表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost Days  作者: 陽炎煙羅
六章 Near rulernism~そして支配者はほくそ笑む~                                         
114/261

かくて少年は破滅に向かう …5

「ふざけるなッ!!」

 ソウ、かすレルヨウナ声で、今一度、祗園鈴が叫ンダ。


「リン……俺ハ、フザケルナンテコト……」

 何故お前マデ現レル。


 お前モ俺ヲ否定スルノカ。


「さっきそこの“魔弾”が言っていた事を聞いていなかったのですか! 辛いのはあなただけじゃない! 皆、みんなが全てを投げ出して、自由になりたいと思っている!」

「御託ハ、聞キ飽キタ……」


「でもッ!」


 ソコデ鈴ハ、どんっ、と鎌ノ柄ヲ地面ニ叩キツケタ。


「でも、あなたが今、ここで諦めたらどうするんです!? 一体誰が“鍵”を……戌海琴音を救うというんですか!!」


 ナニヲ……言ウ……

 戌海ハ、今サッキ、“支配者”ニ首ヲ……。

「この……強情者がぁぁぁぁ!!」

「グハッ!」


 瞬時ニ、距離ヲ詰メタ、鈴ノ拳ガ、大鎌ノ峰ガ、腹ニ当タル。

「あなたはっ!」

 がんっ

「どうしてっ! そんなにもっ!」

 がすっ ばきっ

「歪んで不信でめんどくさくて!」

「グッウウ……」


 何度モ殴ラレテイルノニ、身体ノ、ドコニモ痛ミヲ感ジナイ。

「冷静になって、よく考えなおしてみてください! “支配者”にとっての勝利は!」


 邪魔者ヲ消シ、戌海ノ……“力”ヲ取リ込ムコト……

「私達にとっての勝利は!」


 戌海ヲ奪還シ、街ヲ救済スルコト……

「では、“支配者”の言う“試合ゲーム”とは何ですかッ!」


「ソレラガ、戦ッテ勝敗ヲ……」

「では、後半戦とは……はあ、何です、はあっ……か……」


 後半戦……。


 ……………………………………マサカ……。


「……そう、です。試合ゲームはまだ、終わっていない」


「あの、戌海の折殺劇は……俺を錯乱させるための……茶番……?」

「……その、通りです……。いわば、集団幻覚のようなもの。心の揺らいでいた、隙間。“支配者”は響さんの隙間につけ込んだ」


 ……罠? 間接的に、いやむしろ直接的に、俺達側が自滅するように……。


「わかりましたか?」

「……ああ」


 だが、この、身体……。


 “漆黒化”という現象で真っ黒な炭のようになってしまった俺の身体は……。


「現時点では、漆黒化を解く方法は、解っていない」

 浅滅がよろけながら言った。


「そもそも、漆黒化が途中で止まっているの光景自体、初めて見た。どれだけイレギュラーなのだ、お前は」

「……知るかよ」


 そう答えながら、俺は、礼を言おうと鈴の方を向いた。


 ……のだが。


「……ぐすっ……、ううっ……」

「……」

「うう……ぐすん、…………」

「…………」

 簡単に言おう。

 “恐鬼”との歴戦の猛者、大鎌使いの少女、祗園鈴は、今、俺の目の前で、嗚咽をもらしながら、


 ……泣いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ