決着
本当遅れてすみませんでした!
テストやら何やらで色々あったもので書く暇がなかったもので・・・まあともかく、読んでみてください
片手を蓮へ向けると、手に風した氷が伸びていき、蓮を捕まえた。
「なんだこれ?!」
必死でもがいているようだがビクともしていない。
この魔法も電撃と同じ魔法書に載っていたものだ。自分の手を魔力で氷へと変化させ、相手を捕まえる中級捕獲魔法。しかし中級魔法でもこんな状況で使っても無駄だ。
「少しビビったが、火を得意とする俺に氷を使うとはなぁ」
蓮を握っている手型の氷から水蒸気を発しながら水滴も落ちる。やがて氷は溶けきってしまった。
やっぱりダメか・・・でも現時点で俺がまともに使える魔法はこの氷魔法しかない。さっきみたいな魔法を何度も使うのは魔力の無駄だ。もっと、もっと確実に蓮を仕留めることができる魔法を使わないと・・・
俺は魔法書を思い出しながら今の状況を確認する。
ん?蓮の足元に俺の魔力で作った水・・・そういやそんな時に使う魔法があったような・・・そうだよ!あったよ!これで俺の勝機も見えてきた。でも土が水を吸い込むまでの時間、蓮をその場にいさせなくちゃいけない。
「なあ、蓮は何で不良になったんだ?裕福な暮らしもあって将来まで約束されてただろうに」
時間稼ぎがてらに気になったことを聞いてみた。
「テメエには一生わかりゃあしねえよ。テメエも言ったとおり、俺様は親父の後を継ぐことになっていた・・・今はそんな話なくなっただろうけど。当然周りの企業の奴らは気に入られようと近づいてきた。それがどうしても気に入らなかった。それに魔力コントロールの稽古を毎日ついたおかげで毎日ピリピリしちまって友達にも八つ当たりして、遊びにもいけなくて気がついたら友達なんか一人もいりゃしなかった」
蓮はどこか切ない目をしていた。俺はそんな目をどこかで見たことがある。夕日を背にし、俺をずっと見続ける・・・それが現実だったか夢だったかは覚えていない。分かっていることはとても昔の話だということだけだ。
「だから俺様は何でも言うことを聞く、絶対に離れていかない下心見え見えで寄ってくる奴らでいいと決めたんだぁ!」
表情も戻り踏み込もうとする。しかし俺は土が水を吸い込みきった瞬間を逃さなかった。
俺が氷の手を地面へ叩きつけると、蓮の足元から幾つもの大きな氷の針を連なった。
「次は何なんだ!」
身動きをとろうとするが氷の針に挟まって動けない。魔法を使うにも手のひらが上に向いてて溶かすことができない。投げるにしても関節が曲げられない。
「上級捕獲型魔法。これはあらかじめ自分の氷を溶かして土に吸い込ませ、敵を誘導させ捕まえるトラップなんだけどね」
「くっそ・・・」
舌打ちしながら言う蓮に近づく。
「奇麗事を言わせてくれ。人は最初から友達なんて一人もいないんだ。俺もだし三郷もそうだ。蓮・・・・・・お前はただ始めに、0に戻っただけじゃないか…0の次には1がある。ゆっくりでいい、自分にとって信じあえる友達が作れればいい……少なくとも俺はそう思う」
その言葉に蓮は少しだけ驚いた様子でいた。やがて表情を変える
「本当奇麗事だな・・・降参だよ」
蓮の表情はいつもと比べてやわらかくなった気がした。
捕獲魔法を解くと俺らはアルテミアドームに戻っていた。
「な、なんと言うことでしょう!あの炎の悪魔がFクラス、しかもついこの間まで科学科にいた滝火翼に破れたーっ!」
実況者の実が言い終えると突然証明が消され辺りが真っ暗になった。