ならば少女は悲壮に浸り …3
「な、何だこいつ! 蜂の巣にされてえのか!」
青年が手に持ったマシンガンを浅滅に突きつける。
「浅滅!」
「うるせえな、少年。よく……見ろッ!」
ガシャッ
浅滅が自分に突きつけられたマシンガンを軽く殴る。
俺の眼にも見えない速度で振るわれた腕が、若者の手に握られたマシンガンを粉々に打ち砕いた。
「な……」
「何いっ……!?」
若者が慌てたように声を上げたコンマ数秒後、さすがの俺でも理解した。
「モデル……ガン……?」
「そうだ」
悠々と先に進む浅滅が振り返って言う。
「クソッ……」
今度は大柄の男がうめく。
「じゃあ、これも……」
「いや、それは本物だ」
ライフルの方は本物かよ!
駄目じゃねえか。蜂の巣は無くても腹に風穴が開くぞ。
「無駄さ。所詮、銃弾の一発や二発、俺に当たったところで何も起こらん」
そうかよ。
いまいち分からない。
“逸れ者”と“鍵”の関係性は理解した。相互関係に似たようなものだ。
だが、こいつの名乗る、“狩り人”というものは一体何なんだろうか。
話のネタにも上がらないが、“鍵”にも“逸れ者”にも、話によれば関係のあまりない存在らしい。
奴は“鍵”を守るとか言っていたが、おそらく直接的な関係性は無いのだろう。
“鍵”のことを知っていて、おそらく戌海の居場所をも知ることができるらしい。