会長&副会長
周りからざわめく声が聞こえる。
「こんなお遊びな試合になるとはね!」
ライトが一部を照らす。そこには二人の男女が立っていた。二人は俺と蓮の元に降りてくる。客席はなせか歓声上げ始めた。たどり着くとやっと証明が戻った。
「えっとー・・・誰?」
「ふははははっ!さ、さすが翼だぁ!」
大笑いする蓮に首を傾げる。
「やれやれ・・・ここまで無知だとは。私は蓬敦也、三年Aクラストップで生徒会長を務めている。それで彼女が・・・」
「春雨渚だ。一年Aクラスの副会長として蓬先輩の元で働いている」
彼女・・・渚はロボットなのかと思うくらいに全く表情を顔に出さない。
「あれ?一年が生徒会に入れるのは二学期からだろ?」
「普通はそうだけど渚君は特別だからね。学校からも許可がでてるのさ」
そう言うと会長は渚の肩にポンッと手を置いた。そして何故か渚はすかさず会長の腕を掴み、背負い投げを繰り出した。会長は大きな音をたてて、地面に叩きつけられる。
あ、あれは痛い・・・
「蓬先輩、セクハラしないでくださいと何度言えばわかるのですか」
無表情な渚は倒れている会長を問答無用で踏む続ける。
「いてっあれはセクハラじゃなくてスキンシップなんだっていたい」
「ほぉー先輩はセクハラをスキンシップというんですか。そこまで変態だとは思いませんでした」
いや、ちょっとまて渚。お前は肩に手を乗せただけでセクハラになるのか!そしてお前のスキンシップはどこからどこまでなんだ
渚の踏み続けるスピードは倍に速くなる。
しかしなぜだろう・・・会長が妙に喜んでいる気がしてならない。ま、まさか!あれか!人に暴言や暴力されて喜んじゃうあれか!そんなものをみんなが見てる前でやったら会長の面目丸潰れだろ。
周りを見回すと生徒たちからは笑いの声か聞こえた。
「はははは、こんな所でも漫才やるなんて会長さんはすげえな!」
いやいやいやいや、俺からすれば会長のMに気づかないお前たちのが十分すごいよ!
「ふう、痛かった」
踏まれ終えた会長の表情はさっきまでとは比べ物にならない程、爽やかになっていた。
「今回は滝火君にやってもらいたいことがあってきたんだ・・・渚君」
会長の呼びかけに渚は黙って頷き、俺の腕を掴んだ。
「な、何だ?!」
抜こうとするが思った以上に力が強く、ピクリとも動かない。
「じゃあ行くよ」
ものすごい力で引っ張れ、アルテミアドームを出て学校へ戻った。
俺は今、校内の検査室で魔力量の検査をしている。
会長曰く「まあ、知恵のない試合だったけど滝火君がB級クラスの霧覇君に上回ったことは確かだからね。こちらとしてもそんな生徒が最下級のFクラスだなんて納得がいかないから、みんながやる魔力量検査を君だけ早めたってことさ」ということらしい。検査は5分程度で終えた。生徒会の一人が俺の検査結果の資料を持ってきて、会長に手渡す。会長の表情は険しくなった。
どうやら結果は俺もわかっていたが、魔法科生徒の平均以下だったらしい。
「先ほどの試合はまぐれであったのでしょうか」
「馬鹿を言うな。霧覇君はうまく使えば私とだってやりあえる魔力は持っているはずなんだ。それにあの捕獲型魔法はAクラス、しかも上位の者たちが使える魔法だ」
そしてふと会長と目が合ってしまった。俺は下手な口笛を吹き知らん顔をする。
「滝火君、この件に関しては保留ということで、Fクラスで頑張ってくれ」
「は、はあ」
会長の答えは俺の考えていたのとは全く違かった。
検査は確かに絶望的だけど蓮を倒した成績で責めてEクラスには上がれると思っていたけど・・・魔法科も案外厳しいってことだな。
放課後。
俺は下校中、家の帰り道にある公園に寄った。
あの目を見たのもここだったはずだ。
夕日で赤く染まった光景を眺めているとブランコをこぎながら俯いている少女が目に入った・・・おそらく俺と年差は変わらないだろう。
そんな時、少し強い風がよぎった。
ハックション!
俺の体は冷えてきた様だ。
「ふぅー、帰るか」
制服から腕をさすりながら帰ろうとした時、背中に温かさを感じた・・・おまけに何か柔らかい物も。
後ろを振り向くとさっきの少女が抱きついていた。彼女の目から涙が溢れる。
「やっと会えたね・・・・・・つー君」




