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サレド少女ハ朦朧ニ …1
―――――――――――――――――――――RIN SIDE
「どう……して……」
私は身体を張って私を庇った目の前の少年……巽野響輝を見る。
“逸れ者”となっているため、身体が爆発することはなかったようだが、バズーカの弾丸の直撃を受けたのだ。ただでは済まないはずだ。
拡散するはずの爆風が一点に……響輝さんの身体に集中していく。
無意識に力の一種を使ったようだ。
「ぐ……は……」
響輝さんが壊れた窓から落ちて行く。
衝撃のあまり、私は声が出ない。
どうして。
どうしてなの……?
まず浮かんだのは、疑問。
どうして……響輝さんが、私を庇う?
庇って……何になる?
そもそも、響輝さんは進んで人を助けるような人ではないはずだ。
私が生き残りの人々を助けようとしても、見向きもしなかったのに。
“琴瑟調和”。
ふいに、その四文字が頭をよぎった。
夫婦や友人が仲むつまじい事のたとえだが、転じて、ここでは人の暴力的な感情をおさえる効果をもたらす、今回の“鍵”の能力。
きっとこの少年とは、非常に相性のいいものなのだろう。