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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。㉙)

9/28;一部訂正しました。



『僕の名前はシナウス。どうか、僕らを国を魔王の手から助けて下さい。救世主様、どうかあなたの名を教えてください。』


これで、僕達は終わる。

時空(とき)が止まったままのこの世界で最期を迎える。



早く、もうこんな事終わらせてくれ。




ただそれだけを胸に抱き、何もかも感じない身体を自分の意思で動かすことはなく、いつもの操り人形の様に動かされる身体に何万回と言ってきた言葉を口から滑り落ち最後の協力者へと告げる。


抗う事もせず今、自分がどんな表情をしているのかさえ理解していないまま何時ものように頭上にある白く濁った白濁色のガラス板を見つめる。


暫くして、そのガラス板にじわりと文字が浮かび上がる。



・・・・ネエ。今回の協力者の名前が浮かびあがる。どうやら今回の協力者は女性らしい。


『では、貴女の名前はネエ様、でよろしいですね。ではこのまま物語を始めますがよろしいでしょうか?』


光を宿していない瞳で頭上にじわりと浮かんだ【はい】と選択した文字をただ淡々と見つめた。






―――――――――――――――――――




――――――――――



―――――









べしゃり、という音に僕は昏い瞳を未だ宿したままそちらをみる。

もう聞き慣れたその音の場所へ目を向ければ、地面に這い蹲っている今回の協力者、ネエ様の姿が見えた。




あの情けない音が僕達にとって当たり前になる程、彼女はたった1人でダンジョンで探検をしては1人死んであそこの拠点で蘇生され帰ってくる。

装備品はそれこそ初回の支給された冒険者とは程遠い、村人が着るような布のみすぼらしい服と木の棒を掲げて今日も到底1人では達成できるはずがない場所へ赴く。


それをほぼ毎日毎日繰り返している、彼女は正直他の協力者とは異なっていた。



自分達を使って編成すれば僕達を犠牲にしてまだ可能性が出てくると言うのに、彼女は素人なのか全くと言っていいほど僕達に命令はしなかった。


命令されるのは拠点の唯一安全地帯とされる森の中で食糧や錬金術の材料を採取する仕事か拠点で休むことだけだった。


明日の天気でさえ予測できるこの箱庭でこんなに長い間苦痛のない日々を送れたことは久しぶりだった。

けれどだからと言って僕達は希望は持てなかった。

相変わらず瘴気に身体は蝕まれたままだし、明日はもしかしたらあの無謀な探索のメンバーに加えられるかもしれない。


それが僕達は恐ろしかった。



だが来る日も来る日もネエ様はたった1人で挑む毎日だった。

そうしている内に、ネエ様は何処からか得た魔法アイテムを持って探検するようになり死ぬ回数も減り徐々に装備品も増やしていった。


同時に魔王によって街を壊され、辛うじて与えられた拠点には簡素な建物しかなく、それこそただ寝るだけの地べたに等しい寝床という機能性しか持ってなかったこの拠点の強化にもネエ様は力を入れ始めた。


何処からかアイテムを得、その得たアイテムで畑を耕し井戸を作り家畜用その他諸々の施設建物をゆっくりだが順番に建て始めた。

それに伴い僕達も命令枠の選択肢の中に組み込まれるようになり、当番制の様に手伝う事になるが殆どがネエ様が入手した魔法人形【ドール】達が危険な仕事を担ってくれたおかげで疲労感はあれど僕達がケガをすることは殆どなかった。



徐々に拠点が綺麗に整備され、食べ物や飲み水に困る事もなくなっていき満足に眠ることも出来るようになっていく環境に、安堵というよりこの頃の僕達は困惑した感情が大きかった。




そんな日々を送っていればいつの間にか規定通りにきっちり3ヶ月毎に季節が変わる箱庭の季節が2巡り目の夏に差し掛かった頃になれば、ネエ様はあり得ないほどの多くのスキルを身につけ強くなっていた。

体力強化、隠密、探索成功率、魔法強化のスキル更には錬金術や生活スキルまで幅広く彼女のスキルは発現させそれらをものにしていた。

普通であればこれ程のスキルを持つこともあり得ない、過剰なスキルは無意識に自分の中で重要性のないものは次第に消えるものだがそんな様子はみられなかった。


そして、あの簡素な装備品で突撃を繰り返していた姿は消え、今では隊長クラスに匹敵する程強くなったネエ様が長く長くダンジョンに潜った後は、自分達の魂の欠片を持って帰ってきた。


徐々に自分達の中が満たされていくのを感じながら僕達は、頭上のガラス板を見つめる。

この協力者は一体何故どうしてここまでしてくれるのだろう。



ネエ様の意図が分からず何時ものように過ごしていたある日、転機と言えることが起こった。






魔王に(くみ)し魔物の一部に転じ人の姿を捨てた仲間が、ネエ様と一緒に元の姿を取り戻して帰ってきたのだ。





いつも読んで頂きありがとうございます。

裏設定:魔法人形【ドール】→ガチャ景品の1つ。彼女は外れガチャ品と思っていた代物。(だって戦闘向けではないんだもん。)建物の建設段階で所持していたドールの数は351体。チームを分けて復興活用していました。(高層ビルから落ちるぐらいの)強い衝撃を加えると壊れるが専用の建物で治すことができ、一定の休養と清潔な水を摂取すれば働ける実は結構万能な奴。

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