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Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
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また、少女は黒に出逢う …2

「シルクハット……でも何でこんなところに……」

 じっと見ていると、シルクハットはふよふよと、蝶のように緩やかに回りながら下降し、自分の入っているゴンドラの窓の前に滞空した。


「…………」

 なんとも言えずにその様子を見ていると、


「よい、しょっと」

 という声が聞こえ、シルクハットの内側から、にょきっと、仮面をつけた顔が現れた。


「うわっ!?」

 急に空中に飛び出してきた仮面に、思わずゴンドラの中で飛び退く。


 ぐらぐらと、ゴンドラが揺れる。


 続いて、シルクハットの中から、一枚の大きな黒いマントが飛び出し、足も胴体も無い、シルクハットとその下に仮面、その下にマントという、不完全な人型を作り出した。

 それらはまるでそこに身につけている“何か”が居るかのように、一糸乱れぬ動きをしている。


 マントは何かが中にあるかのように膨らんでなびいている。


 その様子を困惑しながら見ていると、

「やあ、お嬢ちゃん」

 “それ”が、拡声器を通したかのような声で話しかけてきた。


「……誰?」

「誰って……見なかったのかい? お嬢ちゃん。せっかくコミカルに登場したのに」

 いや、はっきり言って恐怖でした。

「オイラはただの黒い帽子さ」


 そう言って(仮面のせいで顔は見えないが……むしろ頭すらないように見えるが)、“それ”はけらけらと笑った。


 仮面は縦に線が入っており、私から見て左側は真っ黒に塗りつぶされており、右側には、白地に赤く、狐のような切れ目と、にやり笑っているかのような口の線が描かれていた。


「黒い……でも、“恐鬼(おに)”何でしょう。私を見張りに来た“支配者(ルラー)”の手下?」

 そう言って、強気に出るも、“それ”は、

「あいつの配下……ね。まあ、そんなところかな。オイラはただの“黒帽子(ブラック・ハット)”。それだけさぁ」

 笑っているのだろう、帽子をゆらゆらさせながらわたしの方を見ている。

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