まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。㊳)
注意 嘔吐表現があります。ご注意ください。
今回もう少し続けようとしましたら、保存の際何故かエラーをおこすのでここまでにしました。可能であれば次回水曜日投稿できたらと思ってます。あと数話でソシャゲ編はおしまいの予定です。(もう少しお付き合いください!)
あの仄暗い瘴気の中で王妃は一体何を見たのだろうか。
彼女は身体を震わせ涙を流し続ける。
そんな彼女の姿にもう話せる状態ではなくなったと判断した僕達は、王と従者数人を残して部屋を後にした。
その後の会議でこの事実を秘匿すべきかどうか悩んだが、ここに居る皆は例外なく関係者だ。
事実を聞いた僕達は仲間全員に話すこととしこの事実は共有されることになった。
『あの瘴気を動かすのに別世界の人間のエネルギーを栄養にして、餌になる前に取り込まれた人間を魔王という駒として利用していたっていうのか?』
『それで新たに世界を襲わせた後、魔王達は餌としてあれに殺されるのか?そんな、まさか・・・。』
今聞いてきたことを他の仲間にも話すとやはり自分達同様、動揺の色が隠せないでいた。
確かに魔王は僕達の世界に突然現れ自分達の国や人を壊し殺していった許せない存在だ。
その気持ちに変わりはない・・・だが、初めて聞かされた相手側の事実に触れて決心が鈍ったのも事実だ。
殺したいほど憎い、けれど彼らもまた自分達と同じ被害者という存在、望んでこのようになったわけではないと。
ある者達は
『家族を殺された、仲間たちも殺された。いくら相手に事情があったとしても許せるわけがない。彼らはやはり屠るべき存在だ。』
ある者達は
『確かに自分達は大切な人を殺された。けれど、彼らを殺して本当にそれで自分達の心や想いは救われるのだろうか?彼らの死という選択を選んでそれで本当に良いのだろうか?同じ痛みを知っているからこそ助けるべきなのではないだろうか?』
ある者達は
『これはもう気持ちというそういった個人的な事ではない。自分達が生きるか死ぬかでもある。それぞれ思う事はあるが、命を落として生かしてくれた仲間の為にも自分達が生き残るように最善を尽くさなければいけない。たとえ、それが相手を倒すことになっても仕方ない事として受け止めるしかない。』
仲間内でこのように意見が割れ始めた。
けれど、どんなにこの件を話し合った所で結論は出せずに出来ないことも分かっていた僕達は、誰かが声に出したわけではないというにこの事実に蓋をして何も知らなかったという選択をした。
意図せず誰も話さなくなった頃、季節は冬の時期へ変わっていた。
だが、だからといって彼らを考えないという日は僕にはなく、柄にもなくどうすれば良いのか考える。
今日も何時ものようにダンジョンの奥へ戦い進めながらこの奥にいる魔王達の事を考えた。
魔王達はこの戦いをどう思っているんだろうか・・・?
負ければ僕達に殺され、勝てば自分達は瘴気によって呑み込まれる。
彼らはどっちに転ぼうが死ぬ運命にある。
僕なら・・・と思い耽る。
故郷を失い殺したくもないのに殺すように命令され、そして最後は役目を終えて死ぬだけ。
僕が魔王なら絶望で何も思えないだろう、自棄になって死んでも良いとされ思ってしまうかもしれない。
けれど結局僕はすべてを諦めながらも心の奥どこかで死にたくないと思うに違いない。
ここから打破できる力を持つ人間が現れたというなら尚更・・・。
目を前で華麗に敵を倒していく姉様の後ろ姿を思わず追うように見つめる。
『最初はなかなか大変だったけどでもそのおかげで私レベルとかスキルとか結構頑張れたし、ソロでもラストダンジョンいけそうな感じ。』
『広く浅くな私にはえらい長いわ!本当に何でもだけど嵌ったものにはコツコツやってるよね~。・・・・げ、そして何そのステータス!もはや神ね!てか魔王逃げて!』
『そんなに凄い力を持っていらっしゃるなら、魔王達を倒すより彼らを助けてくださいませんか、姉様。』
何時もの軽口を叩く声が頭上から聞こえ、初めて思わずとんだ願いを口にしたこの日、姉様と僕達は90階層のボスを倒してクリアし、とうとうあと100階層へ目指すだけとなった。
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姉様が協力者としてやって来て6年と数ヶ月のこの日、僕達は編成されたメンバーとともに100階層へ赴いた。
皮肉にも僕達がここへ閉じ込められた春の季節、桜が満開に咲き乱れた日だった。
『よくぞここまでやって来た。途中で我が配下、そして我の側近たちを倒した礼を行わねばなるまい。』
言葉を紡ぐ魔王をじっと見る。
今なら魔王の姿を見れば、よく分かる。
生気のない目だというに不自然と口だけが良く動き表情を作らされている。
それだけではない、魔王は最初の頃に比べ弱くなっていた。
それはこちらが力をつけたという意味ではなく、あれだけ畏怖の対象になっていた転移前の魔王の潜在能力が今では見る影もない。
魔王は今までの悪あがきをするわけでも、以前の力を発揮することはなく僕達の前にあっけなく敗れた。
あれだけの長い長い戦いを強いられていたというに、魔王との戦いはたった10分もしない内に僕達の前で膝をついた。
彼はこの戦いで最後を迎えることになるのだろうと誰もが確信した・・・だが、あれだけ目の前の男を倒すことが念願だったというに誰もが何も言えずに男を見据えていた。
これが、僕達が今まで願っていた魔王の討伐・・・なんと虚しい事か。
今まだ、眼前の男は魔王を演じ、その姿がまるで哀れな道化の人形のように思えた。
『さぁ、協力者よ選べ。この先の選択を。』
魔王の言葉に途端、周りの空気が変わった。
それはここにいる王も総督たちも伝わったようで一気に警戒レベルが引き上げられた。
なんだ?とても嫌なものが纏わりつく。
重いものが胸を圧迫していくような感覚を感じ始めた・・・その時だった。
『この者達は俺達の世界を壊そうとした!!皆殲滅するべきだ!!』
ある者が勢いよくそう言い放ち、まるでその男の言葉に伝染されたように彼の周りからその賛成の声が大きく聞こえた。
異様だった。言い放った男は王の近衛兵の1人、普段から温厚だった男がこんな急に激情を露わにして言うなんて今までなかった。
すると今度は違う男が声を荒げる。
『いや!!魔王・・・この男だけ殺し、こいつの配下だったものには奴隷紋を刻むべきだ!!今までの苦しみをこいつらにも味あわせるべきだ!!』
『王。』
『分かっている。何かが可笑しい。』
王の周りに居た自分たち以外皆が何か狂ったように叫び始めた。味方だったというに味方ではないような感覚だった。
『シナウス、鑑定を頼む!』
混乱していたがその言葉にはっとしてすぐに鑑定を始め、周りをぐるりと見渡す。
『ぐっ!!』
『シナウス!!』
鑑定して見ることが出来たあまりの光景に僕がその場で耐えきれなくなり胃の中のものをその場で吐き出した。
『う、うごがないで!!王、王のまわりにいでくだざい!!』
吐き出しながらなんとか周りの人間にそう伝えると、誰もが自分の武器の剣や杖を抜いて構える。
胃の中が空になり吐き気が治まるとすぐに自分も戦いの態勢に入る。
『シナウス何が見える!何が起こった!』
『ぐ・・・っ攻撃です!あの瘴気が内側から周りの仲間を取り込んでいます!!』
いつも読んでいただきありがとうございます。




