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PC☆レボリューション  作者: ポーラ・ポリタス
第四章 ~岡崎夕貴 沙夜~
32/42

パソコン部員の合宿 〈4〉

合宿編は終了です…が…?

夜、眠たくなってくる時間だというのに、全員元気だった。


当然こんな時間に出る話題は、ガールズトーク特有の緩い話の連続。


いつも以上に話題になりそうにない話が何時間も続き、気が付いた時にはもう3時だった。



「はぁぁ。もう寝ようか」



「そうね…。さすがに眠いわ」



しかし、我が家の布団は6人分もなく、数人は布団すらないまま床に転がるように寝るはめになった。


さすがにそれはかわいそうだったため、何か羽織れるようなものをかぶせておいてあげたが、風邪など引かれてはかわいそうだ。






「ん、ぅぅ」



そして、最初に起きたのは、優華だった。


しかし、起きた時刻は12時。


もう正午になってからという、かなりだらしない結果になっていた。


そして、着替えを済ませると、そろそろ帰らなくてはと全員帰って行ったのだった。



「はぁあ。まだ眠たいなぁ~。もうちょっと寝るか……」



私は再びベットに戻り、二度寝を開始したのだった。


ちなみに起きたのは、夕方の7時というこれまたおそろしいことになった。


ちなみに起きた理由が空腹だったというのも、また私のだらしなさを象徴することだった。










「ただいまぁ……」



「あ、お姉ちゃん。おかえり…」



「あれー?今日は練習じゃないのー?」



「うん。今日は休みなんだ…」



岡崎夕貴は、春香の家での合宿を終え、無事に家に帰宅した。


変な時間に寝たせいかあまり眠気はとれていなくて、布団が恋しい。



「そういやー、昨日は勝手に留守にして悪かったねー。一応お母さんには言っておいたんだけどさー」



「ううん。別に気にしてないから大丈夫…」



「そう…?だったらいいんだけど」



夕貴が、沙夜の顔をじっと確認する。



「ま、なんだったら、今日また話聞いてあげるから。私ちょっと眠いんだよ。寝るね?」



「うん。いいよ。おやすみ…」



夕貴が自分の部屋に入るのを見送ると、沙夜も自分の部屋に入っていった。





カチッ…………カチッ…………



爪を噛む。


この癖は、沙夜が10歳になるくらいからいつも行っている、たちの悪い癖だ。


彼女の爪はよくぼろぼろになる


こうやって、部屋で一人っきりになると、よくかじっているからだ。



「…………お姉ちゃん…………」



隣の部屋で、姉、夕貴が寝ている。


それだけで、とても安心できた。



「私を守ってくれるのは、お姉ちゃんだけだよ……」



カチッ…………カチッ…………



部屋に響く、爪を噛む音が、彼女の心に穴をあけていくのだった。






「二人とも―!朝だよー」



「んっ、おはよう。お母さん」



「あ、沙夜起こしてきて、夕貴」



「…………また?もう、お母さん。いくら沙夜が心を開かないからって、お母さんまで心を開かなかったら、一生あのままだよ、沙夜は!」



「…わかってはいるんだけど……なかなかね……」



実は、沙夜と夕貴は、同学年なのだ。


どちらも奈楼西高校の1年生である。


しかし、双子ではない。


彼女たちには、DNAのうえでは全くをもって他人なのだ。


夕貴は、もともと岡崎家の少女として生まれていて、何一つ、悲しいことなど経験せず、幸せな暮らしを送っていた。


しかし……問題はもう一人、沙夜。


沙夜は、元の氏名は、高山沙夜。


なんと彼女、両親を早くに亡くしているのだ。


母親が、5歳のころに病気で亡くなった。


急性の重病であり、医者も対処ができなかったのだ。


敏感なお年頃の、突然の別れ、だったが、父親の存在のおかげで、彼女は何事にもくじけることなく、すくすくと育っていった。


父親と二人ながらも、元気に暮らしていき、ついに9歳。


事件が起きた―――――


―――――父親が会社の同僚に殺された―――――


再び彼女に襲った悲劇……。


そして、再び彼女は、大切な存在を失った。


母親が亡くなった時、彼女の壊れた心の受け皿となったのは、彼女の父親だった。



しかし、今度は受け皿などない…………。



彼女の心を直す前に、彼女の周辺はめまぐるしく動いていた。


沙夜の父親には、親友と呼ぶに等しい男がいた。


かつてから家族ぐるみの付き合いもしており、母親の葬式にも出席していた。



「今日から君も、家族として迎え入れよう」



実は彼女の父親が遺言を残していたのだ。



『もしも私が、沙夜の面倒を見きる前に死んだら、そのときは、遠くの親戚ではなく、親友の岡崎順次に、すべてを託そう 



そう、この岡崎順次というのが、夕貴の父親なのである。


やがて養子縁組によって、沙夜は岡崎家の一員となった。


しかし……。


家族であるはずの、「父親」と「母親」に、沙夜は心を開かなかったのだった。



「沙夜?もう朝食にするよー!起きて!」



「ん…。お姉ちゃん、おはよう…」



しかし、夕貴には心を開いていた。


同世代ということが、感情を共有しやすかったからだろうか。


岡崎家の一日は、こうして始まるのだった。










「もうお前が死んで、7年か……」



お墓に花を添え、語りかけるように話す男が一人。


お墓には、高山家之墓と記されており、「高山優斗」が眠っている場所だ。



「お前の娘は、元気にやってるよ。立派な娘になってきたよ。ただ……俺たちに心を開いてくれないのが残念だけどな」



少しさみしそうな表情を浮かべる男。



「たぶん、俺たちと心を通わしたら、またお前みたいに手の届かない場所に行っちまうんじゃねーかって、彼女なりに思ってるんだろうな。彼女は彼女なりに、トラウマだって抱えてるんだろーしな」



彼女が抱えるトラウマ……。


想像するだけでも、それは深そうなものだ。



「まぁ。少しずつだけど、心を開いてみせるさ。応援しといてくれよ」



次は来年だな。


そう思いながら、彼は墓を後にする。


毎月の恒例行事、「親友の墓参り」を終えた、夕貴、沙夜の父親、岡崎順次の姿だった。

新キャラにとんでもない闇がありました…!

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