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そして少年は目的を惑う …2
「この病院の近くに自衛隊のバギーがある」
院内のどこかで見つけたのだろう。地図を広げている浅滅が言った。
「2ブロック西の道に乗り捨ててあるのを屋上から見つけた。まずはあれを確保する」
「質問です」
鈴が鎌の手入れをやめて浅滅の方を見る。
「何だ?」
「とりあえず、ここに居る人々の安全を確保したいんです」
「……ふん。で? 何か案があるのか?」
浅滅が挑発するように言う。
「はい。ここに皆さんを置いて行くわけですから、少しでもこの人たちの危険性を減らしたいんです」
「鈴、まさか俺達が囮になるとか言うんじゃないよな?」
なんとなく先が見えたので聞いてみる。
「……何で分かったんですか」
鈴が拗ねたように言う。
「いや、お前の言いそうなことだと思ってな」
「……まあいいです。とにかく、私達がそのバギーを見つけたら、大きな音を出して、恐鬼どもを誘導したいんです」
「ふん、お前の考えそうなことだが、わざわざ俺達の敵を増やしてどうする? 無用な闘いは避けるべきだ」
浅滅はあくまで否定的な態度を崩さない。