受け取りましたね?
最低基準を満たしているが、最低故に話が廻って来ない。
「私が今回の護衛のリーダーを任せられたAランク冒険者のリシエルよ。
仲間の……」
「Bランクで戦士のエルダよ」
「同じくBランクで魔術士のラロン」
「Bランクで斥候のガリルだ、よろしくな」
「同じくBランクで回復術士のレミン」
「チーム名は、「蒼天の翼」よ」
また別の冒険者チームが前に出た。
「初めまして。Cランク冒険者チームで名前は「疾風の銀剣」よ。
リーダーは私で、名はミークで魔術士よ」
「Cランクで槍術士のセニア」
「Cランクで剣士のアリザよ、よろしくね」
「Cランクで斥候のナリザで、アリザは姉よ」
最後は俺達だな。
「チーム名はまだ決まっていない。
俺がリーダーのDランクのゼンだ」
「仲間のロザリアでDランクよ」
「仲間のリンでDランクです」
「そして、俺の愛馬であり仲間のエグゼだ」
当然だが、エグゼの紹介で……
「本当に真紅星馬だわ!」
「正確には違うわよ。真紅星馬皇よ」
「南東の大草原の主……」
「……どうやって従魔に?」
俺は正直に「分からんものは分からん」と答えたら……
「実力は有るんでしょうけど、そんなものよね」
「「「「「「「「そうね」」」」」」」」
冒険者同士の自己紹介が終わると、今回の雇い主であるギールベル侯爵が言った。
「自己紹介は終わったな。では出発する」
……出発したのだが、何故か先頭は俺達の馬車だった。
そして、俺達の馬車には、ギールベル侯爵の紋章を刺繍した「旗」を掲げている。
勿論、理由は1つしかない……そう、エグゼだ!
それで並び順だが、俺達の馬車、ギールベル侯爵の馬車、蒼天の翼の馬車、ギールベル侯爵に仕える者達の馬車2台、ギールベル侯爵の荷台馬車1台、疾風の銀剣の馬車となる。
全部の冒険者チームが馬車持ちは笑えるが、侯爵の依頼を受けれる冒険者チームなんだから当たり前かもしれないな。
そんな訳で街道を移動中なのだが、モンスターが現れないんだよな。
まあ、原因はエグゼだろうけど。
あれだけ王者の鼓動……じゃなくて空気を出していたら弱いモンスターは近寄れねぇよな。
そして、前を走る無関係な馬車達も、追い付きそうになると、サイレンを鳴らした緊急車両が来たかの様に道を譲っていった。
そして、今日の目的地である町「ヤハンラナ」に到着した。
「……予定より早く到着したな」
「そうですね」
「前も言ったが、冒険者口調で良いぞ」
「分かった。移動の度に指名依頼を出しても俺達は拒否するからな」
「……ダメか?」
「ダメだ!」
「……仕方ないか」
予め貸切の予約を入れていた宿屋に行き、3階をギールベル侯爵が、2階は、1階への階段に近い部屋を疾風の銀剣が、真ん中辺りを俺達が、3階への階段に近い部屋を蒼天の翼が泊まり、その蒼天の翼が交代で3階のギールベル侯爵が泊まる部屋の前で番をする。
因みに、一緒に同行しているメイドさん達は、俺達の左右の部屋になる。
後、3階の窓は全て鋼鉄製の為に、過去に一度も侵入者を許していないらしい。
雇い主ギールベル侯爵と俺達冒険者で、今後の予定等を共有した後は夕食まで自由時間となったから、俺達3人は、町を散策する事にした。
しかし、宿屋から出た時に、後ろから声が聞こえた。
「待ってくださいですのー!」
「待ってくださいー」
後ろを振り向くと、マリーベル嬢と専属侍女のサレンさんが駆けて来た。
「ギールベル侯爵様からの渡し物です」
「……?」
そう言われて、思わず受け取る。
「受け取りましたね?」
「……あ!」
俺の手には金貨1枚が置かれていた。
「マリーベル様の子守……いえ、護衛をお願いします」
「……はあ。分かった」
「ありがとうございます」
こうして、俺達はマリーベル嬢の子守りをしながらの散策となった。
リンの鼻で厳選された焼き串を食べたり、リンの鼻で厳選された飴を食べたり、ロザリアが厳選した銀細工をマリーベル嬢にプレゼントしたり、俺が厳選した銀細工の髪飾りをロザリアとリンに贈ったりした。
ただ、ロザリアのお願いで、ロザリアに贈った髪飾りは俺が直接付ける事になったが、マリーベル嬢は自分の手で顔を隠す様な事をしていたが、指の間が開いていて、指と指の隙間から俺とロザリアを見ていた。
「ありがとう、ゼン」
「気に入ったか?」
「勿論よ」
「ゼン様、ありがとうございます」
「リンも気に入ったか?」
「勿論です」
当然、こんな集団は良からぬ輩のターゲットになり易いが、そこは俺の極細の雷撃弾が、連中の足を撃ち、動けない様にした。
「お見事です、ゼン様」
「大した事じゃないさ」
「何?」
「羽虫を駆除しただけだ」
「……なる程ね」
ロザリアも、俺の視線の先に居る、蹲るチンピラ3人を見て納得していた。
こうして、マリーベル嬢には暗い影を見る事無く、散策は終了した。
「とっても楽しかったですの」
「それは良かった」
この後、絶品な夕食に舌鼓し、珍しい足が伸ばせる個人用風呂に入り、就寝した。
因みに、俺達はDランクで子供という事で免除されたが、蒼天の翼と疾風の銀剣が1人ずつが交代で宿屋の正面と裏口を巡回していた。
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