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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
七章 Ubiquitous grotesque~そして市街は腐朽する~
150/261

そして佳境は訪れる …6

 逸れた者同士の輪唱を防ぐ、法則が故の本能。


(――――イラナイ、ドウセ、シヌ)

「死にません……、響輝さんは、死にません!」


 こんな法則なんかに、負けたくはない。

 私は、私の意志でこの運命に抗ってやる……。


(――――ハグレモノ、タガイヲ、ホロボス)

「法則なんて関係ない! 私は……」

 頭を振って無理やり声をかき消し、もう一度響輝さんの身体を抱きしめる。


「……だったら」

 失いたくない。

 もう、自分がとても儚く脆い存在に思えてきて……。

「あなたは……」

 消えてしまいそうで……。


「あなたは誰の為に、戦っているのですか……?」


 本当に、自分が生き残るため……?


 過去に失った守り切れなかった人のため?


 “鍵”である戌海琴音のため?


 それとも……?


 その先は、いくら響輝さんが寝ていても問いかけることは出来なかった。

 ただ、彼がそこに居てくれる。


 今の私には、その確かな温もりを感じることが出来るだけで、十分だったのだから……。



―――――――――――――――――――。


「……だけど、それも盤上の展開の一部。君たちは、楽しませてくれるよね……?」


 “街”にはもうほとんど響く音が無い。


 つまり、生存者はもうわずか、ということ。


「だけれどオイラは、“黒帽子”。オイラの出る幕があるといいけれどね……」

 闇夜に浮かぶシルクハット。


 それは再び、暗闇の中に紛れて行った。

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