第2話 二人の冒険者
そう、
ここは魔物がいる世界だった。
(これってヤバいよね!私食べられるの?)
冷や汗が頬を伝う…
全速力で逃げるが、大きい魔狼にすぐ追いつかれてしまう。前足で叩かれると、遠くへ飛ばされてしまった。
(うっ…痛たたた…わたし、もう死んじゃうの?)
ヨロヨロと、力なく逃げようと歩き出すが、容赦なく魔狼は前足で、踏みつけた。
動けずぐったりしていると、遠くから光と声がする。
「アイシクル!」
氷のつららが魔狼を貫き、その巨体は大きい音と共に倒れた。
(はぁ、はぁ、すごい、あんな大きいのに…助かったの…?なんだか、ゲームの魔法みたい…)
「大丈夫!?」
【駆け寄ってきたのは、耳の尖った金髪のスラッとした女のエルフ剣士。名前はレイチェル。】
「きゅぅ…(ありがとう)」
「ねぇ!見てアラン!可愛い!犬?うさぎ?」
「待てレイチェル!魔物じゃないのか?」
【魔法を使ったのは、銀髪メガネの、イケメン青年魔導師。名前はアラン。】
「大丈夫よ!可愛いもん!」
「なんだその理由。そんな事言ったらお前も可愛いだろ?」
「やだ、アランたら♡もう…んっ」
「きゅぅん…」
(え?イチャついてないで助けてよ〜)
「あ、アラン!あの子助けないと!」
そのまま気を失った。
手当てを受けると、彼らの宿舎のベッドの上に寝かされていた。
「パニルって何の動物だろう?」
「もう名前付けたのか。愛着湧くと別れが辛いぞ」
「別れなきゃいいじゃん!」
「だが魔物だったらどうする?
んー、一度ギルドで見てもらおう?」
そんな会話が聞こえてきて目が覚める。
(私、パニルって名前になってるのね…なんでもいいけど…いい人?に拾われて良かった…)
数日後、看病され、元気になったパニルを抱いてギルドへ来た二人。
「すみません。この子が何の動物か調べて欲しいんですけど〜」
レイチェルが受付けの娘に言うと、娘はパニルを抱いて奥へ消えて行った。
「もし魔物だったらどうすんだ?」
「うーん…でも何もしてないのに殺すなんて…」
「でも大きくなって街を襲うかもしれないだろ!?」
「…。」
重い空気になった頃、奥から受付けの娘が出てきた。
「この子、こちらでは鑑定出来ませんでした…」
「どうして?」
「ここでは簡易的な診断方法なので、神殿に連れて行って、ちゃんと見てもらったらどうでしょう?」
「ええ…そうします。」
レイチェルがパニルを預かると、三人はギルドを出て行った。
「アラン、神殿へ行った方が良いです。って」
二人には――うさぎを可愛いと言って、連れて冒険をしていたら、瘴気に当たって魔物化してしまい、自分たちが退治した過去があった。
動物とは、家族のように暮らしているエルフにとっては心が痛かった。そんな経験から、可愛がるパニルが魔物だったらまた自分が…と思って、レイチェルは俯いたままだった。
アランはレイチェルの横顔を覗き込み、頭に手をポンと置いた。
「また、同じ事があったら。って思ってるんだろ?
それなら、確かめに行こうぜ?」
その声は優しく、レイチェルの不安を拭いさってくれたようだった。
そうして三人は神殿のある街へ出発した。
――色々な思いを胸に。
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道中は長かった。出てきた魔物を倒したり、道に迷ったり、野宿をしたり…。
宿がとれると、イチャつく2人を見たくなくて廊下で寝るパニル。
(神殿て、どんなとこかなー?
私の事、少しでもわかると良いなー。)
パニルは期待と不安で、中々眠れずに居た。
つづく。




