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悪役令嬢に転生した私が、最高の当て馬になろうと努力したら、溺愛されたみたいです  作者: あろえ
第三部

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第90話:黒田、熱を出す

 アルヴィとの恋愛イベントが終わると、事態は急変する。あ~んという衝撃にやられた私は幸せの窮地に立たされ、熱を出して寮のベッドで寝込んでいた。


「お姉ちゃん、本当に大丈夫?」


 おでこの濡れタオルを代えてくれるルビアは、とても心配してくれている。


 回復魔法をかけても治らないし、四十度を超える高熱が続き、泣いてくれたこともあった。ポーラと交代で世話までしてもらっているのだが……本当に申し訳ない。


 推しに甘えすぎて恋の病になっただけである。目を閉じると脳裏に焼き付いたアルヴィスマイルが思い出され、あ~んしてもらったことが頭から離れない。


 そんな大容量の幸せに対応できず、黒田の精神がオーバーヒートして、肉体にダメージを与えているのだ。


 簡単にまとめると、推しとイチャイチャしたら熱が出た。とても情けなくて恥ずかしい。


「本当に大丈夫なのよ、ルビア。今までの疲れが出ただけだから」


 当然、四十度の高熱など滅多に出るものではないので、恋の病だと思われていない。


 その日は王城でエステやらメイクやら色々やってもらい、アルヴィと一緒に過ごしていた。寮に戻った後、ルビアに少し惚気話をする余裕もあったくらいで、とても良い一日だった。


 しかし、翌朝から事態は悪化。原因不明の高熱が続いていると判断され、周囲にはとても迷惑をかけている。


「ごめんね。私、無理させすぎたみたいで」


 ルビアの指示に従い、アルヴィとデートしたのは間違いない。でも、黒田の乙女心が暴走して起こったことであり、ルビアは悪くない。


 勝手にアルヴィとイチャイチャして、寝込んでいるだけだから。


「アルヴィくんもね、デートした時は様子が変だったと言ってたの」


「そ、そう……。おかしかったかしら」


 ヤバい、やっぱりやりすぎたわよね。お腹が空いて冷静になれなかったとはいえ、あれは引かれても仕方がない行為だったわ。


 クロエらしからぬ行為、いえ、貴族としてあるまじき行為で――。


「すっっっごい甘えん坊で可愛かったって。お姉ちゃん、体調が悪くて人肌が恋しかったの?」


 やめて! また熱が上がるわ! 夢の時間を思い出させないで!


「記憶にないわ。朝から少し調子が悪かった気もするし、あの日のことはあまり覚えていないのよ」


 本当は脳内メモリーに録画されていますが、必死に誤魔化しますよ!


「やっぱりそうだよね。お姉ちゃんが率先して、あ~んをねだるはずがないもん。最後の最後までねだってたって、アルヴィくんが言ってたから」


 アルヴィ……。そういうのは言っちゃダメよ。双子にも知られたくないことはあるの。


 まあ、略奪することなく応援してくれてるから、今のところはセーフだけれど。


「ほ、他に何か言ってなかった?」


 なんだかんで欲しがりな黒田である。


「うーん、特になかったかな。普段からそれだけ積極的になってくれるといいんだけどね」


 完全にキャラが崩壊するわ。まだ私にはクロエのイメージがあるの。……かろうじて。


「もしも、本当に私がそんなことをやり始めたら、どうする? 子供っぽい行動を取ったり、異性に甘えたりしてたら、嫌じゃない?」


 しかし、予め調査しておくのも悪くはない。ルビアが黒田をどれくらい受け入れてくれるのか知りたいし、略奪されるゾーンも知っておきたい。


「別にいいんじゃないかな。人目も気にしないで甘えていた方が、円満な雰囲気を周りにアピールできるもん。貴族の結婚って、領民に祝福されないと意味がないよ」


 まさか許可が下りるだけでなく、オープンスケベを推奨されるとは……。あながち言っていることが間違いないではないけれど、予想外の回答すぎて、ちょっと黒田の熱が上がった。


 思わずニヤけてしまっているのか、何かを察したルビアがジト目で見つめてくる。


「もしかして、本当はそういうことがしたいの? あ~んをねだってたのも、実は素だったりして」


「……記憶にないわ」


「ふ~ん。一応覚えておこうかな」


 悪い笑みを浮かべるルビアには、バレているような気がした。


 こういう時に双子は損だわ、と思う反面、またデートのセッティングをしてくれないかな、と変な期待をしてしまうのだった。

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