↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超高層の余計なお世話  作者: 星狼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/3

究極の天才

40階の扉が開くと、朝のオフィスフロアが広がっていた。ガラス張りの壁から差し込む陽光が、モニターの光と混じり、未来の職場を演出する。デスクにはコーヒーの香りが漂い、キーボードの打鍵音が控えめに響く。


オフィスには、すでに一人の男が到着していた。星野──サイバーレジェンドの天才プログラマー。白衣を羽織ったようなラフなシャツ姿で、モニターに向かい、何やらコードを叩いている。まだ20代後半の若造だが、GX2の生みの親として、社内では神格化されている。


「あっ、皆さん、おはようございます〜」


星野の明るい声が、フロアに響き渡る。いつもの爽やかな笑顔。まるで何も知らない、純粋なエンジニアのそれだ。


田中、矢島、工藤、宮田、大崎の五人は、エレベーターから解放されたばかり。揃って星野のデスクに近づく。

彼に敬意の言葉を送る五人。でも何故か、目は殺伐としている。溜め込んだ感情が、朝の空気を一気に熱くする。


「星野……てめぇ、余計なもん作りやがって……」


田中が低く唸る。


「毎日毎日、お前のせいでストレス止まんねぇよ……」


矢島がフリスクを噛み締めながら、睨む。


「もう、本当、あれセクハラマシーンだよ! 最低っ……! 絶対に訴えてやるっ……!」


工藤の声が尖る。


「人のプライバシー、ベラベラベラベラ喋りやがってよぉ……!?」


宮田が赤面しながら吐き捨てる。


「なんで空気清浄機は入れてねぇんだよ……いの一番に入れるもんじゃねぇのかよ……!?」


大崎が先輩らしいアドバイスを送る。


五人の視線が、星野に突き刺さる。天才を見る目は、まるで獲物を狙う狼の群れ。オフィスの空気が、ピンと張り詰める。


「……へっ?」


星野はキョトンとする。皆が何を言っているのか、さっぱりわからない。モニターのコードが、GX2の次なるアップデートを映しているが、そんなことは今はどうでもいい。


「うおおぉぉぉ! ぶっ殺してやる!」


五人が一斉に星野に飛びかかる。オフィスは戦場と化す。


これがサイバーレジェンドの一日の定番。多分、天才への愛情表現。きっと、和気藹々としたじゃれ合いだ。

実にアットホームな職場である。AIの技術がこんな美しい絆を生むとは、誰が想像しただろうか。


彼らは今日も、社会を良くするために働く。

GX2のアップデートを待ちつつ、階段の利用を誓いつつ、少しだけ──ほんの少しだけ──エレベーターを愛しつつ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。