パソコン部の告白
閑話みたいになってしまった…。ちょっとガチシリアスからお休みタイム
次の日、昼休みに上野先輩と集まって、話をした。
どうやら今日は大事を取って休みを取っているらしい。
正しい判断ではあると思うが、彼女の勢いなら、バイトだけならでてしまいそうだ。
「先輩、冬香先輩って、どんな人なんですか…?」
「昨日見ただろ…?あのままさ。目的のためになら、たとえ自分を犠牲にしてもやり遂げる。しかも、その目標が、妹と弟を守るためとか、止めにくい目標なんだ。いつも」
「先輩、そんな冬香先輩を止めなかったんですか…?」
「止められるようなやつだったら、貧血で倒れたりなんかしねぇよ。あいつは、絶対に、折れるようなやつじゃない。意地っ張りなやつなんだよ。あいつは」
悪口を言っているはずなのに、どこか嬉しそう、というか、優しい表情をする上野先輩。
でも、それではダメだ。
「今回は、先輩の心がかかってるんです。どうやってでも止めないと…」
「……………………」
手づまりだった。
私と上野先輩の、沈黙時間が続いていた。
そこに入ってきたのは、千夏だった。
「あっ、千夏ちゃん!」
「あ、えっとっ、おはよう…!」
「…?」
なんだかそわそわして、変な感じ。
挙動不審な彼女を見て変に思ったが、それよりもだ。
今は重大な考え事をしているのだ。
上野先輩も割と必死に考えてるため、私も頑張らないと。
結局、何も考えが浮かばずに一日が過ぎてしまった。
私たちの学校、奈楼西高校は、下校時間が決まってしまっているため、その時間までではないと物事を決めることができない。
「あぁ~結局今日中には決まんなかったな」
「明日には先輩、出てきますよね?」
「あぁ。たぶんな。相当機嫌が悪いのか、俺の電話にも出ないしさ」
「そうですか…。ごめんなさい。先輩まで巻き込んじゃって……」
今更ではあるが、一応の謝罪のつもりだ。
しかし、先輩が逆に返された。
「……そんなこと、関係ないさ。あのまま黙認し続けて、冬香を壊しちまうよりマシだ」
先輩の拳が固く握られている。
「君にいろいろ話を聞いているうちにさ、俺って、今まであいつに何かしただろう?って思った。一緒にいつもいるだけだったんだ…俺たち。幼馴染だとか言って、絆があるって思ってたのに、ただつるんでただけだったんだ。俺はそんなの嫌だ。あいつと一緒に、いっぱい遊んで、いっぱい喋って、……………好きって、言いたいっ!!」
「はい…?」
「あいつのことを守りたい!あいつのそばに、一生いてやりたい!!だから!!ともに頑張ろう!!」
「は、はい」
何か熱い告白が見られたと思ったが、まぁ気にしないでおこう。
…………そうか、上野先輩は、冬香先輩が好きなだけなんだ。
次の日、案の定、冬香先輩が学校に来ていた。
しかし……
「おはようございます。冬香先輩。お体の方はぶj」
「…………」
無視である。
無視なんかされたのって、いつ以来だろう。
いやいや、そんなこと今思い出さなくてもいいじゃないか…。
ちょっとだけフラッシュバックしかけたのを必死に抑え、先輩にもう一度話しかける。
「先輩、元気になってよかったですね!今度先輩の働いてるとこ教えt」
「………………うるさい」
…………ひどい。
ちょっと涙ぐんでしまう私。
そそくさと教室に入る先輩。
もういいや、教室に戻ろう…。
先輩に嫌われている理由は、痛いほど分かる。
病院の時に出しゃばりすぎた。
説明が下手なせいもあるけど、やはり彼女のことを何も知らなかったのに、あんなことを言ったのが原因だ。
「は、春香ちゃん」
「ん、どうしたの?千夏ちゃん」
昨日と同じように、もじもじとした様子で話しかけてくる千夏。
そういえば、昨日も何か言いたげにしてたけど……あっ、そうか。
「ごめんね、この前は…。先輩の病院に付き添ってたから、部活できなかったんだ…」
「う、うん。知ってる。優華から全部聞いた」
驚いた。
現場にいなかったはずの、千夏がそのことを知ってるのもだが、彼女の口から優華の名が出てきたこともだ。
「優華、そういえば、ポスターを貼るの手伝わせてたからね。あのままパソコン部の部室にいたのね」
優華を置いてきてしまったのも、あとで謝ろう。
昨日謝ってなかったからね。
ということは、その場で、優華と千夏が出会い、話をしたのだ。
「優華ってちょっとクールだから、千夏ちゃんとは真逆みたいな印象があるけど。どんなこと喋ったの…?」
「う、うん。ずっと、春香ちゃんの話題ばかりだったよ。共通の友人だから、話題に出しやすかったし」
「なるほど……」
私を共通の友人にした会話なんて、初めて見た気がする。
いや、変な話題でなら山ほど……いやだから、そういうことは今言わなくても。
「だから……その……春香ちゃんの、昔のこと、聞いちゃったんだ……」
「むかしのこと…?」
「……………………小学生の、春香ちゃんの、こと……」
「…………」
小学生の頃の私……。
この前、先輩にそのことを話してしまったおかげで、最近また少しぶり返すようになってしまった…。
あの時の記憶はもう忘れようとしていたのだが……。
でも、千夏に知れ渡ってしまったのか…。
「でもね……。私、気にしてないから……」
「は…?」
「春香ちゃんが、どんな経験をしてきた子で、どんなに大変なことがあったのだとしても……、私は友達だし、味方だから…」
「…………!!!」
「ちょっとかっこつけすぎたかな……」
ヤバイ、視界がぼやけてく。
これは良くない傾向だ。
あ、ああ。
「うぐ……」
「ど、どどど、どしたの…?」
前は見えないが、おそらくオドオドしているのであろう、彼女。
私の第二の親友…。
「あ、あ、ありがとぅ」
「うん……」
千夏ちゃんと、改めて親睦を深めることができたのだと感じた。




