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幼馴染達と行く異世界生活  作者: 篠宮ソラ
王の試練編
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暴かれた秘密

なろう大賞に応募する新作を書こうと思います。その間にもこちらの連載は続けますので応援よろしくお願いします。

「次の試練の連絡が来たわ。」


愛紗への見舞いを終えた彼らが会議室に来たのを確認すると金は紙を会議室の円卓に叩きつけた。


「最後の試練は海底島よ。明日には着くから準備をするわよ。」


「ちょちょっと待ってくれ、金?海底?今、海底って言ったか?」


「そう海底、海の底と書いて海底よ。プローシライ国から少し離れた3つの島の最期の1つ。人魚達が住む島なの!」


最後の試練が行われる場所がまさかの海底、もはやそれは島じゃねえだろ、と友哉達の心は一致した。


「はるか昔に地盤沈下によって沈んだ島だから島という扱いで間違いはない。そもそも魔王が島だと認めているんだ、反論など出来るものか。」


まるで心を読まれたかのようなシェリーの意見に友哉達闘人組は無理矢理納得する。というか納得しないとこちらを睨む視線が消えないのだ。


「シェリーさん、怪我の具合はいかがですか?」


「問題ない」


「本当に大丈夫?」


「勿論です姫様!例えこの身が朽ち果てようとも貴方の為に闘います!」


「オイオイ!俺との扱いの差がおかしくねえ!?」


未来に対しては輝かんばかりの表情を向けるシェリーに友哉は文句を垂れるがシェリーはそれを無視する。


「チクショウ、俺に優しいのは仲間だけだ。」


「そんな目でこちらを見ても俺は助けないからな。」


涙目で訴える少年に一切目を合わせようとしない青年。友哉の扱いはいつになったらよくなるのだろうか?


「……話戻すわよ。とにかく次は海底での証探しになるわ。時間は1番短い2時間。だから、呼吸の手段を得なきゃならない。私達魔人は魔術でどうにかなるけど闘人2人は出来ないわよね?」


「5分ぐらいなら息を止めていられるが…」


「何それ!すげぇ!」


結局のところ2人は2時間ほど呼吸をしなくていい人間ではないらしい。というかそんな人間がいたら、それはもはや別の生命体だ。


「じゃああんた達2人には私が作った酸素供給装置を与えるから、後で工房に来なさい!使い方もそこで教えてあげるわ!」


ビシィと細い指を男2人に突きつけるが、クリアが「人に向けて指をさしちゃ駄目だろ?」とやんわりと言いながら彼女に腕をおろさせた。


「そうだ、ユウヤ君。工房で思い出したんだが急に工房を貸してくれとは一体どうしたんだい?君は錬金術を使えないだろ?」


「あーそういや説明してなかったな、まあ今がいいタイミングだから説明させてもらうぜ。」


友哉はシェリーと鉱山内で起きた魔導人形の話を始めた。急に頭に図面が浮かび、どこをどうすれば分解できるか組み立てられるかが一目で分かるようになったのだと。


「で、図面があんなら俺も人形を作れるんじゃねえかなって……「ユウヤ君!」えっ!?」


椅子を横倒しにしながら立ち上がったクリアは友哉の元へズカズカと足を進め、彼の肩を掴んだ。


「な、何すか?俺やばい事言いましたか!?」


「違うよ!君は魔導人形を作れるというのがどれだけ凄いのか知らないのか!?」


クリアが熱弁するに、魔導人形の優れた所は本人の魔力供給なしに半永久的に動き続け、軽い思考も出来ることであり、そんな機能を作れたのは歴史上1人しかいないからだ。


「更には人そのものを魔導人形として作り上げたらしい。現在、その人形の行方は不明だが未だに闇市で魔導人形が売られているのを見るとその人形が意思を持って作っているのではないかと言われるほどだ!そんな人形を作れるなんて素晴らしいなんて言葉だけじゃ表せられないんだよ!」


話に熱が入るとともに友哉の肩を掴む力もより入っていく。


「金なら作れるんじゃないのか?あんなに凄い錬金術を使えるなら出来るだろ。」


金は力の質問に黙って首を横に振る。つまり、彼女の腕でも作ることは出来ないのだ。


「全能の魔術師の歴史でもそれが快挙とされてるの。新たな命を作り上げるなんて学者達の机上の空論でしかなかったから。」


未来も太鼓判を押す全能の魔術師の偉業は魔人大陸にいる者なら誰でも知っているそんな知識を友哉は持っていると言うのだ。


驚かない筈がない。


「後、魔導人形の他には魔導騎士っていうのがあってね。魔導人形とは違って術者本人がそれを付けることで魔人が不得意な接近戦も可能にする、そんな鎧もあったみたい。私達の国にある丘の上には通称赤騎士っていうのが祀られているよ。」


未来の言葉に得た知識を探り始める友哉、しばらく知識の本棚をひっくり返したところでようやくそれらしき図面が頭の中に広げられた。


「魔導騎士…ああ、あるわ。でもこれかなり魔力を食うぞ?一般人10人分の魔力で動くみたいだがこんなのを全能の魔術師は1人で動かせたな。」


「お前……全能の魔術師は魔人大陸を治める三大魔王の師匠にあたる人だ。本にも魔力だけなら三大魔王を合わせても届かないレベルと記されているくらいだ。」


シェリーの補足に割と本気であれ?これって使えたら最強じゃね?と考え始めるが図面に書かれた材料はどれも聞いたことがない名前の上、ここまで複雑に書かれていては試練中には作ることは不可能だ。


というか1日2日で魔導騎士を一から作る程の技術は友哉の腕にはない。


「………図面があっても材料も無ければ技術も足りねえ。せっかく強くなれる手段が見つかったのに」


「そう落ち込まないの。作れないなら譲って貰えばいいのよ。」


え?と疑問がそのまま口から飛び出た友哉に未来はある話を始めた。


「私達王家は赤騎士を祀っているようにほかの魔王にも魔導騎士が渡されている筈だよ。なら魔王に頼み込んで譲って貰えばいいじゃない。ね?」


「それはどうかしら?魔王が出してる本の中には自分の師匠の美談や尊敬の文が山ほど存在するのよ?それだけ崇拝している師匠の形見をそう簡単に譲ってくれるかしら?」


金が口を挟む。誰もがそれもそうだなと納得する意見を前にしても未来は柔かな笑顔でしっかりと拒絶の意思を表した。


「大丈夫、彼女は友哉を見たら間違いなく魔導騎士を譲って彼に跪くよ。絶対にね。」





「……読み終わっちゃいましたか」


読んでいた本をベッド脇の本棚にしまう。

魔人大陸の本は殆どが過去の魔王によって書かれたものみたいですがこれがなかなかに面白い。


安静にと言われても暇を持て余していた私はとりあえず暇つぶしに近くにあった本を片っ端から読んでいたのだが気付けば月が輝く時間帯になってしまっていた。


「喉乾きましたが……流石にこの時間に呼びつけるのは失礼ですよね。」


私は足音を立てずにベッドから降りると暗殺者の技術を駆使しながら物音ひとつ立てずに備え付けられた厨房へと向かう。


その矢先に、光が漏れている扉を見つけた私は念のために中に誰もいないか確認する為に僅かに扉を開き、隙間から覗きこむ。


別に悪い事をやっているわけではないのだが仮にも暗殺者ならばバレないように行動するべしと父に教わっていたのが半分。


もう半分は単に暇だったからだ!


中にはクリアの姿、どうやら誰かと話しているようだ。


「こんな夜更けに……まさかっ逢瀬!?ってな訳ないですよね。」


しかし気になる。無論暇だからと言うのもあるが愛を信条とした彼女にとって妹分の金の恋は応援したいのだ。


だからクリアが浮気しない事を確認してから立ち去ろとしたのだが……


「あれはリアナ?……って待て待て待て!!」


クリアが抱き寄せた先にいたのは金の護衛であったリアナ、彼女はいつもの鉄仮面を外しており、ちらっと見えた素顔は猫のようなくりくりした目の可愛らしい顔であった。


そんな2人が幸せそうな笑顔で抱きしめ合い、しまいにはこちらが恥ずかしくなるほどの濃密な口づけを交わした所で愛紗は部屋に飛び込んだ。


「なぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃやってんですかぁぁぁぁぁぁ!!このクサレ◯◯◯がぁぁぁ!!」


思わぬ乱入者に度肝を抜かれた2人は咄嗟の事に反応できず、愛紗によるジャンピングニーキックがクリアの顔面に入って吹き飛ばされた所で我に返った。


「な、何!愛紗!いつから見てたの!?」


「いつからぁぁ!?そんなの2人が抱き寄せたらへんからですよ!!」


「ま、待って話せば分かるわ!だからその手に構えたナイフを下ろしなさい!」


「問答無用!!私の可愛い妹分に手を出した罪をここで償いなさい!」


愛紗がリアナに襲いかかったちょうどその頃、厨房には明かりが灯っていた。


「はあッ…………はあっ」


彼女は水をコップに注ぐと懐から紙に包まれた粉末を取り出す。その手には多量の汗が浮かび、顔色は真っ青だ。


「まだ私は……死ぬ訳にはいかない…」


彼女はその粉を口の中に入れ、水で流し込む。しばらくすると震えは止まり、落ち着いた。


「何やってんだ?金?」


しかし、気を抜いていたせいか、友哉の接近に気づかなかったらしく余りにも慌ててコップを床から落として割ってしまう。


「あーあ、何やってんだ。ほらちりとりとかねえの?片さなきゃ明日の人が大変だろ?」


友哉は慣れた手つきでガラスの破片を手にとっていき、あらかた片付いたところでだんまりだった金が口を開いた。


「何よ?こんな時間につまみ食いでもしに来たの?卑しいわよ、友哉。」


「俺はただ飲み物取りに来ただけだっての。つか、お前もこんな時間に厨房に何の用だよ?」


「……別に。」


彼はそっぽを向く金に追求するのはやめたらしく、彼はコップを取り出し、そこに水を注いでいく。


「しかし、昔を思い出すよなぁ。こうやってお腹を空かせた金が夜食目当てで冷蔵庫を漁ってた時の話をさ。()()()()()()()


「ありきたり過ぎて忘れたわよ、そんなの。」


友哉は金に背を向けて水を飲みながらした話を取り合うこともなく、切り捨てる金。


「じゃああれは?甘いもの目当てで運動嫌いのお前をサイクリングに連れてったことは()()()()()()()()()()


「行ったことは覚えてるけど食べたものなんてそんなしっかり覚えてないわよ。慣れない運動で一杯一杯だったんだから。」


友哉は水を飲み干し、コップを洗い場に置き、金の方へ振り返る。その顔には違和感はない、だが目だけは敵を見るかのようだった。


「じゃあ最後だ、お前の本当の名前は?」


「何当たり前の事聞いてるの?私は金糸雀・フランソワーズよ。」


「なら()()()()()()()()()()()()()


「簡単よ、京江友哉、守谷未来、剛田力、恋水愛紗、広野正義よ。」


スラスラとたしかに友哉達の名前を言った金だったが友哉の目から敵意が消えない。むしろ敵意は殺意へと昇華している。


「なるほどな……ようやく違和感が消えたよ。」


友哉は金の横を通り抜ける際にただ一言口にした。


「俺たちの幼馴染は代山夢叶を含めた7人だ。なりきるならしっかり情報を手にしておくんだな、()()()()が」


その言葉に僅かに開かれた目を見て友哉はその場から立ち去った。


残された彼女はその場に崩れ落ち、


「なんで……バレたの?」


ただそう呟くしかなかった。





最初は本当にカレンが金だと信じていた。

だが違和感を感じたのはその日の夜にかき氷を出した時だ。


彼女は冷た過ぎて食べられないと言った。確かに冷やし過ぎていたかもしれない。だがそれでも未来や愛紗は食べられるレベルだったのだ。


そこでふと思ったのはかき氷が冷たい食べ物だと彼女は知らなかったのではないかということ。それなら彼女があんな反応をした理由も納得できる。


だがまさかそんなことはあり得ないと被りを振り、今まで放置していたがついさっきその僅かな違和感を消すためにわざとカマをかけてみた。


金は前世は瞬間記憶能力者だ。例え瞬間記憶能力が失われていたとしても大の甘党の彼女ならサイクリングで行った店の順番くらいは覚えているはずだ。


極め付けは夢叶のこと。

彼に最も懐いていたのは金であり、彼の死に俺と同じくらい泣いていたのも金だからだ。


そんな彼女が幼馴染の中に夢叶を外すか?悪いがそんな訳はない。俺たちは自分達の幼馴染と言ったら夢叶まで含めたことを表す。


それが出来ない以上は彼女は金ではない別の誰か。俺たちの甘さに漬け込んだ魔人だと言えよう。


だが俺があそこで殴りかからなかったのは彼女が影武者である事の可能性がなきにしもあらずだからだ。


カレンは黄金の錬金術師の名で知られている凄腕の錬金術師である以上は敵が山ほど居るはずだ。


そんな奴らから逃げるために代理を立てている可能性もあるから敢えて泳がせた。


ただそれだけだ。


「あっ……友哉」


「なんだ愛紗か……?随分と死にそうな顔してんな?傷でも開いたか?」


「死にそうな顔はお互い様ですよ。そっちも何かあったんですか?」


俺は愛紗に事のあらましを説明する。愛紗はそれを聞き覚えた後に、リアナから話された事情とやらを聞いた。


「病気……だと?」


「ええ……かなりの確率で死に至る病らしくて『偶像死』と 呼ばれてるらしいです。」


リアナから話された話は金が戦う理由……両親と自身の病を治すための知識を魔王に得ることだった。


偶像死は長い年月をかけてゆっくりと体の表面を金属の幕が覆っていくらしく、金の両親は半年前に固まってしまったらしい。


そして像となった人間からゆっくりと生命力を吸い取って行き、相手の命を奪うとのことだ。


既に金にはいつ固まってもおかしくないレベルまで来ているとのことだ。


「つまり金の偽物が代理を務めていたのは病気のせいで金……金糸雀が動けないからか。」


「ええ、リアナとクリアが浮気していたのもそれが理由らしく、金から自分の命はもうないからと言われて許された関係らしいです。金はもう諦めてるみたいですね。」


俺たちは廊下の壁に寄りかかって情報交換を終えた。


「皆に話しますか?」


「いやいい、試練中に余計な混乱は招きたくない。俺たち2人の秘密にしておこう。」


「なんかいやらしい響きですね。ですがそれに賛成です。ここまで来てバラバラになりたくはないですから。」


それに話を纏めても結局やる事は変わらない。


「俺たちは金を助けるために試練を突破する。あいつの病気を治してあいつが笑えるような明日を見させてやる為に。」


「同感です。両思いの2人には是非結ばれて欲しいですから金には生きていて欲しい。」


俺たちは互いに笑いあうと隣に立つ仲間に向けて拳を突き出し、軽くぶつける。


「行こうぜ、愛紗。友のために。愛のために。」


「勿論、友哉。病気を治すために。結ばれる為に」


真夜中の小さな出来事は彼らの士気を向上させるのだった。

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