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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。㊲)

毎回書きながら思うのが情緒不安定なシナリオに、作者がどうしようか・・・ってなります。



『・・・うぅ。』

『!・・・ヘルメネ?ヘルメネ!』


動揺するビエネケス王をどうにか落ち着かせて、彼女と一緒に気絶している仲間たちを施設の中へ運び込んだ。

白い壁が特徴の施設、診療所にはドラゴンを倒した後助け出された多くの仲間で今は眠りについたままだ。


あのニーズヘッグの襲来以降、あそこが生きるか死ぬかの分岐点だったのかあれから脅威になる魔物の出現は特になく残り5日間の拠点攻めのイベントをなんとか耐え抜いた僕達は終わった途端泥のように眠りについた。眼前の脅威が去った今つかの間の平和を噛み締めつつ未だ眠りについている仲間の回復を静かに待つこととなった。


そんな中王妃が目覚めたのは8日目後の事だった。今回の件で助け出された一番最初の仲間の目覚めだった。


『・・・・こ、っ・・はっ。』

『ヘルメネ、水を。』

喋ろうとした彼女の声にならない音にビエネケスは彼女の身体をゆっくり抱きかかえ、準備していた吸呑器をゆっくり傾け水を与えた。


零しながらも少しずつ水を飲む彼女の姿にビエネケスや周りで見守っていた者らもほっとしながら彼女の目覚めに喜んだ。




衰弱が激しい彼女がようやく体面で会話できるようになったのは更に2週間を過ぎた頃だった。この頃になると眠っていた仲間も目覚めゆっくりと回復していった。

姉様は言うと相変わらずダンジョンの中へ潜りこみ、更に奥階層へ足を進めていた。



『まずは、皆さん助けて頂いてありがとう。皆もよくご無事・・・いえ、よくここまで耐えました。』

『王妃もよく頑張れました。よくぞ、よくぞ生きて帰って来てくださり皆喜んでおります。』


先に助け出された重臣達の言葉に、王妃は涙ぐむ。

そんな彼女を心配して王は傍に寄り添い背を優しく擦った。

そんな王にほんの少し大丈夫たと微笑んだ後、彼女はスッと背を正した。


『もう、大丈夫です。私に聞きたいという事はなんでしょう?』

『はい、先に嫌な記憶に触れることをお許しください。王妃、貴女様はあの瘴気に取り込まれてしまった後何か思い出せることはありませんでしょうか?』


王妃は他の人とは違う状況であの黒い瘴気に取り込まれた唯一の人間だった。

彼女は寝返った仲間を助けようとして失敗し一緒に取り込まれた。その時最後まで彼女を抱きしめ庇っていた王も一緒に瘴気へ呑まれたが、王は取り込まれず王妃だけ奪われ代償とでもいうように誰よりも彼の身体には濃く強い呪いが刻まれることになった。


ニーズヘッグを倒したときに王の魂の欠片も王妃もそこに居た、これは偶然ではないように思えた。

王妃は少し緊張した面持ちで唇を少し湿らせてから口を開いた。


『私はあの瘴気へ呑み込まれた後、ビエス様に護ってもらっていました。恐らく無意識でしたんでしょうがビエス様は私が連れ去られると同時に本来ビエス様が持っておられた護りの加護を私の身体の中へお渡しになりました。』




あの中へ入った後、色んな声が聞こえてきました。

嘆き 絶望 怨嗟の声は様々な場所から幾重にも聞こえてくる、気が可笑しくなるような(おぞ)ましいその中に私はただ何とか心を傾けないようにするのに精一杯だった。


長い、長い間そこに留まっていたある時ふとあるものが見えました。

きっと私もあれの一部になりつつあったんでしょう、心は別でしたが身体はうまく自分の意思で動かずそれなのに目の前に見える景色は段々と鮮明になっていました。


中に何か小さな、大きさで言えば星の6等星ほどの光が見えました。

仄暗いそこではあっという間にかき消されてしまうだろうという程の光、私は思わずそこに意識を傾けました。


すると、ここではない場所のありふれた光景が見えました。

誰かが薪を割る唯の日常の光景。

別の光では何かの研究を明け暮れる光景が。

他にも誰かと飲み食いし戯れる光景、誰かがプロポーズを受け喜びに涙する光景。

夕焼けの空の下歩く子供とその子の手をつなぐ親子の光景。


私はどうしてこんな光景がこんな悍ましい場所で見ることが出来るのか最初は解らなかった、けれどある光に触れてみた光景をみて解ってしまった。


私達と同じように私達とは違う街に空からやってきた瘴気の光景。


あれは人の記憶。

この瘴気に呑み込まれた私達より前の、別の異世界の住人の人々の記憶だったのだ。


ではこの多くの何かか蠢いている気配は、この瘴気に喰われた別の世界の住人。


『それを理解した瞬間、私の意識もあちらへ引っ張られ意識を失いました。あの瘴気は別の世界で私達の世界のように人の中にあるエネルギーを喰らい、そして次の異世界へとやって来ては同じように喰らう。』

誰もがその内容に絶句する、そんな中、彼女はとんでもない事実を告げた。


『魔王もです。魔王の世界も私達と同じように蹂躙され取り込まれた被害者です。そして、この戦いが終わり私達が負ければ、魔王達はただエネルギー源として喰われ今度は私達が別の世界で魔王という役割を担う事になります。何度も・・・何度も。別の世界へ侵略した時からそんな事を続けされられていたんです。私達・・・っ人に。』


そう言って、耐えきれなくなった王妃は顔を覆って泣いた。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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