第2話 友達発見!
▼26.06.13加筆修正 ▼26.07.08後書き追記
「ひゃっほ~い――ぐっ!?」
あれ……?
か、体が動かない……なんで?
突然の硬直で顔からつんのめって山の斜面、ていうかほぼ崖を転がり落ちていく……ああそうか、歓喜のままにひたすら山を駆け回ったせいで魔力切れを起こしたんだ。
僕って純潔を保った無改造のゴーレムから、連結数がゼロになるとステータスがほぼ初期値に戻るんだった。こんなの生まれてから一度もなかったからうっかりしてたよ。
やっちゃったなぁ。
ドガンドガンと岩にぶつかりながら落ちて行くのを止められない。まあ僕は頑丈だから、こんなのなんてことない……あれ?
痛いぞ。
なんだこれ、ものすごく痛い……はっ、そうか!
魔力が足りないからオートバリアも自己修復も作動してないんだ。
「ぎ、ぎゃぁぁぁぁ!!」
あまりの痛みに叫ぶ他ない。
ダンジョンに棲み着いた魔物たちの縄張り争いには鉄拳制裁で対処してたけど、皆が悲鳴を上げて逃げ出す理由がわかった気がする。大袈裟だなんて思っててごめん。
なんて考えもできなくなるほど意識が朦朧とてきた頃、僕は何かに激突してようやく止まることができた。
「ウゴゴゴ?」
なんと!!
僕が激突したのはちょっと開けた岩場にいたストーンゴーレムだった。止まらない僕を両手で受け止めてくれたらしい。
ありがたや。さっそく同族、いいや友達発見。おお、一生働かずに友達と遊んでくらす夢の新生活が今まさに始まりを告げ――いたたたたたた!!
ストーンゴーレムがけっこう強い力で掴んできた。そのまま僕を持ち上げてしげしげと観察する……あれ? もしかして同族だと思われてない?
ああ、そっか。僕って見た目がまんまヒト種だからゴーレムってわからないのかも。仕方ない。ちょこっとコアを見せて僕もゴーレムだってわかってもらおう――痛い!!
満身創痍でも頑張って胸部を開こうとしたただけなのに、ストーンゴーレムが一層力を込めてきた。
握り潰すつもりだぞこれ。なんにしても、一回離してもらわなきゃだ。
「ボク、ゴーレム、ナカマ、オナジ、ハナシテ」
話しかけてみたけど魔力が足りなくて何もかもがぎこちなかった。だけどこの方がゴーレムっぽいよね。確か野生のゴーレム、特にストーン系は性能が低いって聞いたことあるし、文章じゃ理解できないかもだもん――いだだだだだっ!!
なんだこいつ、単語も理解できないド低能だったのか!?
完全に殺る気で力を込めてるじゃないか!
「イタイヨ、ヤメテ……」
元々転落でボディは酷く損傷してたけど、さらにヤバイことになっている。ミシミシなんて音はとっくの昔に通り越して、今は両腕のひしゃげる音が聞こえる。
確か僕のステータスの初期値はどれも……ん? 初期値ってどれくらいだったったけ? データまで損傷しちゃった?
とにかく、なんとかしないとだ。自由になった途端にぶっ壊れました、じゃ脱走した意味がないよ。
幸い固有スキルの発動条件は整ってる。けどね、即発動なんて馬鹿な真似はしないよ。変な病気を持ってたら嫌だもんね。時間は惜しいけど先ずはコイツを解析しなくっちゃ。
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【種族名】ゼルカトストーンゴーレム
【形 状】岩石集合巨人型
【食 用】可
【危険度】C
【進化率】☆☆
【変異率】☆☆☆
【能力値】
〖体〗D〖攻〗C〖守〗C〖速〗E〖精〗D〖魔〗E
【属 性】土,水
【魔 法】〖下級〗土,水〖中級〗土
【スキル】
〖固有〗ゼルカトの恵み
〖種族〗水属性吸収
〖習得〗殴打,咆哮,ストーンメイク
【異常情報等】無し
【魔力結晶体】右目に反応あり
【棲息地情報】
ゼルカト山全域
特に溪谷や岩石地帯に多い
【魔物図鑑抜粋】
ゼルカト山のみで採掘されるゼルカト石が魔力を帯びてゴーレム化した魔物。体長は3メートル~4メートルとゴーレムの中では中型。通常は岩に擬態して動かないがヒト種には悪感情を抱いている。魔法、物理両方の耐性が高く、攻撃力もそれなりに高いため、年間を通して多くの死者を出している。ゼルカト石の影響で通常のストーンゴーレムの弱点である水属性を吸収する。
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ひ~ん。魔力Eだって。めっちゃ少ないじゃん。でも贅沢言ってられないや。病気持ちじゃないみたいだし、強制連結開始!!
精神力がごそっと無くなったストーンゴーレムの動きが止まる。と同時にステータスの共有が始まった。もちろん魔力を優先させるよ。
よし、ひとまずこれで動ける。
ちょっと待機して自己修復も……うん、動けるくらいには修復できたかな。
じゃあ早速コイツに一発ブチかまそう。友達になるにあたって対等って大事だからね。同じ痛みを分けてやらねば。仲間だと理解してもらうのはその後だ!
「せいっ!!」
ドガンッっと顔が爆発した。僕のじゃない。ストーンゴーレムのだ。
でもさ、僕はまだ何にもしてないんだよね。ストーンゴーレムをぶん殴ろうとした瞬間、後ろから爆薬が飛んできたんだよ。
運悪く右目の奥に隠された魔力結晶体にダメージが通っちゃったみたいで、ストーンゴーレムがガラガラと崩れ落ちていく。僕を掴んでた手も崩れて地面に落とされちゃった。
たいした高さから落ちたわけでもないのに、情けなくも足を挫いてしまう。
「ぁ、これ……」
近くに落ちてきた友達候補だったものの破片を手に取る。うう、親友になれると思ったのに……。
「大丈夫か!?」
悲しむ僕の側へ、大きなカゴを背負った男のヒトが駆け寄ってきた。
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