そして佳境は訪れる …3
「それで、これからどうするんですか?」
しばらく暗夜と化した街並みを眺めていた鈴がこちらを向いた。
「これからどうする? 可笑しな事を言うなよ」
これまではお前が行き先もやることも決めてきたじゃないか。
今更どうして俺に訊く必要がある。
そもそも、俺達の目的である戌海の奪還は俺が舵を取ったところで、達成することができないぞ。俺は戌海の居所さえ知らないんだからな。
「いえ、別にあなたに全てを任せようというわけではありませんよ。“狩り人”には“鍵”を探知することができます。浅滅が合流したことで結果的にこちらもやりやすくなりました」
“狩り人”……な。やはり“鍵”サイドの陣営は力量関係が微妙すぎる。
「……それで? 今、戌海はどこにいるんだ?」
しばらくして、鈴が返す。
「今“鍵”がいるのは……竜ヶ峰市の中央市街にある遊園地、『ロストランド』です」
「……中央市街、か」
「はい」
厄介なことになったな。
そう言うと、俺は目を閉じた。
―――――――――――――――――――――――――――――――RIN side
響輝さんが目を閉じた。
「少し眠るといいですよ」
「……ああ……」
そう呟くのが聞こえる。
その声にはいつもの無表情なものとは異なり、少しの安堵感が込められていた。
私は再び窓から空を見る。
響輝さんが動けるようになったら、この病室を出て、浅滅や皆と合流し、中央市街へ向かう。
おそらく中央市街に入れば、“鍵”をめぐる生存競争は終局へ向かうだろう。
“支配者”はそこに居る。“鍵”……戌海琴音も。
負けない。今度こそ。
あなたのために。あの子のために。
この命に代えても、このゲームに勝って見せる……!