真紅の炎よ、全てを焼き尽くせ!
後の主人公の見せ場の為の仕込みをしていますが、バレバレだよな……
馬車に乗ると、ニコルさんが乗っていた。
……それと、今日は曇天か。
「ニコルさんも?」
「そうみたい」
「用件、知っているか?」
「知らないわ。でも、私とゼンだから……」
「可能性としとは有るかもしれないが、解決済みだろ?」
「そうなのよね」
「そうなると、アレじゃないか?」
「アレって?」
「神遺物の所有者となった人物絡み?」
「あー。それが有ったわね」
約40分後に王城に到着して、20分後に応接室に案内され、更に30分後に宰相が入ってきた。
「待たせて済まない」
「気にしてない」
「助かる。それで召喚した理由なのだが、ミラーズ公爵家の次男で……」
「俺の神遺物が本物かの確認と、そちらの神遺物のデモンストレーション……だろ?」
「……済まない」
まあ、俺の神遺物が本物かどうかの判断が、ニコルさんからの証言だけだもんな。
「俺の神遺物が本物である事を証明してやるよ」
俺達と宰相は移動して、近衛騎士団用の練武場に到着した。
周りを見ると、観客席も有るみたいだが、全席埋まっているし、王妃も特別席らしき椅子に座っている。
そして、王妃の横に座っているオッサンが国王か。
そして、練武場の中央に仁王立ちしているのが、俺の相手である次期近衛騎士団長のナルシーズだろう。
……前方に見える曇天が、更に濃くなってねえか?
「良くぞ、余の召喚に応じてくれた。
それで、召喚した理由だが……」
俺の予想は当たり、呼ばれた理由は俺の神遺物が本物かの確認と、ナルシーズの神遺物のデモンストレーションだった。
そして、当然だが模擬戦をする事になった。
俺は普通の模擬戦用の長剣を選び、向こうは槍を選んだ。
さて、どうしようか?
正直、神遺物を装備して発動した状態で本気で戦えば、秒で崩壊するぞ、この練武場が!
その辺りの記録や情報が有る筈だが……
もしかして、俺の神遺物が偽物だから、そんな被害は出ないと思っているのか?
……その可能性が高いな。
「……準備は良いな?」
始まる~~~!
……仕方ないか。
繊細で正確な魔力制御の理想に挑戦しよう!
「それでは、模擬戦を開始する……始め!」
「守護の盾を!」
……あ、鎧が光った!
「さあ、初手を譲るよ」
「どう……も!」
ガギン!
文字通りの挨拶程度の一撃を相手は躱さず防御したけど、下手すると、もう一杯一杯か?
いや、流石にそれは無いだろう。
……相手の神遺物が偽物でもない限り。
俺は相手の力量を探る為に、向こうにも攻めさせた。
「そっちからもどうぞ」
「では、お言葉に甘えて……はっ!」
ヒュン!
あまりに遅いから逆に避けてしまった。
俺は神遺物の所有者だから分かるが、神遺物の所有者になる為には、正真正銘の一騎打ちでなければ所有者になれない。
その為には、素の状態での戦闘力が常軌を逸してなければないないが……遅い!
……マジで神遺物の所有者か?
「なあ」
「何かな?」
「本気を出さないのか?」
「本気を出している」
「……ウソだろ?」
「ウソじゃない」
「それなら偽も……」
「私が入手した神遺物は、攻撃よりも防御が得意でね」
……あの「守護の盾を!」が、そうか。
「だから、君はもう私を傷付ける事は無い」
「……へぇ」
ギン! ガン! ガギン! ゴッ! ガアン!
……確かに、向こうは無防備で受けているのに肉体のダメージどころか、防具でさえダメージを受けている様には見えない。
「どうしたんだい? もっと攻撃してごらん」
「「「「「「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」」」」」」
……周りは盛り上がっているな。
そして、空の曇天が更に濃くなっている。
さて、単純に防御力が極端に上がっているのか、それとも時間停止等の特殊系なのか、探る必要が有るな。
「雷槍」
「詠唱破棄だと!」
騎士のオッサンよ。
神遺物の所有者が詠唱破棄程度、出来て当たり前だろ!
そして、直撃した瞬間を見たが、どうやら時間停止等の特殊系では無かった。
つまり、単純に肉体と防具両方の防御力を上げる神遺物と、現段階では判断しよう。
それなら、俺は少しずつ攻撃力を上げていったが、最初の段階で模擬剣が駄目になった。
ちょうど良いと思った俺は、素手での攻撃にシフトした。
どうせ、俺も神遺物を発動させれば、模擬剣など直ぐに使えなくなるからな。
3分程、一方的に殴り続けているが、次第に俺の攻撃が、相手の防具に接触する時の衝突音が「ガギン」とか「ゴン」から、龍珠のナメ○ク星以降みたいな「ドォン」とか「ドッパァン」な、衝突音に変わっていった。
俺の狭い認識の中での考えだが、既に最新式の魔道具でも耐えられない攻撃を繰り返していると思っている。
にも関わらずダメージを受けないという事は、向こうの神遺物は「本物」だろう。
それなら俺も叫ぶ。
「真紅の炎よ、全てを焼き尽くせ!」
俺は火魔法を応用して全身を真紅の炎に包み、そして静かに消える。
これで、これからの俺の戦闘力は神遺物に因る戦闘力となる。
……はい。この期に及んでまだ「舐めプ」をしているが、当然だが理由は有る。
マジで、俺の神遺物の身体強化はハンパじゃないんだ!
マジでゴブリンからドラゴンぐらいに強化されるから、こんな城の中では使えないんだ。
「……行くぜ」
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