第4話 穏やかなひととき
レイチェルとアランは、パニルの魔法の事を誰にも言わずにいる事にした。
そんなある日の昼下がり、穏やかな空気が漂う中、三人は森の中を歩いていた。
「今日は、ここで野宿するか!」
「そうね。魔物もいなくて、静かだし。」
「きゅぅ」(よし!なんかお手伝いしよ!)
アランがテントを立て、レイチェルが木の実や魚を取ってくる。毎回二人の手際の良さに見惚れながら、いつか役にたちたいとパニルは思っていた。
レイチェルが魚を焼く準備をしていると、パニルがトコトコと横へ並ぶ。
「ん?何?」
「きゅ、きゅきゅー!」
ボン!と爆発音と共に、魚が丸焦げになった…。
「ぎょっ!」(え!!うそ!?)
「うわー…パニル、これは魔物じゃねーぞ?」
「きゅん」
(知ってるわよ!でも、すみませんね!)
「て、手伝ってくれたのよね〜?」
「きゅぅん」(レイチェル〜)
「また魚を取ってくるわね!」
「きゅ!」(行ってらっしゃい!)
「パニルは、アランの手伝いしててね?」
「…はぁ?」
レイチェルはアランに目で何かを訴えると、湖の方へ消えていった。
「パニル。あー…枝!
そうだ枝を薪にするから、拾ってきてくれ!」
「きゅんきゅん!」(それなら出来る!)
そうしてパニルは、枝を拾うため、辺りを歩き始めた。すると、足元に落ちている枯葉が目に留まる。
(…?)
その葉っぱは黒い靄を纏っているように見えた。
(なんだろう…これ)
不思議に思い、そっと手を伸ばしたその時――淡い光が、ふわりと灯る。
(何?今の…)
黒い靄は、跡形もなく消えていた。
じんわり熱くなった手を見つめ、しばらくその場に立ち尽くすパニル。
(…枝、拾わなきゃ!)
拾い集めた枝を抱え、何事もなかったかのように、二人の元に戻って行った。
――そして、アランが薪に火をつけ、美味しい食事にあり付けた。
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お金が底をついてきた三人は、ギルドを目指して、とある町へ来ていた。
そして立ち寄った食堂で、三人は不穏な噂を耳にする。
「北の山で魔物が大量発生したってよ!」
「まじかよ!あそこの麓を通らないと、隣街に物資を届けられないぞ…」
「ギルドは何してんだ!?」
「いや、何人も死んでるらしいぞ…」
パニルが不安そうに耳を傾けてるのを見て、レイチェルが優しく撫でた。
「…パニル。」
「でもあそこは、神獣フェンリルの加護で魔物は殆ど出ないはずだ…」
「神獣に何かあったとしたら?」
空気が静まり返る。
「…調べに行ってみましょう?…」
「きゅぅぅん」(そんな所行って大丈夫なの?)
「心配してくれてるのね?
大丈夫!ヤバくなったら、すぐ帰ろね!」
(すぐ帰るんだ…はは。)
片目を瞑って、緊張感無さげなレイチェルに対し、パニルには、理由の分からない不安が広がっていた。
それがただの杞憂で終わらない事を、まだ知らない…。
つづく。




