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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
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それすら少年は拒絶する …1

―――――――――――――――――――――――――HIBIKI SIDE


「ひゃあああああっほおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「ぐうっ!」

 破裂するような金属音。


「おいおいこの餓鬼、てんで話にならないぜ!」

 いかにもなライダージャケットを着ている金髪の男が下劣に笑いを漏らす。


「死亡フラグを立てておいてこのザマかよ!」

 チェーンソーから取り出した刃のみを振り回している男が叫ぶ。


「黙……れ……」

 体中が痛い。


 四方八方から飛び交う刃が、銃弾が、鈍器が、俺の四肢を、心を、全身を破壊していく。

 まだだ。まだ、終われない。


 こんなところで、俺は死ぬことは出来ない。

「俺は……死ぬわけにはいかない。殺さず、殺せずして、この状況を打破する。ああ、やってやる。やってやるさ。眠れる獅子は、恐ろしい……」

 右手にバタフライナイフを。


「ぎゃあっ!」

 腕を切りつけられた男が悲鳴を上げる。


 左手にベレッタM92Fを。


「ああああああ、足が!?」

 血を噴き出しながら、左方で銃を構えていた男がもだえる。


 盾は必要無い。

 戦う。斃す。殺さない。


 俺は……。



――――――数時間前。


「おい! 嬢ちゃん!」

 俺と鈴が居る部屋に、五十嵐が飛び込んできた。

「何があったのですか?」


 ライフルを持った五十嵐が焦ったように状況を説明する。

「奴らがやってきた! 諦めていなかったんだ、あいつら!」


「鈴、あいつらってのは……」

 誰のことだ? “恐鬼”か?


「いえ、人間です」

 人間……だと?


「はい。先ほど、ここに立て籠もっている人から聞いたと思いますが、ここの人々が恐れているのはむしろ、恐鬼よりもその人間達なのです。ここら一帯を縄張りにしていた暴走族と、それらの仲間が、救護用具と、その……女を求めて襲いかかってきた、と」

「それは訊いた。そして、もう一度そいつらが来るかもしれないということもな」

 なるほど。

 しかし、正直、恐れるに足らないと言うべきか。


 こちらには、大鎌使いに狩り人のショットガン使いがいる。並みの人間では、歯が立たないだろう。


「おい、俺を巻き込むな。現時点で最重要なのは、“鍵”の奪取だ。そんな連中にかまっている暇はない。さっさと行動を起こすべきだ」

 横に居た浅滅が云う。


 こいつはどうやらその人間との戦闘にやる気ではないらしい。


「まずい、来たぞ!」

 もう独り、若者が報告に駆けこんできた。


 戦闘……か。

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