随分と会話が弾まれた様ですわね
王城や王宮のイベントは、異世界恋愛系が、大いに参考になります!
俺は素の身体能力を3割出して突進からの正拳突き、更に連撃を放つ。
その度に重い破裂音が響き、練武場が微震する。
次に俺は単純に殴るだけじゃなく、技術も加えていくと、変わらず重い破裂音が響くが、相手から「うっ」とか「ぐぅ」とか小さいが我慢している声が漏れる。
更に、俺は回転を上げていきデンプシーロールみたいに、全身の捻りと回転を加えて連撃を放つ。
そして、相手の左脇腹の部分の鎧を破砕して肉体にめり込む。
「ぐはっ!」
……此処だ!
俺は、風魔法の風槌をピンポイントで相手の額に当て、ボクシングのスウェーみたいに仰け反らせて、まるでア○ゾンのスコールみたいに重くて暗い曇天に向かって俺は空振りをする。
最後に、振り抜く直前だけ5割解放する。
すると、俺を中心に爆風が発生して、練武場の上空で停滞していた曇天を吹き飛ばした。
「「「「「「「「「「「「「「「……な!?」」」」」」」」」」」」」」」
「ハァハァハァハァ……」
俺は、体力を使い切ったみたいに、両膝と両手を練武場に突き、水魔法で全身から汗が溢れたかの様に演出して、肩で呼吸をする演技をした。
「そこまで!」
正気に返った近衛騎士団長が模擬戦終了の宣言をした。
「堅い防御力でした」
「君の攻撃力も素晴らしかったよ」
お互いに健闘を称え握手する。
「両者、神遺物の所有者として相応しい戦いであったぞ」
この後、数時間の休憩の後、王家主催の食事会が開かれ、俺は着替えさせられ強制参加している。
まあ、ニコルさんもだけどな。
「素晴らしい戦いでしたな。 所で、今度、我が屋敷に来ないかね?
妻も娘も喜び歓迎するだろう。どうかな?」
「申し訳ありませんが、無学無教養の私では、歓迎されると言われても、きっとご迷惑を掛ける事になります」
……と、こんな感じで誘っているが、貴族の「犬」になる気は全く無いから断っている。
他にも、息子の戦闘の指導をして欲しいなどと言ってくるが、コレらも全て断る。
やっと解放されたニコルさんと一緒に食事を楽しむ事にした。
「ニコルさん、これ美味しいよ」
「……本当だわ。それなら、これも美味しいわよ」
「……美味いな」
並べられた品々をほぼ楽しんだ頃に、この会の主役が来た。
「楽しんでいる様で何よりだ」
俺とニコルさんは、声の主の方に振り向く。
声の主は、やはり先程まで俺のサンドバッグをしていた「英雄」殿と、多分婚約者のテレージア王女だろう。
因みに、この「英雄」呼びは、この食事会の最初の乾杯の時に、国王がこう言った。
「我が国に誕生した英雄に乾杯」
……と。
まあ、気持ちは分かる。
自由が基本の冒険者ではなく、自国の「騎士」が神遺物の所有者になる意味は大きい。
それに守りに特化した様な神遺物は、正に「護国の要」と言える。
さて、その「英雄」殿は、どんな話を持ってくるかな?
「……」
……ん?
「……ナルシーズ様?」
「……美しい」
その台詞は、誰に向かって言っているのかな?
横には、婚約者が居るが?
「ナルシーズ様?」
「……し、失礼。初めまして。ナルシーズ=アピル=ミラーズです。……貴女の名前は?」
「初めまして。この王都の冒険者ギルドで、受付嬢達を束ねるチーフの任に就いているニコルと申します」
「……ニコル……良い名前ですね」
「ありがとうございます」
この後、英雄殿とニコルさんとの雑談が始まったが、こいつは完全に忘れていた。
婚約者のテレージア「王女」の存在を!
「ナルシーズ様!」
「……あ!」
「随分と会話が弾まれた様ですわね」
「あ、いや、これは……」
英雄殿は、何とか言い訳を捻り出して場を収め、俺達に別れの挨拶をして立ち去った。
そして、食事会も終了して王城を後にした。
帰り際に手紙を1通渡されたが、差出人は宰相だった。
最初は王城に呼び出し茶番に付き合わせた非礼を謝罪し、最後は俺達の王都での生活を出来るだけ保護するという内容だった。
俺が正真正銘「神遺物」の所有者だと分かったからだろう。
食事会から2ヶ月が経過したが、俺の屋敷に門番が交代要員込みで4人が宰相から派遣された。
次に、ニコルさんの愚痴を聞かされている。
表向きは、冒険者ギルドとの適切な関係と情報交換をする為となっているが、王城から指名を受けたのはニコルさんで、王城側の担当が「英雄」ナルシーズだった。
ニコルさんが王城に行き、表向きの仕事をするが、それは5分で終わり、後は「英雄」ナルシーズとのお茶会だ。
ニコルさんも、相手が「英雄」ナルシーズで無ければ……と、言っている。
更に3ヶ月後、王城から「英雄」ナルシーズに「国内治安維持を目的とした派遣を命じた」というお触れが出た。
要するに、国内の全てを周り、脅威となる存在を排除して来いという、ある意味「左遷」だ。
真相は……
ナルシーズに、眠り薬を飲まされ、部屋に連れ込まれてベッドに置かれて目が覚めた後、危うくナルシーズの股間の「小剣」で刺されそうになった所を、テレージア王女と国王と宰相が駆け込み、事無きを得たが、精神的な上下関係を使われ、ナルシーズは己の非を認めさせられ、王城からの「治安維持」と言う名の「王城からの追放」となった。
「……と、いう訳よ」
「なる程なぁ」
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精神的な上下関係とは、例えば父・姉・弟の家族構成で、弟が何らかの格闘系の日本チャンピオンになったとする。
しかし、愛情を持って母親代わりを含めて頑張っている「姉」に「弟」が勝てるだろうか?




