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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(大好きな皆に恩返ししよう、そうしよう。⑫)

7/28:牛乳の容器の内容について加筆しました。



お昼までまだ時間があるので、私達は早速行動を開始した。

取り敢えず、もも肉の部分を使ってみようと私はギリアにもも肉の部分を目の前の調理台へ置くよう指示をする。


「そういえば明後日戻ってこられる騎士様達はどのような予定なのでしょう?」

彼らが肉を狩ってくると言われていたがその肉が届くのが遅い場合だと、下ごしらえがある手前短時間はやはり心許無い。

なるべく下準備はきちんとしたいし、それに出来れば煮込み料理も挑戦したいという欲も生まれたのだ。


焼き料理、煮込み料理、いつも食卓に並ぶフラットブレッド(発酵なしパン)に今回作ることが出来たマヨネーズのサラダや他のサラダそれにバターもあるのでじゃがバターなんかあればきっと食べる量も多いだろう騎士の人達を満足させることができるだろう。


勝手に献立を立てていると今までじっと鹿の肉を見ていたアイルが思い出したように口を開く。


「いつもなら、明日まで夜通し訓練になるから朝には帰ってくると思うよ。朝食は訓練中非常食で済ましているから大概が自由時間になると昼過ぎまで死んだように眠るし本当夕食だけになるんだ。」



お兄様のお話しを聞けば、ここはかなり極寒になるので仮眠程度しか睡眠は許されずほぼ今日から2日間は夜通しの訓練になるらしい。

今日は訓練内の敷地に野営を準備し周りの地理を把握と視回り。

明日は遠くまで決めた広範囲のエリアの視回り、その際拠点と探索との通信を途絶えないようにする訓練、そして見つけた獲物を狩り拠点に戻った後は血の匂いを漏らさないようにするための処置訓練もかねてその獲物を血抜きと解体を行う。

もし、血の匂いで野犬達が襲ってこようなら対処する等々この2日間はかなり厳しい訓練になるらしい。


確かに帰ってきたらそりゃあヘロヘロになって泥のように眠るよねと納得してしまう。


「凍傷対策はしているけど、念のためおば様の薬酒を飲用したり診察を受けて騎士は休む。昼過ぎに起きるからその後大浴場で入浴を済ませ、それから早めの夕食を頂く流れにいつもはなるね。」

「そうなのですね。」


自衛隊並みの訓練の話しに、私は胸がいっぱいになる。

騎士様って本当大変だな・・・、これはゆったりと温泉にそして美味しい料理に舌鼓(したつづみ)をうって英気を養ってもらわねば。


朝方にお肉を調達できるなら十分時間も大丈夫そうだ。


「ティリー、僕は今から父上に手紙を送るけど何か肉の扱いで気を付けたいことはない?」

独り納得して段取りを考えているとアイルがそう声をかけてきて、私は少し考える。

「そうですね・・・、血抜きは早めに、必ず冷たい場所で保管に持ち運びに支障がなければ出来れば部位ごとに分けて頂ければとても調理がしやすいです。」

「分かった、上質なお肉期待してて。」


そういってアイルはその場を離れ上へと向かっていった。

とりあえず本番のお肉はお兄様に任せよう・・・と、まず手始めに。


「ではギリア。まずもう一度臭み取りを行いましょう。まず内ももと外ももの部分に切り分けて2つ深めの皿・・・いえ肉が入るぐらいの鍋を用意してそれぞれ入れて下さい。」


そう言うとギリアは慣れた手つきで肉を切っていく。

本当は内ももの下の部分はシンタマに分けることができるがまぁ問題はないのでそこは敢えて言わない。因みにシンタマというのは別名トモサンカクである、たまに焼肉屋のメニューで見かけるアレである。


「お嬢様出来ました、それでは次は何を?」

「では・・・今回はそうですね、牛乳を用意してください。」

「牛っ・・・は、はい。」


次に言われたのが牛乳と言われギリアは戸惑いながらも持ってきてくれた。

そして次の工程を告げる。


「では、この鍋の中へひたひたになるまで注いでください。」

「ひ、ひたひたですか?」

「ひたひたです。」


有無を言わせない口調で私は彼に告げると彼は先ほどより戸惑いながら外もも肉の方に牛乳をいれる。

「お嬢様・・・本当にこれは問題ないのでしょうか?逆に牛乳の臭みまで与えてしまわないでしょうか?」

とうとう心配してギリアは小さく声をかける。

私は腕を組んでじっと鍋を見つめる。


彼の心配はごもっともである。

真っ赤な肉を真っ白な液体へ漬け込んでいるわけだから傍から見ればこの方法は驚くことだろう。


「大丈夫ですギリア。これはれっきとした下準備ですから。」

本来なら酵素をもつ玉ねぎ、リンゴといった果物に漬け込むやり方があるがこれは柔らかくするのと旨味をより引き上げる方法なので臭み取りではない。


今回に最適なのは乳酸菌を持つ牛乳だ。

柔らかくなる上に臭みもとってくれる優れものだ。

本当ならワインといったお酒でもいいのだが・・・もったいないから私の中で却下した。それにワイン煮込み料理を考えているので2倍使用は避けたい。


ただ牛乳だとよく浸透してしまうのか柔らかすぎてしまいがちになる。


硬すぎるよりは良いのかもしれないがジビエの弾力の肉を楽しむなら本当なら【アレ】の方が良いんだけど・・・・今はないからなぁ。


「む。鍋一つ入れるだけで牛乳がなくなりました。もって・・・ルイっ!」

「は、はい!」


あ、さっきのお兄さんじゃん。

ジャガイモ剥きが終わったのか疲れた様子のルイと呼ばれた青年は慌ててギリアの元へ向かう。


「牛乳を持ってきてくれ。」

「は、はい分かりました!」

彼は急ぎ足で倉庫へ向かい、彼と共に現れたのは私の背丈と同じぐらいの容器だった。


「あのように・・・混乱するとなぜ行動が単調になるんだ・・・。」


きっと小さい器に汲んで持ってくるのが普通なんだろうな。

ギリアのため息と一緒に呟いた言葉にティリエスは察する。


ガラス技術が盛んなのだろう、どうやらこの世界の牛乳は瓶の容器が当たり前に使用されているらしい。

茶色い遮光瓶を重そうに割れないようにルイは持ってくるとその場に静かに置いた。



なんとか持ってきた彼は肩で息をしながら、「持ってきましたっ!」と自信満々な様子で彼に告げた。


特別彼は咎めることはせず、牛乳の蓋を開けた瞬間彼の表情が変わった。


「こらっ!ルイ!これは廃棄用のやつだ!こんなところに持ってくるな!」

「ひぇ!す、すいません。」


廃棄用?


私はその言葉にひっかかり、怒っているギリアに声をかける。

「ギリア、廃棄用というのはなんですか?そんなに消費以上に注文しているのですか?」

「いえ!お嬢様違うのです!」


勿体ない精神な上貧乏性の私はつい責めるように彼に言うと彼は慌てたように言う。


「廃棄しないように注文は心がけております。ですが普段から同じ納品にも関わらず牛乳が痛んでいるものがありまして。旦那様に昔ご報告しましたが農家に支障がなければそのままで良いといわれ・・・なのでそのようなものがたまに出てしまうのです。」

「・・・・そうなのですね。ごめんなさい、貴方を責めたように言ってしまいました。」


彼の言葉に偽りがないので私は素直に謝罪をする。


でも、同じ納品なのに・・・廃棄になるって・・・・?んんっ!!もしかして!!

私はじぃっとその容器をみる。

もしこれがそうだとしたら・・・絶対欲しい!!


「ギリア!その廃棄用の中身見せて下さい!!」

「えっ!!」


驚いたギリアだったがそのまま彼女の言われたことをする。

彼の持っている器からそれを見た瞬間、ティリエスは笑みをうかべた。


彼が手に持っている器の中には正しく【アレ】、【ヨーグルト】がそこにあった。



いつも読んで頂きありがとうございます。


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