10.電車の中でハンドタオルに転生した女子高生のお話。
佐倉たおちゃんは「肩より上に手を挙げるとハンドタオルになってしまう病」を抱えていた。
そのため、授業中は早押しクイズのアレを持ち込んだり、鈴を鳴らしたり、笛を吹いたりしている。
バレーボールもアタックはできずに、もっぱらレシーブ専門だった。
クラスメートはそのことに誰も触れずにした。
みんな転校初日に起きたあの30分を忘れたがっていた。
(今日こそは...!)
放課後、
僕はたおちゃんの後を追った。
たおちゃんが電車に乗り込んだので、僕も飛び乗った。
満員だった。
この日の車内は揺れに揺れた。
たおちゃんは銀色の手すりを確保できず苦しんでいた。
そして揺れに耐え切れず...
ついにつり革をつかんでしまった!
その瞬間、僕はみた。
たおちゃんはハンドタオルになってしまった!
つり革に絡みついているハンドタオル...
「タオルになっちまった!女子高生がタオルになっちまった!」
たおちゃんの隣にいたおじさんが叫んだ。
周りは訝しげな顔をみせるも関わろうとしない。
僕はつり革からハンドタオル(たおちゃん)を外し、ズボンの中に押し込んだ。
そして駅についた途端走りさった。
「出してよ!ねえ!」
しゃべれるのか!?
僕はズボンからタオルちゃんを取り出した。
「なんでズボンの中に入れるの!カバンでいいじゃん!」
「ご、ご、ごめん、とっさのことだったんだ..選択ミスだったね、ごめん」
「もうそういうことならいいよ!」
僕がタオルちゃんと会話したのはこれが初めてだった。
つづく
村人にむりやり踊り子の衣装を着せられた男の子!なぜか魔王と戦う旅に行かされることになり・・・
「◇◇◇踊り子の衣装を着せられて、魔王と戦うことになったんですけど!!◇◇」
も連載中です(❀╹◡╹)ノ゛
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