表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レイヴン戦記  作者: 一弧
番外編
82/154

悪徳領主

 気が付くと、身動きできないように縛られて地面に転がされていた、


「誰かいないのか!」


 その叫び声に反応するように人影が近づいてくる、人影の正体に気付き大声で呼びかける、


「縄を解いてよ、ユリ・・・」


 そこまで言ったところで顔面を思いっきり蹴飛ばされ悶絶する。

 痛みで涙が出る中で別の人影に気付き、声を掛ける、


「助けてよ、ヒル・・・」


 そこまで言ったところで、思いっきり唾を吐きかけられた、何が起きているのかまったく理解が追い付かないでいると、目の前にゴロンと何かが放り投げられた、よく見て見ると、実父ドミニクとカイの生首であった。

 それを見た途端パニックになり叫び出した、


「アルマ!アルマ!助けてよ!」


 その叫びに対し醒めたようにユリアーヌスが吐き捨てる、


「邪魔っけな化物から解放された目障りだから両親共々火炙りにしてしまえって言ったのは誰でしたっけ?」


 そんな事言ったっけ?しかしその氷のような冷たさにさらにパニックになりながら、叫び続ける、


「ゲルトラウデはどこだよ!どこに行ったんだよ!」


 苦々し気なヒルデガルドの声がそれに応じる、


「どこまで保つのか実験だって言って三日三晩村の男達に凌辱させて、いびり殺しておいてよく言うわね」


 え?そんなことやったっけ?誰も味方はいないのかよ?どうしてこうなったんだよ?より一層のパニックに陥っているテオドールにさらに追撃が来る、


「肉のたるんだババアなんて興味ないでしょうね、初夜にイヤイヤ相手してそれっきりですものね」


「お古なんて御免よね、時々暇潰しの相手として道具のように扱われる屈辱わかる?」


「村のちょっと綺麗な娘は全員手を付けたみたいね」


「人妻を横取りするのは気分がいいって、それやられた男衆がどう思ってるか考えたことある?」


 いよいよもって、心当たりがない、「知らない」といくら叫んでも、白々しいといって相手にしてもらえない、


「なあ、テオ、お前も領主になるまでは普通にいい奴だったのに、変わっちまったよな・・・」


 ルヨが言う、こちらが何か言おうとするがその前にさらに続ける、


「カイからの伝言だ、『先に地獄で待っています、道案内は御任せください』だとさ、最後まで忠臣であろうとしたんだろうな」


 何が何だか訳が分からなかった、どうしてこうなったのか全く理解不能だった、


「見てるのも汚らわしいわ、あの世でエレーナ様達に詫びてきなさい!」


 ユリアーヌスが大鎌を自分に向かって振り下ろし、その刃が目前に迫った所で目が覚めた。

 心拍数は跳ね上がり、ひどい寝汗をかいていた、アストリッドから鬼畜と呼ばれて、事実から大幅に脚色された噂話を聞かされたことが影響したのであろうか、非常に酷い夢だった。

 しかし、思い返してみれば、自分の中にそういった思いが多少はあったのではないだろうか?と嫌な感覚を覚えた。

 ユリアーヌスをババアと思った事はたぶんないと思いたいが、ヒルデガルドやアルマと関係を持った後は若干、若さがないかな?なんて思った事はあった気がした。

 ヒルデガルドにしても、別の男の、しかも知っている人間の影がちらつくのは少し気になっていた時期もあった。

 アルマを化物と思ったことはないが、火傷痕の引きつり弾力性がなく無機質な肌触りは少し奇異に感じる事もあった。

 ゲルトラウデに性的欲求を感じた事はたしかにあった、特に妊娠中で相手をしてもらえない時など、誘いたくなる誘惑と必死に戦っていた、しかし嬲り殺しにしようなんて思った事は絶対ないと言えた。

 道を誤った末路があんな最期かと思うと、人にはなるべく優しくしようと、一杯の水を飲みながら思うのだった。

 それにしても久々に夢で逢えたんだから優しく微笑みかけてくれてもいいのに、いきなり蹴りはひどいよな・・・そんな事を考えながら再び一人寝の布団に潜り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ