我は執行者、天使ウリエルだからな。良き運転者と悪しき運転者を裁いて分けるのが執務だ
幸恵「佐藤さんは、どこに転生する予定ですか?」
「俺は…日本ならどこでもいい。楽でチートな人生よりも、自然な家族に生まれて死にたい」
ウリエル「おっ、二人はそろそろ出発か?」
「ウリエル校長。お世話になりました」
ウリエル「チキウニホン行きの転生バスはあと数分。転生したら天界の記憶は忘れてしまうだろうな」
ウリエル「だが、運転に対する真摯さと覚悟は、何世代も先の転生でも受け継がれる。素敵なことじゃないか」
「ここの教習所に来てよかったです」
幸恵「私も」
ウリエル「はは。一般に大往生した魂たちは基本こっちには来ないんだよ。あくまでも重大な交通事故をした魂だけがこちらに誘導され、判別と処分を行う」
ウリエル「我は元執行者、天使ウリエルだからな。良き運転者と悪しき運転者を裁いて分けるのが執務だ」
ウリエル「言っておくが、君たちのように3体入校で2体卒業というのは稀で、90%は魂が消滅したり、獣に転生している」
ウリエル「運が良かったのだよ、42期生は」
「そうだったのですね」
ウリエル「おっとこれから、迷える違反者を十人も迎え入れなければならない。事故の多い冬場のシーズンは大変だよ」
「ありがとうございました」
ウリエル「来世でも安全運転を、では」
ウリエル校長がニコリと右手を差し出す。俺は人間界の感覚で手を差し伸べると、手と手が交差して突き抜けた。ウリエル会長が経験した下界の経験が流れ込んでくる。
この方が地球に転生していろいろ学んだから、この天界の教習所があるのだ、そう確信した。
ウリエル校長はシュンと消えて、魂が集う階段手前にワープした。俺と幸恵さんは一礼して、バスに乗り込んだ。
バスアナウンス「次はー、チキウニホンーチキウニホンー。お忘れ物がないように、ご注意ください」
「幸恵さんお疲れさま、また出会えたら結婚しない?」
幸恵「ふふ。なら運転でデートに誘ってよ、きっと良い答えを出してくれるわ」
「そうだな、探してみるよ来世で…」
転生バスが停車したと思ったら、俺と幸恵さんは気を失って伏した。
ゴウン…ゴウン…ゴポポ…
ん? 見えないし動けないぞ! えいえい!
??「あれ、今おなかの赤ちゃんが蹴ったみたい。私の声が通じたのよ」
??「そんなわけないだろ」
あれ、天界の記憶が残っている。転生者講習卒業時に、運転の呪いを解いてくれたはずだが、もしかして記憶継承にも何かの特典があったりするのか。
(おーい。俺はここにいるぞー、早く運転させてくれー) ドンドン
??「やっぱり私の声に反応してるー。やだ可愛い!」
この世界にもし幸恵がいたら、約束通り車でデートのお誘いをしよう。楽しみだ。
こうして俺、佐藤裕也の来世の運転ハーレムが始まったのだ。




