ならば少女は悲愴に浸り …4
“狩り人”。
ロングコートの男、浅滅燎次は自らをそう呼んでいた。
“狩る”ということは、おそらく“恐鬼”を狩る、という意味合いなのだろうが、どうしてそれが“鍵”と関係することになるのだろうか……。
「この野郎! 舐めやがって……」
ライフルを持っている男が銃口を浅滅の方に向けようとした。
が、
「ド素人が。銃ってのはな!」
瞬時に後ろに回り込んだ浅滅に、自分がショットガンの銃口を背中に突きつけられていた。
「撃ちあいが重要なんじゃあない。問題は、速射だ。いかに速く敵を捕捉し、弾を放つか。それが出来なければ、銃で相手を斃すなんて芸当は死んでも出来ないぞ」
「あ、う……あ……」
背中に突きつけられている物が何なのか、大体想像がついたらしい。
男は、口をぱくぱくさせながら、顔を恐怖に歪ませていた。
「もうそのくらいにしたらどうです?」
振り向くと、先に入っていた鈴が、大鎌を携えてこちらに戻ってきていた。
「ふん、こんな気弱な連中、助けて何になる?」
浅滅がさっとショットガンをしまうと、それを突きつけられていた男ががくりと崩れ落ちた。
「逃げられない、追いつめられた人々を助けずに身捨てたら、もうそれは人間ではありません。非力な者を守るための、闘うための力です。私はまだ、人間でいたい」
鈴が再び言う。
「だからどうしたと? ただの人間なんて掃いて捨てるほどいるんだ。俺は俺に必要な物しか手に入れない」
浅滅がそう言い、部屋の壁にもたれかかる。
「黙っててください」
鈴がさっと言い、身をひるがえす。
「響輝さん」
「何だよ……」
俺は結局何も参加出来ていないけれどな。
「速く来てください。皆に紹介しなければなりません」