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年中討伐!古知丸さん  作者: 雨樋 朔
東京郊外戦
9/9

忌み嫌う

乙原(おつはら)は一つ一つ過去のことを思い出しながら話し出した。


「僕がモドキというのは半分本当で半分嘘なんです。これは幼い頃に知ったことです」


〜15年前〜


10歳の僕は友人Aと2人で、学校から帰宅していたところをヒトモドキに襲われた。


「ねぇ。あれ、モドキだ...」

「ニンゲ...ン...。ミィツケタ」


今思えばたかがヒトモドキだが、小学生の自分からしたら、かなりの強敵だった。

この時の自分は母から『モドキは悪いやつだ』と聞かされていたため、恐怖を感じたことを覚えている。


「オマエ...ナゼニンゲン、ト、イル」


ヒトモドキはそう言いながら乙原を指さした。

最初はなんのことかわからなかった。

まあ、後に理由を知ることになる。


「Aくん!危ない!」


ヒトモドキはAくん目掛けて走り出した。Aくんも恐怖のあまり、足がすくんで動けない。

僕はこの時、母の言葉を思い出した。


『人を助ける人になりなさい。人を傷つけてはいけません』


友達と喧嘩をして殴ってしまった時に言われた言葉だ。

乙原は勇気を振り絞って、Aくんを庇うために立ちはだかった。

すると、ヒトモドキは急ブレーキをかけてこう言った。


「ナゼ、オナジナノニ、ヒトヲカバウ」


これも最初は意味がわからなかった。

そのままヒトモドキは襲うことなく逃げていった。


この出来事を母に話すと、母は困った顔をした。


「あぁ、それねぇ」


何か隠しているような言い方だった。


「私、実はモドキなの」


このカミングアウトは、いつになっても忘れることができなかった。母の言葉はモドキを忌み嫌う言葉だったのに。

この時初めて、人間とモドキのハーフであることを知った。


その後突然、両親は離婚。

私は母に引き取られたが、その後すぐにモドキの軍団に引き取られた。それ以来、母とは会わなかった。


時が立って、自分は20歳になった。

自分は知能を持つモドキとして訓練を受け、四天王の直属の部下となった。しかし人を殺したことは一度もなかった。

どんな任務でも人は殺さず、嘘をついて難を逃れていた。

ただ、嘘はいずれ見破られるもの。

僕が初めてこの会社に来た時、弱くて臆病な人のふりをして、古知丸さんにトリガーに指をかけたまま、銃口を向けて怒られたことを覚えているだろうか。実は古知丸を殺すという任務を請け負ったんです。ただ、僕は最初から殺すつもりは微塵もなかった。だからいつものように、古知丸を殺したと嘘をついた。

しかし、古知丸を殺したという虚偽報告をしたのがバレて、四天王のハニクに呼ばれた。

時間通り、呼ばれた場所に行くと、そこには今まで会えなかった両親がいた。

2人はハニクが持つ鎖のついた首輪をつけて、体を紐で動けないように縛られていました。


「お父さん、お母さん!」

「イs...」

「喋んなや。人と結婚した裏切り者が」


ハニクは母の首に繋がれた鎖を思い切り引っ張った。


「やあ、イサオ。お前、俺に嘘をついたな?」

「ついてない!早く父と母を解放しろ」

「上司にそんな言葉を使うな雑魚が。これは教育だ。お前が人を殺さなかったのは極めて重罪だ。モドキのモラルに反している。だから、心を入れ替えてもらうために、教育してやろう」

「やめろ!」



ハニクは笑いながら手に持った鎌で両親を...。

奴は全身にいっぱいの返り血を浴びた。

僕の虚偽報告の代償として、両親の命を奪ったのだ。


「これからはこういうことがないように!」


そう言ってハニクは去っていった。


「...サオ。イサオ」


消えるような声で、僕の名を呼んだのは母だった。

あいつはなるべく苦しく殺すために、あえて即死をさせなかった。


「イサオ。ごめんね。産んでしまって」

「やめてお父さん」

「イサオ。私がモドキだったばかりに、こんな所に連れてきてしまってごめんね」

「お母さんもそんなこと言わないでよ」

「イサオは私たちの元に来るべきじゃなかった」

「ねぇ。やめてよ。僕は、僕は2人の元に、生まれて、幸せだったよ。2人の元に、うま、産まれて、後悔なんかしてないよ」


喉につっかえる何かが、僕の言葉を通せんぼする。

両親は僕の言葉を聞くと、その度に涙をこぼしていた。


「ごめんね。もう死ぬかもしれない。もう口が動かなくなってきた。最後に一つ。私は、私たちはイサオを...愛してる。私たちの分まで...人間のために...強く生き...て...」


2人は力尽きた。僕の腕の中で。


それから僕はモドキの組織を抜けて、ここにやってきました。本当は任務を終えてトぶつもりでしたが、今はそんなんじゃありません。


僕はモドキを忌み嫌っています。自分が同族であることが、とても嫌で、嫌で、たまらなくて、死にたくなる時もあるのですが、母と父から与えられた、使命を達成するまで、死ぬつもりはありません。なので捻橋(ひねりばし)さん。僕を殺すのはモドキを殺し切ってからにしてください。


* * * * *


乙原は一通り話終わると、過去を思い返して疲れたのか、机に突っ伏して寝てしまった。


東京の郊外で現れた四天王、ハニク。彼の残虐非道な行為は、乙原と繋がりのない人間だって腹を立てるだろう。

半分が人、半分がモドキ。頼り甲斐のないヒョロガリであったはずの彼は父母の仇を打つため、人類を守り抜くために同族をぶち殺してゆく。

もう、弱いふりはしなくていいのだから。

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