「蒼い華」 番外編〜連休編①〜
久しぶりの更新です!
鏡夜と綺流社の二人のデートは…水族館です!
長らくお待たせして、本当に申し訳ありませんでした!
番外編 蒼い華
『今回はデート編第一日目です。より多くの方に楽しんで頂けるよう、一生懸命頑張ります!
本日のデート、鏡夜君かなり頭捻ったみたいですよ…?』by作者。
『君の一面を見た瞬間に。』Dear鏡夜。
―遠くから、夕方を告げる音楽が流れてくる。
(明日からの連休に行く場所、どうしようか…。映画館はこの間行ったし、いつも図書館っていうのもな…)
さっきも図書館へ行ってきた帰りだし、流石にずっと図書館というわけにもいかないだろうし…。
―連休は、ずっと俺と一緒なんだからな。
ああ言った手前、俺が考えないといけないだろう。
俺がそう考えていると、
「水族館かぁ…。」
隣で綺流社がぽつりと呟いた。
「水族館が、どうかしたのか?」
顔を覗きこんで尋ねると、綺流社が真っ赤になって先程図書館から借りてきたらしい本で顔を隠す。
「ち、ちちち違うの!え、えと、あのその…」
真っ赤になって慌てている綺流社が可愛くて、思わず苛めたい衝動に駆られる。
「ふ~ん、水族館…ねえ?」
「だから違うんだよ~っ!そ、そうじゃなくて…」
「ほおー…水族館…」
「うううっ…!」
綺流社が大事そうに抱えていた本は、透明感と柔らかい文章で人気の作家のシリーズものだった。
俺はあまり読んだことはないが、綺流社はこの作家が好きでよく読んでいる。
「こ、この小説読んでて…水族館がでてきたから…えと…久しぶりに、鏡夜と行きたいなぁって思って…。」
そう言って真っ赤になった顔をマフラーで隠す。
「寒いのか?」
綺流社の顔が赤くなった理由に気付いてはいたが、俺はあえてそこに触れずに問いかける。
「ち、違うもん!寒くなんかないもん!」
そう言い切ってから数秒後、綺流社が「くしゅんっ!」と小さくくしゃみをした。
「「……………………………………」」
「…寒いんじゃないか?」
「…寒くないも…くしゅんっ!」
「「……………………………」」
「…寒いんじゃないか。」
「………………」
綺流社は真っ赤な顔でホッカイロを取り出し、手を温める。
「さ、寒くなんかないもん!」
「はいはい。」
言いながら俺は自分のコートを綺流社にかける。
―水族館、か。
「…綺流社。明日は水族館へ行こうか。」
綺流社が大きく目を見開き、首をこくこくと上下に何度も振った。
―明日は、どんな綺流社が見れるんだろうか。
夕焼けに染まる道を二人で歩きながら、そんな事を思った帰り道だった。
「綺流社!」
駅の構内の中で、沢山の人混みの中で涙目になっている綺流社を見つけ名前を呼ぶ。
「鏡夜~!迷子になっちゃったかと思ったよぉ~…」
恐らく大勢の人混みにもまれたのであろう綺流社が、若干乱れた髪を直しながら言った。
駅は連休ということもあってか大勢の人で埋め尽くされており、さっきの俺達のように迷子になっている人も大勢いる。
俺は綺流社の手を握ると駅の壁際へ移動し、そこから駅の東口へ向かって歩いて行った。
家から近くにある駅は人が居なかったから良かったのだが、水族館のある都心近くの駅で電車から降りると沢山の人混みで綺流社とはぐれてしまい、やっと見つけたと思ったらまたはぐれる…ということをくり返し、今に至る。
「とりあえず駅から出ないとな…。」
綺流社の手を繋いで、何とか構内から脱出。
二人とも髪の毛はグシャグシャ、おまけに誰かに足を踏まれたようで微妙に足が痛い。
「だ、大丈夫…か…?綺流社…?」
「う、うん…」
二人ともぐったりとしたまま、水族館行きのバスへ乗る。
車内は暖房がきいていて、暖かかった。
とりあえず、空席を見つけ、そこへ座る。
たっている人は居なく、みんなこの人混みから来たということが解るほど疲労の色が見える。
バスがゆっくりと走り出し、カタンカタン…とバスが心地よく揺れる。
とんっ、と右肩へ軽い衝撃を感じ思わず見ると、綺流社が気持ちよさげに眠っていた。
きゅっ、と俺の腕に自分の腕を絡め、規則正しく寝息を吐きだしている。
俺はしばらく綺流社の寝顔を眺め、くしゃりと頭を撫でた。
綺流社の寝顔が、嬉しそうに微笑んだ。
「たのしみだね、きょう…」
一瞬起きたのかと思い、驚いたが、どうやら寝言だったらしい。
「…ああ。」
俺は綺流社の前髪を整え、再び窓の外をみつめた時バスが目的地へと到着した。
「☓☓水族館正面入り口へと到着しました。お降りの際は足元へお気を付け下さい。」
車内に機械的な声のアナウンスが響く。
「綺流社。着いたぞ。」
俺が綺流社の肩を軽く叩くと、
「ん~…着いた…?」
「ああ。」
綺流社が目を擦りながら立ち上がる。
二人でバスを降りると、
「うわぁーっ!鏡夜、水族館だよっ!すごーいっ!」
綺流社がはしゃいだように声をあげる。
「はいはい。コケないようにな。」
俺が言った瞬間に、綺流社がコケた。
「「……………………………」」
俺は綺流社をそっと起こすと手を繋いで入場した。
「うわぁ…っ!みてみて鏡夜、こんなにちっちゃい魚がいるよ~っ!」
「あ…っ、これは綺流社に似てるな。」
「えー、酷いよぉ鏡夜。僕そんなに怖い顔してないもん!」
「ああっ、泣くな!綺流社、ごめんっ!」
なんだかんだ騒がしく館内をまわっていると、
「…あれ?綺流社?」
急に今まで傍に居た綺流社が居なくなっている。
慌てて館内を走りまわって綺流社を探すが、なかなか見つからない。
(そういえば、イルカショーを見たいって言っていたような…)
慌てて三階のイルカショーの場所まで行くが、綺流社らしき人は見つからない。
と、なると一階のお土産コーナーだろうか。
そう思って慌てて一階までの階段を駆け降りるが、やはり見当たらない。
残るは二階だけだが…
「綺流社ーっ!」
俺は綺流社の名前を呼びながら二階のフロアを走る…と
―ドンッ!
向こうから走ってきた人にぶつかってしまった。
「いて…。すみません。」
「うわああああっ!すみませんっ!」
どこかで聞いたような…って
「綺流社!こんなところに!」
「鏡夜~っ!探したんだよ~っ!見つかってよかった~っ!」
目に涙を浮かべながらぎゅっ、と綺流社が俺に抱きついてくる。
「ぼーっとしてたら鏡夜いなくなってて……。ど、どこ行っちゃったんだろうって…ふ、不安でっ…」
そういうと綺流社はぽろぽろと涙を零す。
「…ごめんな、綺流社。」
俺は優しく綺流社の頭を撫でると、綺流社がぎゅっ、と俺のコートの裾を掴んで言った。
「も、もうどこにも行かないで…っ!」
「…うん。」
「は、離さないで…っ!」
「…うん。」
「や、約束だから…ね…?」
「…ああ。約束。」
そういうと、綺流社は安心したのかとんっ、と俺に凭れかかる。
「…綺流社…?」
顔を覗きこむと…
「…スーッ…」
規則正しい寝息を発していた。
「…ふっ。」
俺は綺流社をおぶると、綺流社が寝言を呟いた。
「…鏡夜…」
「…なんだ?」
「…鏡夜…」
「…だいすき。」
そういうと綺流社は俺の身体に自分の腕をまわして、再び眠った。
―全く、綺流社には敵わないな…。
あんなに泣きそうな顔をした綺流社も、あんなに嬉しそうにはしゃぐ綺流社も、初めて見た。
君の一面を見た瞬間に、俺はもっと君の事が好きになった。もっと君の事が知りたくなった。
俺はふっ、と笑って、大事な人へこの気持ちを呟いた。
「…俺も大好きだよ。…綺流社。」
END
感想、アドバイス等頂けると嬉しいです。
此処までお付き合いくださり、誠にありがとうございました!
次回は連休編②をお届けしたいと思います!
場所は…内緒です(笑)




