悪いが、これ以上は禁止だ
知性が高いから、我慢しないといけないエグゼ。
都市ギールベルに戻ると、南門は大騒ぎだった。
「領主に直ぐに連絡しろ!」
「Cランク以上の冒険者を全て呼べ!」
「弓兵、魔術士は、何時でも撃てる様に構えろ!」
……あ。
事後報告です。
あの後、俺の従魔である事を証明出来たが、冒険者ギルドのギルドマスターの部屋で、領主とギルドマスターに、こってりと絞られた。
本来なら領主までが出張る事は無かったのだが、俺が従魔にしたエグゼが原因だった。
実は、エグゼは、あの大草原の「主」で、正確には「真紅星馬皇」で「Sランク」だ。
体躯も、通常の真紅星馬の約2倍だ。
……デカいとは思っていたけどな。
その戦闘力は、1日有れば王都を瓦礫の山に出来る程らしい。
そんなのが、悠然と近付いて来たら、あんな大騒ぎになるよな。
「あ~ははは!」
「笑い事じゃないよ、ヘレンさん」
責任者2人にこってりと絞られた後、1人乗り用と2人乗り用と3人乗り用の「鞍」を作って貰う為に馬屋に依頼して、従魔の証として銀糸のスカーフと、領主公認の従魔証明書を貰った後、宿屋で一部始終をヘレンさんに話したら笑われた。
……エグゼが嫌がるから、鞍を作る為に必要なサイズを調べる役は俺がした。
ヘレンさんに思いっ切り笑われた翌日は……
「お待ちしておりました、ゼン様に仲間の方々」
領主から遣わされた馬車に乗って領主館にドナドナされた俺達は、執事らしき年配の男性に案内された部屋で待つ事になった。
因みに、ロザリアとリンは俺が座っているソファに座らず、俺の後ろに立っている。
「……ゼン様」
「分かっている」
俺が居る部屋に近付く気配を、リンに言われるまでもなく察知している。
「待たせたな」
「昨日振りですね、ギールベル侯爵」
「冒険者の口調で良い」
「分かった」
「さて。今日、呼び出した理由だが……」
2週間後に王都に行くから、俺達に護衛の依頼を受けて欲しいと頼まれた。
それで、Dランクの俺達にまで話した理由は、娘である「マリーベル」(10才)も一緒に行くからだ。
寧ろ、マリーベルが主役だ。
何でも、この国の貴族令息や令嬢は10才になる年になると決まった日に、王城で国王主宰でお披露目会をするのが伝統らしい。
マリーベルも、今年で10才になったから王都に行く事になったが、溺愛するマリーベルの為に行き帰りの道中を万全にしたい。
そんな想いから真紅星馬皇を従魔にした俺達に話を持って来たみたいだ。
依頼を受けれるのか迷っていると、執事のガリバルさんが言った。
「ゼン様。冒険者ギルドの規定だと、Dランクから護衛依頼を受ける事は出来ます。
ただ、誰も実力不足のDランクに依頼しないだけで……」
……なる程。
「分かった。この護衛依頼を受ける」
「……感謝する」
この後、依頼料を含む依頼内容の話し合いが終わり、雑談をしていると、ギールベル侯爵が言った。
「彼女は、元メイドか侍女か?」
「判るか?」
「表情や僅かな仕草や立ち位置からな」
「正解だ」
「これだけ洗練されているのだ。良い貴族に仕えていたのだろう」
「悪いが、これ以上は禁止だ」
「……そうであったな。冒険者の過去を探るのはご法度であったな」
「そういう事だ」
そして、雑談を再開したのだが、痺れを切らしたのかの様に可愛い乱入者が現れた。
「お父様!」
「マリーベル、どうした?」
「絵本を読んでくださる約束を忘れたですの?」
「もう、そんな時間か!」
「そうですの」
「では、2週間後の午前8時までに領主館に来てくれ。分からない事が有れば、この領主館に来てくれれば良い」
「分かった」
こうして、俺達は2週間後に護衛依頼で王都に行く事になった俺達は、領主館を後にした。
「やっぱり、侯爵ともなると分かってしまうわね」
「そんなもんか?」
「そんなもんよ」
俺達は、宿屋に戻り夕食を取り、風呂に入り、リンに睡眠魔法を掛けて、遮音の魔法を掛けた後、ロザリアの華を艶やかに咲かせ、就寝した。
「……ケビン、ごめんなさい」
翌日の午前9時頃に冒険者ギルドに行くと、正式に俺達への護衛依頼が出されていたから、受ける事を伝えて手続きをし、依頼は受理された。
それから依頼の2週間後までに、エグゼに付ける3つの鞍や、オーダーメイドの馬車も完成し、旅に必要な物資等も補充した。
「赤いお馬さんですのー!」
「エグゼ、我慢出来るか?」
エグゼは渋々な空気を出しながら首を縦に振った。
「乗ってみるか?」
「良いですの?」
「良いよ」
「やったーですの!」
マリーベル嬢をエグゼに乗せた。
「……凄い高いですの!」
「良かったな、マリーベルや」
「はいですの、お父様!」
エグゼの我慢が限界の様だから、マリーベル嬢を降ろす。
「もう、降りないといけないですの?」
「ごめんね。お願いして我慢して貰っているんだ」
「分かりましたの」
良い意味で聞き分けが良かったマリーベル嬢に、思わず頭を無でてしまった。
「……えへへへ」
「……ゼンよ」
「……あ! 失礼しました」
ギールベル侯爵から殺気が漏れていたが、マリーベル嬢の笑顔で殺気が消えたから、どうやら俺は命拾いしたみたいだな。
そして、5人の女性冒険者が前に出た。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点とブックマークをお願いします。




