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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
八章 Firelike Lifelessness~そして遊戯は炎に陰る~
180/261

そして記憶は儚く燃ゆる …4

 土煙りを振り払いつつ、“大蛇(おろち)”がその巨躯を覗かせる。

 本当に厄介なことになった。いや、厄介なんてもんじゃない。

 “偽”がまことしやかに語ったことを信じずに、ベレッタで迫る“大蛇”を撃ってみたが、やはりこいつの鱗は尋常じゃなく堅い。強化セラミックかよ。

「くっそ……!」

 なんて奴だ。想像した以上の執念深さに、異常なまでの戦闘力。

 まさに怪獣映画並みのスケールだ。こいつ、人間で斃すことができるのか?


――『あいつは無理だよ。あいつには、勝てない。……恐怖のベクトルを別の、食欲に変換しているの。あいつも別の意味で異常(イレギュラー)だから』


 “偽”がいつしか言っていた言葉を思い出す。

 どうしようもないとはまさにこのこと。曖昧な表現か? いや、全く歯が立たないのは事実だ。

 これまで奴に撃ち込んだ弾丸は三発。だが、いずれも全てはじき返されている。

 確かに眼球を狙ったはずなのだが、それすら弾かれたのだ。これ以上撃ったところで勝てるはずもない。

 しかもこいつはデカく、視界はサーモグラフィー、圧倒的な攻撃力や速さを持っているのだ。その上銃弾が効かないときた。

そりゃ逃走に徹するしかないではないか。


「はあっ……はあっ……」

どうする? このままではこちらの体力が尽きて死亡エンドだ。それだけは避けなければならない。


そう、策を練っていた時だった。

「おうわっ!」

足が瓦礫に躓いた。不味い、少しも休む暇すら無かったというのに、今地面に倒れ込んだらすぐに追いつかれてしまう。

そう考え、とっさに手を突いて前転し、態勢を立て直した。

だが、背後から迫る殺気はすぐ後ろまで来ており、その距離が数十メートルほどしかないのを悟る。

「まだだぁぁぁぁ!」

どうせ殺されるならせめて一矢報いてやろうと、ナイフを構えて後ろを振り向いた。

俺が振り向いたのを見て、“大蛇”が大口を開けた。

その口が、牙が、舌が、俺に迫りーー



「……」

ナイフを構えて固まったまま、俺は眼前で停止している“大蛇”を見つめていた。

……どうしたんだ?

そう思った時、“大蛇”の背後、少し先の街道からエンジン音が聞こえて来ることに気づいた。

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