俺は怒ってないし、嫌ってないよ
日付けを確認したら、タイミングが良いので調整しました。
……風呂から出て、個室でゆっくりしていると扉をノックする音が響く。
「ゼン様。遣いの者です」
「分かった」
遣いの者の案内に付いて行くと、とある部屋の前で止まった。
「お連れしました」
「どうぞ」
この声は王妃……いや、今は皇太后か。
入ると、皇太后が見ただけで目的が分かる格好をしていた。
そして、その壁には先程の風呂で桃源郷を作りだしていた「華」で、特に美しかった2人が皇太后とは別にきちんとメイド服を着ていた。
「……あの日が忘れなくて、身体を磨いていました」
「……はあ!?」
「勿論、幾ら磨いていたとはいえ、年齢が年齢ですから、この2人を用意しました」
「その2人は承知しているのか?」
「勿論です。そして権力で従わせていません」
「……分かった」
「ありがとうございます!」
……まあ、1人ぐらい熟女の経験も有りか。
「……こ、これよ! これが欲しかったの!」
「あぁ……痛っ!」
「来てください……痛……あぁ!」
……2人は「初華」だった。
そして……
「あん……ぁ……あぁあああーーー!」
「ハァハァ……だ、ダメーーー!」
「も、もう……りゃめーーー!」
……ご馳走様でした。
回復魔法でチートしながら1人5ラウンドを熟し、夜明け頃に部屋に戻るとルーネとサラとリンが起きていた。
「ゼン。正妻は私ですからね!」
「昨夜は、お楽しみでしたね」
「ゼン様。お帰りなさいませ」
……ランとエグゼは、涎を垂らして熟睡していた。
ルーネは真面目な理由で起きていて、サラの場合は、あの台詞を言う為だろうし、リンは通常運転だ。
さて、朝食中にフローリア王女が言った。
「朝食後に、マリーベルの下へ向かって頂きますが、私も同行します」
「分かった」
「ありがとうございます」
因みに、皇太后は流石に5ラウンドは堪えたのか朝食を欠席した。
察した新国王のジオルドは呆れ、フローリア王女は赤面していた。
「……それでは出発です!」
俺達の馬車、フローリア王女の馬車、メイド達の馬車、護衛騎士の馬車の4台での移動となった。
しかも、フローリア王女の我が儘で街等には極力寄らない事になった。
……まあ、寄ったら義務と強制で1泊以上になるからなぁ。
そんな訳で、以前のキールベル侯爵との移動日数よりも短く到着した。
そして、フローリア王女の提案で、都市の外壁が見えた辺りで、エグゼには幼女になって貰い、俺達の馬車は「倉庫」に仕舞った。
……領主館に到着した。
表向きは、フローリア王女の友人であるマリーベルに会いに来た……となっている。
フローリア王女side
「……手紙です」
私は「誰からの」とは言わずにキールベル侯爵に手紙を渡す。
キールベル侯爵も、差出人を確認しない。
王女である私が持って来た手紙である以上は、差出人は国王のお兄様を含む王族か、宰相ぐらいだから。
手紙の内容は、何とか、ゼン様を説得して連れて来た事、マリーベルとの仲違いを解消する為の協力をお願いする内容。
「リリーベル、読んでみなさい」
「……分かりました」
私からお願いしてリリーベル夫人にも同席して頂きました。
「如何でしょうか、キールベル侯爵」
「ご協力いたします」
「キールベル侯爵夫人は?」
「……分かりました。ご協力いたします」
「それは貴族としてですか?」
「いいえ。大切な娘の為です」
「私もです」
「ありがとうございます」
そして、私は2人と相談して、マリーベルをどの様にしてゼン様に会わせるか話し合いました。
ゼンside
フローリア王女から、既に数年経過しているから、時間的な準備は不要と言われて、直ぐにマリーベル嬢と再会する事になった。
「マリーベル、久し振りね」
「……」
「今日はね、マリーベルに会わせたい人が居るの」
「……」
「マリーベル、勇気を出してね。どうぞ」
フローリア王女に言われ、マリーベル嬢の私室に入る俺。
「久し振りだな、マリーベル嬢」
「……え!? ……ゼンお兄ちゃん!?」
「おいおい。同じ歳だろ?」
「……えっと、あの……」
「俺は怒ってないし、嫌ってないよ」
マリーベル嬢の姿を見て、俺はマリーベル嬢への負の感情は消えた。
仮にも筆頭侯爵家の長女なのに、その外見は「幽鬼」だった。
着ているドレスは、灰色がメインの擦り切れた服で、顔も痩せこけ、目の下の隈が濃かった。
服から見える腕は驚く程に細いし、恐らくは身体も「あばら」が浮いているだろう。
その外見は、充分に「贖罪」に値するものだった。
「……ご、ごめんなさい!」
「ああ。マリーベル、許すよ」
「あ、ありがと……う、うわぁーーーん!」
フローリア王女は静かに退室して、マリーベル嬢の専属侍女のサレンが笑顔のまま無言で涙を流していた。
そして、俺はマリーベル嬢を優しく抱き締め泣き止むまで、頭を撫で続けた。
泣き止んだが、そのままマリーベル嬢は、俺の胸の中で寝てしまった。
……侍女サレンのお願いで、マリーベル嬢をそのまま抱き締めたままでいると、2時間後には目を覚ませ、マリーベル嬢は言った。
「ありがとう、ゼンお兄ちゃん」
「さっきも言ったが、同じ歳だぞ」
「でも……」
……そう言えば、兄を2人共喪っていたな。
「分かった」
「ありがとう、ゼンお兄ちゃん!
それで、ゼンお兄ちゃん」
「何だ、マリーベル嬢」
「……ごめんなさい!」
「それもさっきも言ったが、許すよ」
「……ありがとう」
自分の心に自ら縛鎖を掛けていたマリーベル嬢だが、自身の悲嘆の殻を壊し縛鎖を解いた後は、沢山食べて自分の身体を癒し治していって、育ち盛りの身体は、見事に周りの期待に応えた。
3週間後にはマリーベル嬢の身体は「痩せ過ぎ」までに回復して歩ける様になった。
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