そして偽少女は身を委ねる …6
序章の一番最初に一部を追加しました。
見なくても内容に差し障りはありませんが、伏線回収を見たい方はぜひご覧になって下さい。
「ッあ……」
間一髪で大剣の斬撃を避け、“鉄騎士”が振り返るまでの間に、“鉄騎士”のガントレットや大剣の持ち手を切りつける。
何度も、何度も。
幾度目かの攻撃を加えた時だった。
ばきっ、という音が響き、大剣の持ち手が刃の根元からへし折れるのが見え、俺はそのままナイフを金具の隙間に何度もぶつける。
攻撃を繰り返していればいつかは斃せるだろうとは思うが、こう堅くてはいつ斃しきれるか分かったものではない。
そう、ただひたすら攻撃を続けていたが、途中でふと目線を逸らし、不自然なことに気づく。
……周りの地面が膨らんでいる?
「……まさかッ!」
盛り上がった土が先ほどと同じく一点に収束していくのを見て、とっさにその場から飛び退いた。
“鉄騎士”がゆっくりと立ち上がり、両手を前に突き出す。その手に大剣の時と同じく、土が何かを形造っていく。
「……ッたく、厄介な……」
思わず苦言を漏らした。
“鉄騎士”の両手にはそれぞれに一本ずつ、細長い“鎧貫剣”が握られていた。レイピアと呼ぶには大きい。双剣というよりも、二刀流と呼ぶべきスタイルだ。
したがって、あの斬撃が二倍の手数に増えることになる。剣が軽い分、隙も少ないだろう。
右手にナイフを握り、左手でポーチからベレッタを取り出しす。残りの弾は少ないが、ケチっている場合ではない。
“鉄騎士”がこちらに向かって駆け出すと同時に、俺もその場から走り出した。
二つの剣から繰り出される突きや斬撃を避けつつ、隙を見てこちらも斬撃を加えていく。
一点を、繰り返し、なるべく一撃に力を込めて。
疲労が溜まり、息が切れてきたが、ようやく“鉄騎士”の胸部にひびが入り始めた。
だが、既にこちらも直撃を避けるので手一杯である。
“鉄騎士”が両腕を振るい、横薙ぎの斬撃を放った。
「ッ喰らえ!」
それをしゃがんですり抜け、ひびの入った“鉄騎士”の胸部にベレッタを押し当て、引き鉄を引く。
素早く対応した“鉄騎士”の腕が動き、剣を俺に突き刺そうとするが、その刃は俺の服を切るに止まり、“鉄騎士”の両腕は力を失ったかのようにだらりと垂れ下がった。