第7話 鍵のかかったままの部屋と氷の侍女
王子と一緒に近くの図書館へ行った日の朝のこと。侍女のイザベラが2人の部屋の前にいつの間にか幽霊のように立っていた。王子が「何の用かな?」と聞いても、イザベラはクスクスと笑いながらバスローブとバスタオルをくれるだけで、去っていってしまった。その後、2人は交代でシャワーを浴びてから執事も一緒に図書館へ向かう。馬車の中で、王子はマチルダにこう話す。
「鍵のかかったままの部屋があるのだけど、その鍵が見つからなくて開錠できないから、鍵探しに協力してほしい」
これに対しマチルダはこう答えた。
「良いでしょう。協力するわ」
図書館に着くと、既にイザベラが氷のように冷たい微笑を浮かべながら2人を待っていた。イザベラは王子に図書カードを手渡すと、宮殿へ帰っていった。マチルダはイザベラの腰のあたりにキラリと光る物を見逃さなかった。その後2人は図書館へ入る。早速、王国の歴史コーナーに入ると、王子は王子としての権限で、通常貸出禁止の本を借りることが出来た。
帰りの馬車の中で、マチルダは王子にこう話す。
「侍女のイザベラがマスターキーを持っているかもしれない」と。
これに対し王子は、
「わかった。教えてくれてありがとう」と礼を述べた。
マチルダはその日の夜、見回りが去ってから1時間後に、王子と一緒に部屋を出て、禁じられた魔法コードを、寝ている侍女・イザベラに張って、更に目隠しをした。イザベラの腰からマスターキーを取り、例の開かない部屋へ向かう。
マスターキーで開錠に成功すると、その部屋には歴代のメイドたちの死体が転がっていた。
急いで鍵を閉めて、イザベラの腰にマスターキーを戻すと、2人は自分立ちの部屋に戻る。
王子が聞く。
「マチルダ、君は誰が殺したんだと思う?」
マチルダはこう答えた。
「あの薄気味悪い侍女が犯人だと思う」
「なぜ、あの侍女が?」
「王子の母親が気に入らなかったメイドたちを殺すのに、あの侍女が利用されていたんだと思う」
「自分の手を汚したくないために、侍女に殺害を依頼した、と」
「そういうことになるわね」
「母上ならやりそうだな」
マチルダと王子の話を、このとき何者かがニヤニヤしながら盗み聞きしていた。




