貴方の知らないところで私の初めてを奪っていきました・・・なんつってー。
「そんな冗談言ってないで追加錬成しましょう。」
そう言ってペンダントを両手に取り魔力をそのペンダントへ注ぎ込む。
追加錬成といってもこの状態なら書き加えるだけなので私のやり直しは殆どない。
何故なら鑑定で見えているが付属効果の欄が2つ空欄があるのが見える。これはこのペンダント自体がそこまでの効果を十分に発揮できる代物だという証だ。
3つの効果を付属できるはずが1つしか出来ていない。恐らくこれは錬金アイテムは1つの事のみ効果が付属されるという思い込みが関係してそうだ。
何百年、もしかしたら何千年といった頃からこれはそうあるモノだと云われ続けていたら・・・十分可能性はある気がする。
でも、ディオス大叔父様は丁寧にこれを作り出しているのをみると、もしかしたら重複付属の可能性を考えているのではないだろうか。
「出来れば早くに出会いたいものだ。」
ぽつりとそう言葉を漏らしたのと同時にペンダントが魔力で自ら光だし、私は追加付属が出来る効果を選び出す。
一度大きな光が辺りを照らしそして収束すると、もう一度鑑定で確認をする。
迷子の涙の首飾り★★★★★★★☆☆☆→(省略)
付属効果:追跡(但し半径20kmまで可能) 認識阻害(首飾りのみ、但し存在を知っている者には無効) 探知機能(弱)
本来の効果を持ったペンダントへと変化したからか心なしか先ほどよりペンダントがよりキラキラ輝いている気がする。
ティエリスは、アドルフに言われたとおりにペンダントを首から下げると大きな立ち鏡の前に立つ。
「・・・うん、満足。」
一言そう言って、私はまた机の引き出しからあのシロップの核を白い方のを1つ取り出した。
「これ、本当に処理は出来ないのかなぁ・・・。」
硬くてひび割れるどころか傷1つさえできないこの代物・・・どーしたもんかなぁ・・・正直お手上げ状態だ。
あれだけ本を読んで一向に突破口が見つからない。これを解析するにはもっと何か別の・・・誰もがしたことがない何かをすることが必要なのではないか・・・?
「確か・・・水泥で割れたと言ってましたね・・・でも全部じゃない。しかも処理には火山が一番・・・・。」
確かに溶岩程の熱量で熔けない物はないだろうし当たり前だ。
でも、それじゃぁ溶岩とは程遠い水泥で壊れたというのはどういう事なんだろうか?・・・村長さんの言う通り偶々この核の質が悪かったからだろうか?
じゃぁもう本当にこれは有料廃棄物断定なの?・・・マジか、もったいない~・・・。
ベッドにぼふんっと肢体を投げ出し考えに耽る。けれど、考えても考えても法則が解らない。
もういっその事空間収納にこっそり収納して隠蔽しちゃう?・・・いや駄目だろ。何時か容量がいっぱいになるだろ。
とうとうあらぬ方向を考え出しう~んと唸っていると、突然鼻がムズムズし出しくしゃみを1つした。
如何、冷えた。
考えている間にどうやら涼しい部屋にいたせいか身体が冷えてしまったらしい。
昨日は何もしなくても温かかったが今日は少し冷たい風が吹いて気温が低かったからそのせいかもしれない。
「でも、大丈夫。こういう時こそ魔力操作の出番です。」
誰に言うわけでもなくティエリスは火の魔力を身体全体に纏わせるように操作していく。
徐々にじんわりと暖かくなっていく体にほぅっとしていた・・・・その時だった。
ピシリ
「・・・・・ん?」
何か聞こえた気がしたのでそのまま耳を澄ましたその刹那―――。
バァンッ!!!
「っっ!!!」
と、大きな音が部屋中に響いてティエリスは思わず固まる。
・・・今、一体何が起こった・・・?
何かが破裂したのだ、すぐ傍で。
しかも自分の手もとからだ。でも手は痛くない・・・無傷っぽい。でも何か感触がある。
・・・じゃぁ、一体なんだ?
何が起こったのか分からずとりあえず働きだした頭で状況を確認しなくてはと意識が働き、手はどうなっているのか分からなく怖くて動かせないので、びっくりした身体はぎこちなくゆっくりとなんとかなけなし4歳児の筋力、腹の力だけで起き上がり、恐る恐る自分の両手を見やる。
「・・・・・・は?」
何?・・・この白い粉?
両掌にあった物体に思わず私は目を見開いて固まってしまった。
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