↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢に転生した私が、最高の当て馬になろうと努力したら、溺愛されたみたいです  作者: あろえ
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/104

第91話:黒田、推される

 無事に私の体調が回復する頃、学園の終業式が行われ、帰省する準備に追われていた。


「ポーラ、こんなにも服は必要かしら。もう少し減らしてもいいんじゃない?」


 専属メイドのポーラとルビアが手伝ってくれているため、今は一緒に荷作りをしている。


 しかし、なぜかルビアが主導権を握っていて、ムッとした表情を向けてきた。


「ダメだよ。お姉ちゃんは公爵家の長女なんだからね。これくらいは必要なの」


「二週間もかかるとはいえ、毎日新しい服を着るわけじゃないんだし……」


「着なきゃダメ。せっかく私服でアピールするチャンスなんだから、貴族らしくリッチにいかないと」


 険しい表情を浮かべるルビアを見れば、言いたいことくらいは手に取るようにわかる。それが双子というものだから。


 この場合の私服でアピールというのは、公爵家として、恥じぬことはできないという意味で間違いない。


 決して、騎士として同行するグレンにアピールしなさい、なーんて意味ではないだろう。


 フラスティン家は王都から離れているため、途中で街や村に立ち寄り、お金を落とした方が喜ばれる。つまり、帰省するときは周りに見られることが多いので、模範的な行動を取らなければならないのだ。


 妙に可愛い私服ばかり詰め込まれているのも、ファッションリーダーになれ、ということだろう。都会の情報に疎い村の女の子たちに見せびらかし、憧れる存在になることで、私がみんなに夢を与えるの。


 私もあんなお嬢様が着る洋服がほしい、それが裁縫師を目指すきっかけになり、人材が育成される。


 やっぱり聖女に選ばれるルビアは違うね。知らないうちにどんどんと成長していくんだもの。


 少し恥ずかしい気もするけれど、これも公爵家の仕事の一つ。実家に帰るまでは、再び完璧なクロエとなり、スーパークールに過ごすわ。


「ルビアがそこまで言うなら、頑張ってみる」


「お姉ちゃん……。ようやくわかってくれたんだね」


「当然じゃない。高熱から復帰して、すっかりリフレッシュしたんだもの。完璧にやってみせるわ」


「そっか。じゃあ、色々とお土産話、期待してるね!」


「……わかったわ。任せてちょうだい」


 一瞬、お土産話という言葉の意味が理解できなかった。実家に帰るだけであり、道中は貴族らしく過ごすだけなのだから。


 でも、嬉しそうなルビアの顔を見れば、すぐにわかったわ。だって、私たちは双子なんだもの。


 お土産といったら、間違いなくお菓子よ。フラスティン領で新しくお菓子屋さんができていたら、その情報が欲しいのね。


 もう、ルビアったら。食いしん坊なんだから。


 実家に帰るだけなのにもかかわらず、洋服だけで旅行バッグが二つもパンパンになってしまったが、必要なものと割り切ろう。


「ところでポーラ。護衛の手続きは大丈夫だった?」


 冒険者に依頼を出したとは聞いていたけれど、なかなか話が難航していたらしい。二週間も拘束される護衛となれば、人が限られるのも無理はないだろう。


 ましてや、公爵家の護衛なのだから。


「何とか間に合った、という感じでしょうか。希望者が殺到しまして、冒険者ギルドのギルドマスターに協力していただき、適任者を選別しました」


「ごめんね。ちょっと意味がわからないわ。もう少し詳しく話してちょうだい」


 希望者が殺到とは? いくら金払いがいい貴族とはいえ、護衛は面倒な仕事の一つのはずよ。


「貴族依頼が受けられるBランク冒険者以上を指定したのですが、倍率が約五十倍になりました。クロエちゃんは俺が守るんだ、という方が多く、選別がとても難しくて――」


「もういいわ、ありがとう。聞かなかったことにする」


 この世の中、聞いてはいけないこともあると悟った。ルビアが適当に言っているのかと思っていたが、本当にクロエファンクラブが学園の外部に存在したのだ。


 推し側から推される側の人間になるなんてね……。世の中わからないものだわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。